何よりも優先すべきは
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私は冷蔵庫の中を覗いてみて愕然とする。
まさかここまでうちの家の冷蔵庫にものが入っていないとは…
牛乳やらジュースやら飲み物の類はお情け程度にあるものの、食べものと呼べるものは皆無に等しい。
これほど冷蔵庫が冷蔵庫として機能していないのは珍しいじゃないか。
私はおそるおそる冷凍庫も空けてみることにする。
はっきり言って、私はこの冷凍庫に物を入れた記憶がない。
一切ない。
逆にこの冷凍庫に物が入っていたらそれはそれで恐ろしいのだが──
入っていた。
明らかに私が買ったものではないであろうアイスキャンデーの箱たち。
しかも5箱も。
こんなくだらないことをするのはあいつしかいない。
そう、隣に住む道楽バイト野郎、有川将臣。
私の家に来たときによくアイス食べてるな、とは思っていたけれど。
まさか私の家の冷蔵庫を勝手に活用して冷やしていたアイスだとは知らなかった。
そんなこと一言も教えてくれなかったし。
どうせ家に5箱も置いていたら、おばさんと譲に怒られるから、なんだろうけど。
私が怒るかもしれない、って考えはないのかな、あいつの頭の中には。
まあどうせ使っていない冷凍庫だ。
逆に活用してくれる誰かがいたほうが冷蔵庫も冷凍庫も嬉しいのかもしれないな。
いや、実際に彼らが嬉しいのかどうかなんて分からないけれど。
私はその将臣のものであろう(いや、確実に将臣のものだろう)アイスの箱にそっと手を伸ばし、一本拝借してやろうと思った。
でも、すぐにやめた。
だって何もこんな真冬にアイスを食べる必要なんてどこにもないし、何よりもアイスを高だか一本や二本食べたところでこの空腹が満たされるとは思えなかった。
それにただでさえ少し冷え気味の体がさらに冷えてしまいそうだし。