縮まらない二人の距離関係
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それから整った寝息が聞こえてくるまでに長い時間は必要なかった。
俺の方に体重を預けたまま、奏多は幸せそうな顔をして眠ってる。
「おーい。奏多さーん?……マジかよ、本当に寝やがった」
俺は呆れて溜息を漏らす。
もちろん、奏多を起こさないように、だ。
この様子じゃ、さっきの言葉も覚えてるかどうか怪しいもんだな。
「逢えなくて寂しかった」
酒が入っている分、その言葉に嘘偽りはないとは思うが、複雑な気分だった。
そういう言葉は正気の時に言ってほしいだろ、やっぱり。
俺はどうしようか悩んだ挙句、奏多を起こしてしまわないようにゆっくりと抱えあげた。
こんな所で眠ったら風邪をひくのは目に見えてるからな。
奏多に風邪をひかれたらこき使われるのは明らかに俺だ。
そんなのはごめんだった。
それに風邪で奏多が苦しんでるのを見るのは忍びなかったし。
「よっ……と」
正直、抱え上げてみて戸惑いを隠せそうになかった。
いつも大きいとばかり思っていた姉の体は、こんなにも小さく、そしてこんなにも軽かったのだと初めて気づいた。
子供みたいだ、と思った。
本当に軽くて、腕や腰は何かあればすぐにでも折れてしまいそうなほどに細い。
前から細い方だとは思っていたけれど、実際にその体に触れてみて改めて実感する。
「なんで……なんで、お前が俺の姉なんだよ……」
俺の気持ちも知らずに眠り続ける奏多に、俺はそう呟かずにはいられなかった。
もし運命が違っていたなら、この胸に宿る気持ちをすぐにでも打ち明けられるのに。