神と人の綾なす物語
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私はされるがままになっていた。
動けなかった。
ううん、動きたくなかった。
結局のところ、私は風早さんに頭を撫でてもらうのが好きなのだ。
「か、風早さん……?」
私が恐る恐る顔を上げると、風早さんは極上の笑みを浮かべたままで、私の体を抱きしめた。
逞しい胸と腕にくるまれて、何だか何もかもがどうでも良くなってしまう。
そんなの、良い訳ないのに。
「俺は何もいりませんよ。ただ紗綾が側に居てくれて、俺が生まれた事を喜んで祝福してくれる。それだけで十分です」
耳元でそっと囁かれた言葉に。
私は瞬きも、呼吸をする事もすっかり忘れていた。
甘い声は、こんなにも私を狂わせて。
そして壊していく。
「そんなので、本当にいいんですか?」
まだ慣れないけれど、私はそっと風早さんの腰に腕を回した。
触れ合っている部分から、何もかも伝わればいい。
私の、このどうしようもなく早く打つ鼓動も。
抑えきれないこの感情も。
みんなみんな伝わればいい。
「えぇ。君が笑って、ただ側に居てくれるだけで、いいんだから」
「風早さん……お誕生日、おめでとうございます。私、ずっと風早さんの側にいます」
それは誓い。
私からあなたへの。
あなたの生まれた大切な日に。
決して違う事なき、約束。
私、離れないから──
《終》