神と人の綾なす物語
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堅庭に出ると歌が聞こえた。
呪(マジナ)い歌、だろうか。
忍人には理解出来ない言葉が、音に乗せられていた。
しかし、その歌の歌い手は分かる。
彼女の声を聞き間違えたりしない。
星空を見上げながら、天使の歌声を持つ彼女が静かに音を紡ぎ上げていた。
彼女の歌は、遠夜の歌ともまた違う。
楽の才は無いが、それくらいの事は分かる。
忍人は足を忍ばせ、歌姫にそっと近付き、柊に助言されて持ってきた羽織を彼女の細い肩に掛けた。
「夜にそんな薄着をしていては風邪を引く。君は今の軍にとってなくてはならない存在だ。少しは自覚してくれ」
純粋に心配する心とは裏腹に、口をついて出たのは皮肉な言葉。
本当は、そんな事を言いたい訳じゃないのに。
それでも紗綾は嫌な顔一つしなかった。
ただ忍人を見つめると、少しだけ悲しそうに微笑んだ。