神と人の綾なす物語
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分かっているから腹立たしく。
そして虚しい。
彼女の全てになれたら。
いつもそう願って止まないのに。
「おや、忍人。浮かない顔をしてどうしましたか?」
天鳥船の廊下で、前からやってきたのはいけ好かない男だった。
同じ師君の元で学びながら、中つ国を裏切った男。
忍人はその男──柊を快く思ってはいなかった。
「……」
いつも全てを見透かしたかのような瞳が苦手だった。
からかうような表情が、自分はまだ子供なのだと思い知らされるような気がして。
「ふふ、まだ昔のようには接してくれないようですね」
「…当たり前だ!!」
柊は自分が犯した裏切りを、全く悪びれていない。
それどころか、そうする事が必然であったかのように振る舞う。
何より気に入らないのは、紗綾と、そして中つ国の二ノ姫である千尋が、それを許した事だ。
千尋は人を疑うという事を全く知らないように見受けられた。
信じる事を前に進む力にする。
そんな不思議な娘だった。
一方の紗綾はどうだっただろうか。
彼女は、何も言わなかった──