あなたは私の世界の中心
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君はいつだって
君だけはいつだって
私の側にいてくれたよね
それがどれだけ嬉しかったか
君は知らないだろうけど──
《桜散る頃に》
あんなに満開で煌びやかに咲いていた桜は今は見る影もない。
鮮やかな薄紅色はちらほらと見えるだけで、桜の木は八割がた青々とした葉が太陽の光を照り返していた。
「譲ー、今日は雨、降らないよね?」
朝8時の有川家に私の声が響き渡る。
天気予報を見ればいいだけの話なのだが、私はいつも譲に聞くことにしている。
だって天気予報は外れるけれど、譲の予想は外れないから。
まるでエスパーみたいに。
私の声を聞いた譲は弁当を作る手を止めて、晴れ渡った空を見上げてから、少しの間思考を巡らせていた。
そして、私に視線を向けると、残念そうに眉根を寄せた。
「期待している奏多先輩にあまり言いたくありませんが、今日は雨が降るかも知れません。傘を持って出掛けた方がいいと思います」
「…そっかぁ……ありがとう。じゃあ家に折り畳み傘、取りに戻ってくるよ」
私は譲の言葉にがっくりと肩を落とし、踵を返した。
背中に申し訳なさそうな譲の視線を感じながら。
譲は何も悪くないのにね。
***
譲の予想は今日も外れなかった。
朝の晴れ渡った澄んだ空がまるで嘘のような曇天が広がっていた。
悲しいことに、ぱらぱらと雨も降り始めていた。