神と人の綾なす物語
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鉛のように重くなった腕を必死に動かし、紗綾の足を掴み、必死に彼女を引き止める。
これが最期、だから。
「行かないで…くれ。此処に…いて、くれ」
「忍人……でも…!!」
「もう…いいんだ……」
俺の言葉に紗綾は、その場にぺたり、と座り込んでしまった。
俺に背を向け、小さく肩を震わせる姿に、熱いものが込み上げてくる。
悲しませたく、なかったのに。
誰よりも幸せにしてやりたいと思っていたのに。
それももう、叶わない。
「もう少しだけ…、傍に……いてくれないか……」
絞り出した声に紗綾は振り返る。
此方を向いた顔には幾筋もの涙の痕が煌めいている。
紗綾は俺の手を力無く握り締め、小さく頷いた。
それは、彼女なりの覚悟の現れだったのだろう。
濡れた瞳の奥には、確かに輝きが宿っていたから。
「私は、約束、守ったのに」
「……すまない」
ぽつりと彼女は呟く。
震える声に、俺はただ謝罪する事しか出来ない。
彼女の言う“約束”は、五年前の約束。
彼女が五年越しで守り抜いた、小さな約束。