神と人の綾なす物語
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肺に息を吸い込むのですら、辛い。
外傷は軽度であるのに、内側は再起不能な程にぼろぼろだった。
それでも力を振り絞り、彼女の名を呼ぶ。
何度も何度も紡ぎ、囁いてきた愛しい人の名を。
「…紗綾……」
掠れた声で呼べば、紗綾はますます悲痛な表情を浮かべる。
血の気の引いた顔は、彼女の絶望の証。
聡い紗綾の事、薄々は感付いているのだろう。
今の俺の状態が、破魂刀によるものであると。
「忍人、敵は!?」
「……もう、いない…」
そう確かめた後、屈んでいた紗綾は立ち上がる。
ふわり、と衣装が翻り、香の香りが鼻腔を掠める。
「私、遠夜を呼んでくる!!」
紗綾自身も相当な治癒術の使い手だ。
それでも自分の力では不可能だと、瞬時に判断したのだろう。
紗綾はすぐに走り出そうとした。
今、此処で離れたら。
二度と、逢えない。
本能がそう告げる。
紗綾を行かせてはならないと。
「紗綾…っ…!!」