神と人の綾なす物語
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しかしそれでも、同時に少し嬉しくもある。
何故なら、紗綾がこんなにも取り乱し、年相応の少女らしい一面を見せるのは、自分の前だけである事を知っているから。
ニノ姫ほどではないにしろ、美しい刺繍の施された正装に身を包んだ紗綾は、一ノ姫、ニノ姫に劣らぬ美しさだった。
紗綾の美しさは照り輝く美しさではなく、本当に素朴で陰りをも含んだ美しさだと思う。
「忍人!!一体何があったの!?」
取り乱した紗綾はらしくもなく俺に駆けより、必死に辺りの気配を探る。
敵は全て退けた。
此処には今、俺と紗綾の二人だけだ。
破魂刀を使うな、とあれほどニノ姫と紗綾に言われていた。
いずれ訪れるであろう“終わり”の日を、二人は誰よりも恐れていた。
当の俺自身よりも、ずっと。
顔を青ざめた紗綾は、本当に儚くて、触れれば壊れてしまいそうな繊細さを秘めていた。
それでも俺は彼女に手を伸ばす。
自分の最期を看取るのが、他ならぬ一番愛しい少女であるという真実を、この手で確かめたくて。