神と人の綾なす物語
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
だけど。
どうやら、その約束は守ってやれそうになかった。
手に入れ、利用してきた強大な力の代償。
それが今、確実に俺の身体を蝕んでいた。
精神力やら何やらで、どうにか出来るものではない。
這い回る痛みに、今すぐにでも意識を手放してしまいたい。
だけどそう出来ないのは、まだ心の片隅で期待しているから。
君が、来てくれるのではないか、と──
願わずにはいられない。
最期の瞬間には、彼女の笑顔が見たい、と。
しかし今紗綾が優先すべきは二ノ姫を護る事。
頭では理解している。
仮に俺が紗綾と同じ立場であったならそうしている筈だ。
だから、願ってはいけない。
求めてはいけない。
生まれいづる矛盾。
相反する感情に、押し潰されてしまいそうになる。
「忍人っ…!?」
ああ、ついに幻聴まで聞こえてきたらしい。
彼女の声がする。
聞きたいと欲した紗綾の声が。
ひどく動揺し、震えた声。
いつも凛とした姿でニノ姫を導いてきた少女のものとは、到底思えない弱々しい声に、俺は思わず苦笑いを浮かべる。
何故なら誰よりも強く、気高く、美しかった彼女を、こんなにも儚い存在に貶めたのは、他でもない俺自身だ。