神と人の綾なす物語
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余裕のある態度と眼差しが気に入らない。
生きてきた時間の長さがそう感じさせるのか。
風早にとって、僕はまだまだ子供なんだろう。
「じゃあ、怪我した所、見せてくれる?ちゃんと手当てしておかないと、後で俺がどやされちゃうからね」
やれやれ、といった様子で風早は力を高め始めた。
この世界で術を使うのと、豊葦原で術を使うのとでは、全く力加減が異なるのだ。
恵という要素のない現代では、回復をするのにも一苦労なのだ。
だからおちおちと怪我をする訳にはいかないし、大した怪我じゃないなら、それに頼る訳にはいかないのだ。
「紗綾はよほど那岐のことが心配なんだね」
風早の突然の言葉に、僕は出した右腕をそのままに固まってしまった。
一体何を言い出すんだ、この男は。
「は?」
「だから、紗綾は──」
「聞こえてるってば。あんた頭おかしいんじゃないの?」
吐き捨てた言葉に、風早は苦笑いを浮かべた。
「分かっていないのは、那岐の方だよ。紗綾は君のことを、本当に大切に思ってる」
風早は言いながら、僕の右腕に手を翳す。
みるみるうちに、僕の右腕の掠り傷は跡形もなく消えて。
初めからそんな怪我など存在していなかったかのような状態になった。