神と人の綾なす物語
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
紗綾の長い髪が朱い夕陽に染まって、いつもよりも美しく映えている。
中つ国に居た頃とは異なる“制服”という衣に身を包んでいてもなお、彼女から滲み出す可憐さは、魅力は全く変わらなかった。
それどころか、より一層輝きを増しているようにも思われる。
僕よりもずっとずっと細くて頼りない手足で、彼女は自分が守ると決めたものの為に日々奔走している。
守られるだけの姫君ではなく、武人としての勇ましさや逞しさを備えているからこそ、紗綾は様々な人を惹き付けて止まないのである。
そして勿論僕も例に違わぬ訳で。
僕がぼんやりとそんなことを考えていると、紗綾はいきなり前触れもなく振り返った。
「那岐、さっきはありがとう。でも、風早の言うことちゃんと聞いて、じっとしてなきゃ許さないんだからね」
真剣な眼差しで告げられて。
それに僕が抗える筈がないんだ。
だからこそ、紗綾はそれを分かっていてわざわざ念を押す。
僕が風早の所から逃げたりしないように。
「……」
僕は紗綾の言葉に対して返事をせず、沈黙を守った。
でも紗綾はその沈黙を肯定として受け取ったのか、満足げに家を後にした。