神と人の綾なす物語
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どうしてあんたがそんな泣きそうな顔をしてるんだよ。
泣きたいのは寧ろこっちだよ。
本気で。
「風早、那岐の手当てをお願い。荒魂との戦いでちょっと怪我しちゃったみたい。大事ないとは思うんだけど……」
紗綾は言いながら、手にしたままだった自分と僕の鞄をテーブルの上に置いた。
そして制服のネクタイを手早く外し、首周りを緩め、ラフな恰好になる。
「まだ荒魂が居るかも知れないから、残りは私が片付けてくるよ。千尋はもう部屋にいるんだよね?」
「えぇ。少し熱っぽいらしくて、ベッドで休んでるよ。紗綾、一人で大丈夫?」
「大丈夫。私の実力は、風早もよく知ってるでしょう?」
ウィンクを一つ此方に寄越して、紗綾はすぐさま僕達に背を向ける。
そしてそのまま玄関の方へ歩き出す。
「…そうだね。でも気をつけて」
風早の言葉に、紗綾はこちらを振り返らずに、ひらひらと手を振る。
その仕草は男っぽくて。
でも柔らかな振り方が、彼女のしなやかさを表していて。
とても頼りがいがあるように見えた。