神と人の綾なす物語
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しっかりしているのか。
それとも抜けているのか。
紗綾はどうにも判断し難い所があった。
彼女はどこまでも本気で、更には全力な女であるので、からかう訳にもいかず、どうにも反応し辛いことがある。
「一度目はまぁ仕方ないとしよう。それにしても、だ。二度目からは黒麒麟を喚べばいいだろう。紗綾の呼びかけにも応じるように言い聞かせてあるんだ」
「…あ、そう言われてみればそうだね」
どうやら本当に“黒麒麟を喚ぶ”という考えは頭の中にはさっぱり浮かばなかったらしい。
紗綾は恥ずかしそうに、ぽりぽりと頬を掻いている。
ほんのりと色付く頬が愛らしくて、俺は思わず紗綾の鼻の頭を爪弾いた。
「これからはそうしろ。まぁ、お前がこれから先、此処へ一人で来ることはないだろうけどな」
笑顔でそう告げると、紗綾も満足そうに破顔した。
くしゃ、と崩れた表情すら可愛らしく思う。
その笑顔を守り続けたいと願う。
「少し、昼寝でもするか」
「うん。あ、あそこの木陰なんていいんじゃないかな」
嬉しそうにまた俺の手を取って駆け出すまだ幼さの残る妻に。
俺は苦笑いとともにその手に引かれて走り出す。
たまには彼女の気紛れに付き合うのも悪くはない
彼女の思いつきも、我儘も
全ては自分の為のものだと
漸く気付くことが出来たから──
《終》