神と人の綾なす物語
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何を思ったのか、紗綾は細い指を俺のものに重ねてきた。
白い指に視線を下ろすと、紗綾はえへへ、と笑みを零す。
「あまり執務に根詰めないようにね。アシュは頑張りすぎる所があるから」
「民たちの為に日々力を尽くすのは当然のことだろう」
「そうだけど、もっと自分を大切にしなさいってこと。それに、釣った魚にもたまには餌やらないと、逃げちゃうかも知れないよ?」
釣った魚とは暗に紗綾自身を表していて。
皮肉めいた所でさえ、こんな素晴らしい場所に案内してもらったばかりでは愛らしく思えてしまう。
俺が、お前を手放すはずないだろう──
「ありがとう。この場所は有り難く使わせてもらうとするか。ただ、一つ聞いてもいいか?」
俺が尋ねると、紗綾はその先の言葉を求めるかのように小さく首を傾げる。
小動物めいた仕草は、昔と少しも変わらない。
「紗綾、お前毎回あの小さな穴を通って此処に来てるのか?」
「そうだよ。どうして?」
本当に俺の質問の意味を理解していない紗綾は、首を傾げる角度を更に大きくする。