神と人の綾なす物語
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紗綾は大きな団栗眼で俺を凝視したまま、低めの声で言う。
一人前に凄んでみせる所は、さすがは中つ国の元将軍、といったところか。
「何が面白いの?」
「いや、俺の妻は俺の前と他の人間の前とでは、えらく態度が違うな、と思っただけだ」
「…うん、それだけアシュが“特別”だってことでしょ。喜ぶべき所だと思うけど」
紗綾は恥ずかしげもなく、さらりと言ってみせる。
この辺りが、紗綾の面白い所だ。
異世界とやらで五年の時を過ごしたからなのか、それとも天性の気質なのか。
真相は定かではないが、俺は紗綾のこういったはっきりとした物言いを気に入っている。
紗綾は畏まると、恭しく頭を垂れた。
しなやかなその動作には、毎度のことながら驚かされる。
普段の天真爛漫さからは考えられないそのギャップが、彼女の魅力をより一層際立たせるのだろう。
「サティ、リブ、お見苦しい所をお見せした無礼をお許し下さい。そしてお騒がせして申し訳ありません」
「や、構いませんよ。話も一段落、といった所でしたから。ところで、慌てた様子でしたが…」
リブが疑問に思っていたことを尋ねると、紗綾はぱあっと瞳を輝かせる。
本当にころころと表情が変わることだ。
「ね、アシュを借りてもいいかなぁ?」
紗綾の言葉に、サティはあからさまに肩を撫で下ろす。
自分に“被害”が及ばないことが、よほど嬉しかったらしい。
一体紗綾はサティに何をしたのやら…
「構わん」
ぶっきらぼうにサティが答える。
しかし、それでも紗綾はにこにこと笑みを絶やさない。
「良かった。じゃあ、暫くアシュを借りるね」