神と人の綾なす物語
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「また紗綾に何かされたのか?」
「…いや、思い出すのも憚られる……」
「……そうか」
何か余程の事をされたらしい。
ただでさえ白いサティの顔が、今は青白く見える。
だが、紗綾は悪い奴ではないのだ。
そんな女ならば、俺が婚姻を結んだりする筈がない。
ただ、時々度が過ぎる所があるだけで──
「アーシュー!!」
勢い良く扉が開け放たれる。
その先には俺達の予想通りの人物である、紗綾の姿があった。
艶やかな長髪が、此処まで駆けてきたせいか、空気を孕み、ふんわりと持ち上がっている。
ほんのりと蒸気した桃色の頬が、それだけ彼女が全力疾走を繰り広げたことを物語っている。
部屋の中にいるのが、俺だけではないと気付いた紗綾は、慌てて居住まいを正す。
俺が見立ててやった真紅のドレスを、ぱたぱたと直して形を整えている。
その仕草が何だか滑稽なもののように思えて、俺は思わず吹き出してしまう。
俺のその笑いを聞き逃さなかった紗綾は、下からのアングルで俺を睨み付けてくる。
しかし、その怒ったような表情ですら、どこか小動物めいていて。
少しも威嚇の効果など発揮していなかった。