幼馴染みと恋人の境界線
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「後悔したこともある。まだ将臣に話せないこともある…それでも将臣は一緒にいてくれる?」
私は弱々しく声をあげた。
否定されても仕方がない、と思ってた。
だって私は都合のいいことばかり言っている。
それなのに。
それなのに、君は──
「うじうじ悩んでるんじゃねぇよ。お前らしくもない。奏多はただ俺の側で幸せそうに笑っていればいいんだよ」
どうしてそんなにも優しいの?
そんなにも優しくされると困ってしまうこと、ずっと一緒にいたから分かってるくせに。
「どうしてそんなこと言うんだよ」
「お前は自分から甘えてこないからこれくらいでちょぅどいいんだよ」
将臣はそう言って私の髪をぐしゃぐしゃに掻き回した。
短い毛先があらゆる方向に散らばる。
まるで鳥の巣みたいだ。
そんな私を見て、将臣はまたさらに笑う。
私はこの笑顔にどれだけ救われてきただろう。
何度も諦めて逃げ出したくなった時も、それでも何とか踏み止どまることが出来たのは将臣がいたから。
私に与えてくれた温もりをただ守りたくて。
失いたくなくて。
「甘やかしすぎたら調子に乗るかも知れないよ?」
「いいんだよ、別に。お前の我儘ならな」
将臣の腕から解放されていた私はスカートを翻しながら回転し、にっ、と悪戯な笑みを浮かべて。
将臣も私に合わせて笑ってくれる。
回りの人から見たら仲のいい普通の高校生の恋人に見えるんだろう。
でも私たちは違う。
私たちはそれ以上の、もっと深い絆で結ばれているから。
私たちはもう二度と離れたりしない──
《終》