幼馴染みと恋人の境界線
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私たちはお互いにどうすることも出来なかった。
自分たちを慕ってくれる人を、信じてくれている人を裏切る訳にはいかなかった。
行かないで、と叫ぶことが出来たなら。
腕を掴んで引き止められたら。
私たちの未来は、運命は変わっていたかも知れない。
でもそれももう遠い日のこと。
あの運命を後悔してももう遅い。
今ある運命こそが、私が、皆が望んだ運命だから。
「そんな顔するなって…そんな泣きそうな顔させるために此処に連れてきたんじゃねぇんだよ」
いつもよりも低く、掠れた声に私は胸が締め付けられる。
私だって将臣にそんな声を聞きたいんじゃないの。
君の笑った顔が見たい。
君の明るく私の名を呼ぶ声が聞きたい。
我儘だって分かってる。
私ばっかりが将臣に求めてばかりなんだって。
私は将臣に何も返してあげられないのに。
「私も…こんなつもりで京都に来たんじゃない。ただ将臣とずっと一緒に居たかった。一緒にいて綺麗なものを見て、美味しいものを食べたかったんだ」
私は将臣の背中に腕を回した。
離れたくなくて。
少しでも将臣の側にいたくて。