幼馴染みと恋人の境界線
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「あいつらのこと、あの世界のこと、考えてたんだろ?」
私が考えていたことを、将臣はあっさりと口にする。
私、自分の感情を隠すのだけは得意だったのにな。
だからこそ、誰にも悟られずに自分の願いを叶えたのに。
もしも将臣や譲、九郎さんが私のしていることに気づいていたとしたらきっと止められていたはずだから。
みんなが気づかない振りをしていたとはどうしても考えられない。
みんな知らなかったんだ。
知っていたのは、先生、白龍、望美だけ。
ほかの誰にも話していない。
もしも私自身がほかの時空で誰かに話していたとしたら話は別だけど。
今此処に、将臣とこうして二人でいることに幸せを感じている私は誰にも話してはいない。
話したくなかった。
誰にも、心配かけたくなかったんだ。
「当たり、だろ?」
「当たり。でもどうして分かったの?」
「どうしてって?そりゃあ顔に書いてあるからだよ」
「そっか…」
私はやっぱり元の世界に帰ってきたこと、戦いが終わったことで気が抜けてしまっているんだ。
どうしても、自分の感情を押さえ込むことが出来ない。
今まで我慢してきたものが一気にあふれ出しているような気がする。
「奏多」
私は将臣に名前を呼ばれて、俯いていた顔を上げる。
表情まで取り繕うことはどうしても出来なかったけれど。
「お前、なんて顔してんだよ」
「…どんな顔?」
「今にも泣き出しそうな顔」
「そんな顔してないよ?」
「俺がしてるって言ってんだからしてるんだよ」
将臣の強い口調に私は思わず黙り込む。
どうしてかそう言われると、本当に自分が泣きそうな顔をしているような気がしてくる。
目の奥が熱くなる。