幼馴染みと恋人の境界線
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私たちは、正確には私と将臣の二人は、電車に揺られて、鎌倉からはるばる京都までやってきた。
これは私のわがまま。
修学旅行で行けなかった京都を、あの世界に行ってから初めて訪れる。
将臣は初めこそ乗り気ではなくて反対していたんだけれど、結局折れて私に付いてきてくれることになった。
どうしても私一人で京都を、ううん、外を歩かせることが心配らしい。
そんなに心配しなくても、もう大丈夫なのに。
この世界に戻ってきて初めのときこそ戸惑うことは多かった。
住み慣れていた自分たちの世界のはずなのに、初めてあの異世界を訪れたときのような戸惑いが私を襲った。
帰ってきたはずなのに、降り立った自分の世界はなんだか他人の世界のように思われた。
「なんか、懐かしいなぁ。ま、あの世界とは違う京なだけどな」
将臣が背伸びをしながら私に言った。
私は静かに頷いてから空を見上げた。
この空は、あの世界の空にも繋がっているんだろうか?
ふとそんなことを考えてみたりもする。
景色が同じだとどうしても。
そんなことを考えても仕方のないことは分かってるの。
でも、私はまだあの世界を“懐かしい思い出”にすることが出来ない。
思い出にするにはあの世界はまだ近すぎる、優しすぎる。
「お前が今何考えてたか当ててやろうか?」
「何?将臣、いつの間にエスパーになったの?」
「あのなぁ…エスパーなんかじゃなくてもお前の考えてることくらいお見通しなんだよ」
なんだかこんなじゃれ合いのような言い合いも懐かしいな。
気を張り詰めてばかりで。
私は先のことばかり考えて、その日一日を大事に出来ていなかったような気がしてくる。