神と人の綾なす物語
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
歳は一つしか変わらない筈なのに、彼は時々ひどく大人びた顔をする。
師君の元に居た頃からそうだったけれど、忍人の方がよっぽど遠くを歩いているような気がする。
勿論、忍人にそんなことを話したりはしないけれど。
「君は少し見ない内に、随分と疑い深くなったな」
「…慎重になった、って言ってくれる?」
「言葉は捉えようだな」
忍人が私を元気づけようとしてくれているのが分かる。
慣れないことをするものだから、自分が饒舌になっていることにも気付いていないようだ。
私は触れられたままの手に、そっと自分の手を重ねる。
私の手が冷たいものだから、忍人の手がやけに熱く感じられる。
「さっきの言葉、取り消しは、聞かないよ?」
「構わない。元よりそのつもりだ」
「…ありがとう……」
ありがとう、なんてそんな陳腐な言葉じゃ、この胸にある気持ちを表現出来そうにない。
でも、その言葉以外は全く思いつかなかった。
独りで歩む筈だった道は
君の言葉で独りでなくなった
どんな辛い宿命の道も
君が居てくれるのなら
駆け抜けてみせよう
全てを守り抜いて──
《終》