神と人の綾なす物語
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消えない記憶。
焼き付いた光景。
私を縛り付けて離さないもの。
あの日ほど、自分の無力さを、愚かさを呪った事はない。
それは、忍人だって知っているくせに。
絶望の淵にいた私を救い出したのは、他でもない忍人だったのに。
あの日からずっと、忍人は私の“特別”なのに。
私はキッ、と睨み付けるように忍人を見上げた。
涙が滲んで、少しも迫力なんてなかったけど、それでも良かった。
私を見据えたままの忍人の腕が、ふっと持ち上がる。
ぶたれる、正直そう思った。
忍人はそういう所、容赦ないから。
私は反射的にぎゅ、と目を閉じる。
しかしいくら待てど、予想していた衝撃が私に襲い掛かることはなかった。
代わりに私に訪れたもの。
それは、優しく頬を包み込む、暖かな掌の感触だった──
「やっと…君の本音を聞けた気がするな」
「……忍人…?」
うっすらと、恐る恐る瞼を持ち上げると、眼前には忍人の穏やかな笑顔があった。
時折見せてくれる、寛いだ表情。
「紗綾、君が一人で全てを決断すると言うのなら、俺の進むべき道も、俺自身が決める。君の意志は、全く考慮しない」
「……」
「俺は、いつでも君を守る。君が戦いの終わりを感じるその日まで。君が自由になれる時が訪れるまで、俺は君の隣に在り続けよう」
「どんなに過酷な未来が待っていたとしても?誰からも望まれぬ道だとしても?」
縋りつくかのように言葉を連ねる私に、忍人はまるで“しょうがないな”というように笑った。