縮まらない二人の距離関係
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好きになってはいけない。
この気持ちを抱いてはいけない。
だけど分かっていても抑えられない気持ちだってある。
譲れない気持ちだってある。
どうしてあと2年早く生まれてくることができなかったんだろう。
どうしてお前の弟として生まれてきたんだろう。
何度この関係を恨んでも、何も変わりはしないと分かっている。
それでも願わずにはいられないんだ。
お前と幸せになりたい、と──
《本当は小さかった躯》
「ちょっとー!将臣ぃ、知盛ぃ、お酒なくなっちゃったじゃん!新しいの持って来てー」
すっかりできあがった様子で奏多は杯を上下させる。
ったく、そんなに酔う位に酒飲むなっての。
「クッ、女のくせによく飲むことだ……有川、お前の世界の女は皆こう、なのか?」
「いや、こいつは特殊だな。ったく飲み過ぎなんだよ」
「飲めない女よりはマシだと思うがな」
「だから度を超えてんだって」
知盛の相手をしているのも段々疲れてくる。
この二人と酒を飲むとろくなことがないな。
一人ずつだとそんな風には思わないのに。
「ちょっと二人して内緒話なんてひどいじゃん。私も混ぜてよ」
奏多はずいっと俺達の間に割り込んでくる。
その瞬間にふわりと風呂あがりの柔らかい香りが、俺の鼻を掠める。
石鹸の香りなのに奏多から漂ってくると思うだけでなまめかしさがあるような気がしないでもない。
「……ケチ。いいもん!!自分でお酒取ってくるから」
そう言って立ち上がる奏多の足取りはどこか覚束無くて。
一人で行かせたら何処かで眠りだしてしまいかねないような気がして、俺は奏多の肩を押え付けてもう一度座らせる。
「あーっ、もう俺が取ってくるからお前はここで知盛と大人しくしとけ」
「お、気が利くねー。さすがは将臣!」
「お前が行かせてるんだろ……」
「んん?何か言った?」
「いーや、何も」
冗談もそこそこに俺は立ち上がる。
早く取ってこないとうるさいからな。