刀剣乱舞 クロスオーバー

【捏造。小説二巻と三巻の間に依頼が入ったという事にしておいてください】




加州清光と一期一振が麻衣を庇う。二人は、麻衣を傷付けようとする敵を睨みつけ、薬研藤四郎に麻衣を護るように指示した。
「清光さん、一にい!!」
「大将、俺から離れないで」
麻衣は目の前に居る霊が自分に害なそうと分かっていた。それでも、大切な家族だから、彼等が傷付くのは嫌だった。
結果的に、二人の方が強いので怪我などしなかったのだが。何せ、末端とはいえ、【神】なのだから。しかしそれ以上に問題があった。
この部屋はモニタリングされている。つまり、映像として映し出されている上、録画もされている。
そう、あの毒舌ナルシストである所長に、バレたという事だ。
それに気付いた時、麻衣は顔を引き攣らせた。そして重い足取りでベースに戻ったのだった――。




「さて、言いたい事は理解しているだろう?」
「…………………はい」
蛇に睨まれた蛙。
この状況は正しくそれだ。
麻衣はナルを直視出来なかった。俯いたまま、冷汗をダラダラ流している。
「お前を護った【彼等】は何だ。白状しろ」
周りの皆も、助けようと思うものの、やはり気になるらしく、ナルを諌めようとはしない。
気になるのだ。
最初にあの映像に気付いたのは、リンだった。そこから、ナルと真砂子、滝川と綾子とジョンの順番で映像に釘付けになった。
何かが、麻衣を害なそう感じた。それに本人が気付き、振り向く。何かが、麻衣に手を伸ばし、麻衣は後退りした時だ。
いきなり麻衣の前に二人の青年が現れ、右に立つ青年が鞘から刀を抜きながら斬りつけたのは。

『主、お下がり下さい!!』
『薬研、主を安全な場所へ!!』

すると、もう一人が麻衣の真横に現れ、肩を抱く様に下がらせた。こちらは少年だ。
有り得ない。
突然現れ、それも明らかに明確な意思で麻衣を護る行動した。式紙ではない。式神か?
その答を知っているのは麻衣だけだ。だから、知りたかった。
そうして、再び問い掛けた。





――麻衣の味方はいない。
そんな時だった。第三者の声が響いたのは。



『余り、主を責めないでいただけますか?』



麻衣は頭を撫でられる感触がして、ハッと頭を上げ、隣を見上げる。そこには、へし切り長谷部が立っていた。
「へしにい、どうして出て来たの!!」
「これ以上、我が主に負担はかけられませんから。代表として、参りました。だから、もう大丈夫ですよ」
突然麻衣の隣に出現した美丈夫に、全員が目を見開く。
「傍におります、主。大丈夫ですよ」
「へしにい」
へし切りの言葉に、麻衣は確かに頷くと、ナルの顔を今度はしっかりと見つめたのだった。






麻衣は多少本当を交えた嘘で説明すると(この方が信憑性が高いと言われた)、翌日から薬研藤四郎を傍に置いた。彼は麻衣の近侍だったからだ。それに、時折起こる麻衣の無茶っぷりとドジっぷりを知っているし、フォローも上手い。よって、薬研は麻衣の傍にいて、麻衣の手伝いを自ら行う。
周囲はといえば、薬研という見目麗しい美少年に、まず女性陣は目を輝かせる。綾子なんて、麻衣もやるじゃないと思っていた。男性陣といえば、ジョンとぼーさんはいい子だなあと(中身は年上なのは知らない)見守りのスタンス。問題はナルとリンだ。特に『研究してみたい』と口にしたナルは、虎視眈々と狙っている。しかし、そんな事を麻衣は許さない。私の家族だからね。『そんな事したら、絶対許さないから!!』と麻衣は宣言した。それを聞いた長谷部は麻衣の頭を優しく撫でて『ありがとうございます』と口にして礼を述べ、微笑む。すると他の刀剣男士達も麻衣だけに聞こえる様にありがとうと礼を述べていく。その直後、感極まった加州清光が具現化して出て来て麻衣を抱きしめながら、『主大好きだーっ!!』と叫んだりしたが――。





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