刀剣乱舞 クロスオーバー
獅子王は麻衣を背に庇っていた。
彼の眼前には、ニヤニヤした笑みを浮かべた、しかしそれに反して目が虚ろな青年。
どう見ても、異常、である。
青年の首がガクンと右に倒れると、まるで口が裂けるのではないか位に両端が吊り上がって__、とっさに獅子王は麻衣を抱き上げ、横に飛び避けた。
有り得ないスピードで、青年が襲い掛かって来たのだ。
『ウヒヒャヒ』と、気持ち悪い笑い方をする青年に、麻衣は口元に手を当てて、青ざめる。
「主、掴まってろよ」
獅子王の服が、一瞬で変化する。
調査中の麻衣の護衛を務めていた獅子王は、現代の服を纏っていたのだ。それが、戦闘用の服に変化して、彼の肩に、音も無く現れた鵺が乗る。
鵺は『グルル…』と唸り声を上げ、威嚇した。
獅子王は麻衣を抱き上げているハンデをものともせず、攻撃を躱していく。単に単調な動きである為に、パターンが読みやすいというのもあるが。
「主、隙を作らせるから、誰か喚んでくれ」
「うん、分かった」
相手に集中しながらも、麻衣が頷くのを確認して、獅子王は相手の出方を注視する。
『ガアアアッ!!』
唸り声を上げて襲い掛かる青年に、獅子王が避けると同時に、彼の肩の鵺が飛び掛かった。顔に飛び掛かり視界を遮断させる。その隙に獅子王は青年を蹴り飛ばした。
鵺は、しっかり巻き添えを食らわず獅子王の定位置に戻ると、それと同時に麻衣が太郎太刀を喚んだ。
「太郎さん、お願い」
太郎太刀が麻衣の呼びかけに応え、顕現する。
「容赦はしません」
彼は振りかぶって、手に持つ獲物を振り下ろした。
ガンッ!!!!
物凄い打撃音と共に、青年の身体が崩れ落ちる。青年は、ピクリとも動かない。しかし、生きてはいる。
物音からして、鈍器で叩いた様な音だった。
青年は、斬られてはいない。
太郎太刀が手に持っているのは、【神垂】だ。それで人を斬る事は出来ない。__但し、唯では済まない。
「逃がしません」
太郎太刀は何も無い場所に視線を向けて、神垂から大太刀に一瞬で変化させると、横に薙いだ。
麻衣と獅子王には見えていた。太郎太刀が、青年に憑依していた霊を斬り伏せたのを。
「……ウチの刀剣って、ホント、除霊=物理だよね」
「今更じゃね?」
太郎太刀の除霊の一部始終を見て、そんな感想を口にする麻衣と獅子王。因みに、刀剣男士が顕現した主の影響を受けてしまうので、意外と物理的に物を言わすのは自身が原因だという事に、思いっきり知らないフリを決め込んだ麻衣であった__。
その後、『どうして記録が撮れない所で除霊するんだ』というナルの我が儘な言い分に、『んなの、知るかぁぁああっっ!!』と麻衣が吠え、そこから『私に怪我しろってか?!』『誘い出せば良いだろう。その頭は飾りか?』『んだとぉお?!』『だいたい__』
『だから何度も___』と、延々言い合う二人に、周囲は『これで何度目だろうな』『いい加減にしてくれないかしら』『全くですわ』『………(黙々仕事中)』と慣れた様子でお茶を飲んでいる。そんな中、獅子王は何処か含んだ笑みをしていたのに、誰も気付かない。
(素直じゃないなあ、所長は)
獅子王はナルをチラリと見て、出されたお茶を飲んだ__。
.
彼の眼前には、ニヤニヤした笑みを浮かべた、しかしそれに反して目が虚ろな青年。
どう見ても、異常、である。
青年の首がガクンと右に倒れると、まるで口が裂けるのではないか位に両端が吊り上がって__、とっさに獅子王は麻衣を抱き上げ、横に飛び避けた。
有り得ないスピードで、青年が襲い掛かって来たのだ。
『ウヒヒャヒ』と、気持ち悪い笑い方をする青年に、麻衣は口元に手を当てて、青ざめる。
「主、掴まってろよ」
獅子王の服が、一瞬で変化する。
調査中の麻衣の護衛を務めていた獅子王は、現代の服を纏っていたのだ。それが、戦闘用の服に変化して、彼の肩に、音も無く現れた鵺が乗る。
鵺は『グルル…』と唸り声を上げ、威嚇した。
獅子王は麻衣を抱き上げているハンデをものともせず、攻撃を躱していく。単に単調な動きである為に、パターンが読みやすいというのもあるが。
「主、隙を作らせるから、誰か喚んでくれ」
「うん、分かった」
相手に集中しながらも、麻衣が頷くのを確認して、獅子王は相手の出方を注視する。
『ガアアアッ!!』
唸り声を上げて襲い掛かる青年に、獅子王が避けると同時に、彼の肩の鵺が飛び掛かった。顔に飛び掛かり視界を遮断させる。その隙に獅子王は青年を蹴り飛ばした。
鵺は、しっかり巻き添えを食らわず獅子王の定位置に戻ると、それと同時に麻衣が太郎太刀を喚んだ。
「太郎さん、お願い」
太郎太刀が麻衣の呼びかけに応え、顕現する。
「容赦はしません」
彼は振りかぶって、手に持つ獲物を振り下ろした。
ガンッ!!!!
物凄い打撃音と共に、青年の身体が崩れ落ちる。青年は、ピクリとも動かない。しかし、生きてはいる。
物音からして、鈍器で叩いた様な音だった。
青年は、斬られてはいない。
太郎太刀が手に持っているのは、【神垂】だ。それで人を斬る事は出来ない。__但し、唯では済まない。
「逃がしません」
太郎太刀は何も無い場所に視線を向けて、神垂から大太刀に一瞬で変化させると、横に薙いだ。
麻衣と獅子王には見えていた。太郎太刀が、青年に憑依していた霊を斬り伏せたのを。
「……ウチの刀剣って、ホント、除霊=物理だよね」
「今更じゃね?」
太郎太刀の除霊の一部始終を見て、そんな感想を口にする麻衣と獅子王。因みに、刀剣男士が顕現した主の影響を受けてしまうので、意外と物理的に物を言わすのは自身が原因だという事に、思いっきり知らないフリを決め込んだ麻衣であった__。
その後、『どうして記録が撮れない所で除霊するんだ』というナルの我が儘な言い分に、『んなの、知るかぁぁああっっ!!』と麻衣が吠え、そこから『私に怪我しろってか?!』『誘い出せば良いだろう。その頭は飾りか?』『んだとぉお?!』『だいたい__』
『だから何度も___』と、延々言い合う二人に、周囲は『これで何度目だろうな』『いい加減にしてくれないかしら』『全くですわ』『………(黙々仕事中)』と慣れた様子でお茶を飲んでいる。そんな中、獅子王は何処か含んだ笑みをしていたのに、誰も気付かない。
(素直じゃないなあ、所長は)
獅子王はナルをチラリと見て、出されたお茶を飲んだ__。
.