刀剣乱舞 クロスオーバー

今日は良い天気です。
昼間はカンカンと陽が照っておりました。お天気ニュースはやっと梅雨明け宣言です。


__現在時刻は夜八時過ぎた頃。麻衣と一緒にいるのは、山姥切国広と山伏国広の二人。三人はスーパーで買い物をしてから、目的地まで夜道を散歩していた。三人の手には、大量の花火。
花火の種類は、セット物から打ち上げ物から、まあ様々である。それを持って三人は、広々とした花火が出来る場所に向かって他愛のない会話を楽しみながら、歩いていた。
ところで、何故この二人かと問われれば、麻衣が落ち込んだ山姥切に対する謝罪とお詫びの意味を込めて誘った買い出しに、山伏もまた心配していた為一緒に付き合った、というのが答えである。
実は麻衣は数日前、ちょっと容赦ない言葉で、山姥切の心にグサリと深~く刃を突き立てたのであった。




「国広さん、なんか最近カビ臭い」



「!!」




山姥切は崩れ落ちた。リアルorzである。
因みに聞いてしまった他の面々は、顔を引き攣らせたり、渇いた笑みを浮かべたりと、山姥切に同情していたが。
ただ、麻衣は別に傷付けたくて言った訳じゃない。
実は、梅雨入りとなり、連日の雨でジメッとした日が続いた所為で、山姥切の被っている布かが湿っぽくなってしまったのだ。それプラス、乾燥機を使ってはいるのだが、洗濯物が渇きにくくなってしまい、それを知った山姥切が余り洗わなくなった所為で、異臭を放つようになってしまったのである。
審神者をやっていた時は、神域に暮らしている事と、審神者の霊力で生活環境が整っていたと言う事もあり、あまり不便は感じなかったし、天気も安定して良い。また、三日に一度は必ず洗っていた事もあり問題がなかったのだが、今の暮らしは人間の世界であり、審神者の霊力で天気が安定するわけではない。天気は常に不安定であり、現在は梅雨時である。乾燥機があるとはいえ洗濯物が乾かない日が続き、部屋の湿度も高いので、影響が出てしまったのだ。
ズーンと陰を背負って蹲る山姥切の布を麻衣は剥ぎ取り、それを光忠に渡す。
光忠はそれを洗濯する為移動したが、心配そうに山姥切を一度振り返って見た程、心配していた。さて麻衣と言えば、山姥切の布を剥ぎ取った後、次郎太刀と加州清光の所に向かい、二人を山姥切の元に連れて来る。
二人は、茸を生やしてしまいそうな程どんよりした山姥切を見て顔を引き攣らせた。そんな二人に、麻衣は山姥切のコーディネートを頼む。
『カビ臭い』という言葉に、イコール着替えていない洗濯していないと結び付けた二人の行動は早かった。次郎が山姥切を有無言わさず担ぎ上げて運び、加州が衣装部屋の扉を開け放つ。バタンと締め切った途端、山姥切の『キャアアアアアアッッ!!!!』という悲鳴が聞こえたが、助ける訳にはいかない。何せ、“主の命令”だからだ。
という訳で、『頑張れ』と、この場に居た刀剣達は心の中で合掌するしか無かった。





暫くして、現代風の服装で衣装部屋から出てきた山姥切は、満身創痍】(メンタル面が)でバタンと倒れた。逆に次郎と加州は、良い仕事をしたとばかりに笑顔で汗を拭う動作をしたが。
山姥切の服装は、先程の内番服のジャージから、正装服に近い服装になっていた。彼の容姿から、濃いめの色合いで、かつ、清涼感を持たせた服装。先程とは雲泥の差だ。
柔軟剤の柔らかな香りが、山姥切を包む。
よしよしと頷く麻衣とコーディネートした二人は、(≧ω≦)bジョブと親指を立てたのだった。




__と、こんな出来事があった日から、山姥切は常に暗かった。
山姥切にとって麻衣は、大事な大事な主であり、妹のように思う人間でもある。過保護組に名を連ねている山姥切にとって、麻衣の言葉は重い。天国(気分)から地獄(気分)まで自由自在、なのだ。
よって、自殺を図る真似数回、何も無い場所でコケる数回、押し入れ引き籠もり数回、フラフラ歩いてぶつかる数回__、という訳で生傷も絶えなかった。
そんな様子に麻衣も心を痛め、言い過ぎた言葉を謝ろうとしたのだが、山姥切が麻衣を避けてしまう上、最終的には御神刀に引き籠もり現世に顕現さえしてこないようになってしまった為、謝りたくても謝れない。
山伏国広が兄弟を心配して、麻衣に現在の様子を告げに来てくれたので、麻衣は彼に、歌仙と協力して連れて来るように頼んだのである。
その後、夜遅くやっと、駄々っ子みたいに嫌だと駄々捏ねまくりにまくった山姥切は、山伏と歌仙+堀川に薬研と長谷部も協力して麻衣の前に連れ出され、やっと麻衣も彼に謝れたのであった。



「ごめんね、歌仙さん」
「うん…、まあ、疲れたかな……」



その後麻衣は、今後如何なる場合でも、山姥切に対しては言葉に気を付けるようにと、歌仙にお願いされた。それに対し、麻衣もまた真面目に真剣にに頷くのであった___。




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