仮面達の夜想曲
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「うっ・・ふぅ、うっ・・・!」
涙が止まらない。体の震えが止まらない。
この人が怖い。佐川と同じ目をしているこの人が怖い。
(見たく・・ないっ・・・!)
目を閉じてるけど、体が恐怖で固まって顔を隠せない。
「うぁ・・あぁっ、うぁっ・・!!」
(どうしようっ・・止まら、ない・・・!)
「・・・おい・・。」
ふと私の腕を掴んでいた支配人の手が離れるのに気がつく。
そしてその掴んでいた手が・・涙を流す私の頬に触れてきた。びくりと反応して恐る恐る目を開くと・・支配人は、もう怖い目をしていなかった。
「すまん・・面倒見てもろたんに泣かせるやなんて、支配人としてアカン事やな。」
「し・・はい、にん・・・!」
「・・無理に喋らんでええよ。今は泣いとき・・な?」
優しかった。その目もその声も。今まで見た事のない聞いた事のないくらい優しさがあった。
さっきまであんなに怖かったのに・・もう、今は・・・。
「ふぇ・・うっ、ぐすっ・・・!」
「随分怖がらせてしもうたな。」
「・・ぐすっ、大丈夫、です・・・。」
「ふっ・・鼻水垂らしてもうてるやん。美人が台無しやで?」
・・・ふふっ、美人が台無しって・・。
「あはっ・・支配人ってそんな事言うんですね。」
「・・真島や。」
「え?」
支配人は傍に置いてあった予備のタオルで私の顔を丁寧に拭きながらそんな事を言ってきた。
「店ん外では真島でええ。ええな?」
『ドキッ・・』
「はっ・・はい・・・真島、さん・・。」
「ん。」
拭き終わったタオルを置いて優しく私の頭を撫でながらニッコリ笑ってくる支配人・・ううん、真島さん。
ビックリした・・真島さんって、あんな笑顔するんだな・・グランドの時とはまた違う笑顔してる・・。
『ジュッ』
・・・ん?ライターの音?
ふと真島さんを見ると煙草を取り出していつの間にか吸っていた。
「あっ!こら真島さん!熱出てるのに吸わないでください!」
「ええやんか別に、気楽に吸える場所ないんやから。」
「じ、自宅があるじゃないですか!」
「監視されとる場所で呑気もクソもないわ。」
「えっ・・。」
監視されてるって・・誰に・・・?それにこの場所しってみたいだし・・・まさか・・。
「あの・・真島さんは佐川とはどういう・・・?」
「・・まぁ・・訳あって監視されとるんや。グランドのオーナーは佐川や。」
「えっ?!」
嘘っ・・あの人オーナーだったの?!
佐川がオーナーって事は・・ヤクザ業のシノギってやつなのかな。監視されてるって言ってたけど・・・佐川と関係があるなら、もしかして・・・。
(真島さんも・・・?)
「真島さんも・・・ヤクザ、なんですか・・?」
(もし真島さんがヤクザだったら・・・。)
「・・ちゃうで。俺はカタギや。」
「——!」
良かった・・違うんだ・・・。
ほっと溜息をつくと、真島さんは煙草の煙を上に向いて吹く。やっぱり・・真島さんの煙草の匂い、嫌いじゃない。じっと横顔を見てるとこっちを見ないで真島さんは質問してきた。
「・・ヤクザ嫌いなんか?」
「・・・。」
「俺がカタギ言うて安心したやろ?前に佐川の事嫌い言うとったが・・なんか関係あるんか?」
「・・・・。」
(話しても・・いいかな・・。)
この人だって・・あの男の犠牲者なんだよね?監視されてるただの一般人なら・・そう、だよね・・・。真島さんも嫌いって言ってたけどそれも理由って事・・だもんね・・・。
「・・借金・・です。」
「借金?」
(両親を、あの男に殺されて———)
「っ・・あ、あの男に・・・返してるん、です・・その為にグランドで・・・。」
「・・・せやったんか。」
言えない・・両親の事は、さすがに言えない・・・。
内容が内容だし・・・。
「せやからあない頑張っとったんか?アンナちゃんから教わったりしてたやろ?」
「はい・・早く1人前になりたくて・・・。」
「・・・。」
真島さんは煙草の火を指で握り消して吸殻をそっと床に置く。
火傷しちゃわない?!って思ってたら、こっちに手を伸ばしてきて———
「わっ?!」
髪の毛をぐちゃぐちゃにされるくらい頭を乱暴に撫でられた。
「な、何ですか?!」
「1人で頑張る必要あらへん。」
「え・・・?」
今、何て・・?
ちらりと目を見ると、真島さんは真面目な顔と目で私を見てた。
そんな顔に・・また心臓がドキッとなる。
「俺が体調戻ったらびっちりレッスンしたる。お互い佐川とは因縁があるし・・俺もアイツが気に食わんからの。手伝うたる。」
「・・へ・・・?」
手伝う・・・レッスンって・・えっ、真島さんが私の接客を見てくれるって事?え、いいのそれ?!いや凄い有難いんだけど・・。
ポカンとしながらそんな事を考えてたら、真島さんはゆらりと立ち上がり玄関に向かって行く。
「えっ・・そんな体で・・!」
「大丈夫や。ここ1階やろ?」
「そ、そうですけど関係ないんじゃ・・・。」
「俺の部屋この上やし。」
(・・・え・・・この上って・・えっ?!)
「ま・・真島さんここに住んでるんですか?!」
こんなボロアパートに?!噓でしょ?!何で?!
「佐川に監視されとる言うたやろ?ちゅう事は?」
「・・・アイツに、用意された・・部屋・・・?」
「そういう事や。・・ほなまたの。世話んなったわ。」
ふっとした笑顔でそう言うと、真島さんは部屋を出て行った。そしてすぐ目の前の階段がカンカンと昇る音が聞こえてくる。
・・・本当に住んでるんだ・・・。
「・・・・。」
上に・・・真島さんが住んでるんだ・・同じアパートだなんて思わなかった・・・。
(・・ちょっと・・嬉しい・・・。)
・・・・・。
(えっ、何で嬉しいんだろ。)
・・・・・。
(・・とりあえず・・・灰皿用意しなきゃ・・。)
翌日、私はドンキに買い物に向かった。
真島さん用の灰皿を買う為に。
涙が止まらない。体の震えが止まらない。
この人が怖い。佐川と同じ目をしているこの人が怖い。
(見たく・・ないっ・・・!)
目を閉じてるけど、体が恐怖で固まって顔を隠せない。
「うぁ・・あぁっ、うぁっ・・!!」
(どうしようっ・・止まら、ない・・・!)
「・・・おい・・。」
ふと私の腕を掴んでいた支配人の手が離れるのに気がつく。
そしてその掴んでいた手が・・涙を流す私の頬に触れてきた。びくりと反応して恐る恐る目を開くと・・支配人は、もう怖い目をしていなかった。
「すまん・・面倒見てもろたんに泣かせるやなんて、支配人としてアカン事やな。」
「し・・はい、にん・・・!」
「・・無理に喋らんでええよ。今は泣いとき・・な?」
優しかった。その目もその声も。今まで見た事のない聞いた事のないくらい優しさがあった。
さっきまであんなに怖かったのに・・もう、今は・・・。
「ふぇ・・うっ、ぐすっ・・・!」
「随分怖がらせてしもうたな。」
「・・ぐすっ、大丈夫、です・・・。」
「ふっ・・鼻水垂らしてもうてるやん。美人が台無しやで?」
・・・ふふっ、美人が台無しって・・。
「あはっ・・支配人ってそんな事言うんですね。」
「・・真島や。」
「え?」
支配人は傍に置いてあった予備のタオルで私の顔を丁寧に拭きながらそんな事を言ってきた。
「店ん外では真島でええ。ええな?」
『ドキッ・・』
「はっ・・はい・・・真島、さん・・。」
「ん。」
拭き終わったタオルを置いて優しく私の頭を撫でながらニッコリ笑ってくる支配人・・ううん、真島さん。
ビックリした・・真島さんって、あんな笑顔するんだな・・グランドの時とはまた違う笑顔してる・・。
『ジュッ』
・・・ん?ライターの音?
ふと真島さんを見ると煙草を取り出していつの間にか吸っていた。
「あっ!こら真島さん!熱出てるのに吸わないでください!」
「ええやんか別に、気楽に吸える場所ないんやから。」
「じ、自宅があるじゃないですか!」
「監視されとる場所で呑気もクソもないわ。」
「えっ・・。」
監視されてるって・・誰に・・・?それにこの場所しってみたいだし・・・まさか・・。
「あの・・真島さんは佐川とはどういう・・・?」
「・・まぁ・・訳あって監視されとるんや。グランドのオーナーは佐川や。」
「えっ?!」
嘘っ・・あの人オーナーだったの?!
佐川がオーナーって事は・・ヤクザ業のシノギってやつなのかな。監視されてるって言ってたけど・・・佐川と関係があるなら、もしかして・・・。
(真島さんも・・・?)
「真島さんも・・・ヤクザ、なんですか・・?」
(もし真島さんがヤクザだったら・・・。)
「・・ちゃうで。俺はカタギや。」
「——!」
良かった・・違うんだ・・・。
ほっと溜息をつくと、真島さんは煙草の煙を上に向いて吹く。やっぱり・・真島さんの煙草の匂い、嫌いじゃない。じっと横顔を見てるとこっちを見ないで真島さんは質問してきた。
「・・ヤクザ嫌いなんか?」
「・・・。」
「俺がカタギ言うて安心したやろ?前に佐川の事嫌い言うとったが・・なんか関係あるんか?」
「・・・・。」
(話しても・・いいかな・・。)
この人だって・・あの男の犠牲者なんだよね?監視されてるただの一般人なら・・そう、だよね・・・。真島さんも嫌いって言ってたけどそれも理由って事・・だもんね・・・。
「・・借金・・です。」
「借金?」
(両親を、あの男に殺されて———)
「っ・・あ、あの男に・・・返してるん、です・・その為にグランドで・・・。」
「・・・せやったんか。」
言えない・・両親の事は、さすがに言えない・・・。
内容が内容だし・・・。
「せやからあない頑張っとったんか?アンナちゃんから教わったりしてたやろ?」
「はい・・早く1人前になりたくて・・・。」
「・・・。」
真島さんは煙草の火を指で握り消して吸殻をそっと床に置く。
火傷しちゃわない?!って思ってたら、こっちに手を伸ばしてきて———
「わっ?!」
髪の毛をぐちゃぐちゃにされるくらい頭を乱暴に撫でられた。
「な、何ですか?!」
「1人で頑張る必要あらへん。」
「え・・・?」
今、何て・・?
ちらりと目を見ると、真島さんは真面目な顔と目で私を見てた。
そんな顔に・・また心臓がドキッとなる。
「俺が体調戻ったらびっちりレッスンしたる。お互い佐川とは因縁があるし・・俺もアイツが気に食わんからの。手伝うたる。」
「・・へ・・・?」
手伝う・・・レッスンって・・えっ、真島さんが私の接客を見てくれるって事?え、いいのそれ?!いや凄い有難いんだけど・・。
ポカンとしながらそんな事を考えてたら、真島さんはゆらりと立ち上がり玄関に向かって行く。
「えっ・・そんな体で・・!」
「大丈夫や。ここ1階やろ?」
「そ、そうですけど関係ないんじゃ・・・。」
「俺の部屋この上やし。」
(・・・え・・・この上って・・えっ?!)
「ま・・真島さんここに住んでるんですか?!」
こんなボロアパートに?!噓でしょ?!何で?!
「佐川に監視されとる言うたやろ?ちゅう事は?」
「・・・アイツに、用意された・・部屋・・・?」
「そういう事や。・・ほなまたの。世話んなったわ。」
ふっとした笑顔でそう言うと、真島さんは部屋を出て行った。そしてすぐ目の前の階段がカンカンと昇る音が聞こえてくる。
・・・本当に住んでるんだ・・・。
「・・・・。」
上に・・・真島さんが住んでるんだ・・同じアパートだなんて思わなかった・・・。
(・・ちょっと・・嬉しい・・・。)
・・・・・。
(えっ、何で嬉しいんだろ。)
・・・・・。
(・・とりあえず・・・灰皿用意しなきゃ・・。)
翌日、私はドンキに買い物に向かった。
真島さん用の灰皿を買う為に。