仮面達の夜想曲
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私がグランドに残る理由。
そんなの1つしかないけど・・み、みんなの前で話さなきゃいけないのがすごい恥ずかしい・・!!
「つ、司・・?」
アンナさんのその言葉に顔を上げると、佐川が一歩近づいていた。
「っ・・・。」
「・・・なぁ嬢ちゃん。」
その”嬢ちゃん”って言い方が、どこか少し寂しそうだった。
きっと・・近づいてきた時に身構えちゃったから。もう怖がる必要もないのに、どうしても駄目。やっぱりすぐには直せないよ・・。
寂しそうな顔をした後に小さなため息を吐いて、何かを悟っているような渇いた笑いで私を見てくる。
「正直に言っていいんじゃない?自分の本心は素直に言ったほうがいいんじゃないの?」
「・・えっ・・?」
嘘・・佐川、気付いたの・・・?
「・・分かっちゃうんだね・・。」
「まぁ職業柄察しちゃうんだよなぁ。理由だけ聞いたら俺とアンナは帰るからさ、言った方が早く二人きりになれるぜ?」
「・・・。」
自分の本心は素直に言ったほうがいい・・か・・。
それを佐川が言うのはどうなんだって思っちゃうけど・・でも、うん。そうだね。言ったほうがいいよね。
もう・・この人達には、隠し事したくない。
「私が残る理由は1つしかないですよ。」
その言葉にゴクリと唾を飲みながら見てくる真島さんとアンナさん。
そ・・・そんな真剣な目で聞くような話じゃないのに・・。
「私はただ、真島さんと・・。」
そう、真島さんと・・・。
「真島さんと離れたくないだけです。」
「・・・・えっ・・?」
・・・・・・・・・。
私の答えにパッとしないのか不思議そうな目をしている真島さんだけど、アンナさんは私の言葉に驚いた後ニヤニヤとした顔になって佐川の腕を組んで歩き始めた。
「うふふ、私達お邪魔みたいね!」
「だな。行くかアンナ。」
「ちょっ、どういう事や?!」
「ちゃんと説明してやんなよ?嬢ちゃん。」
「ふふ〜、ごゆっくり〜♪」
不気味な笑い方をしたアンナさんは同じようにニヤニヤとした笑顔でいる佐川と一緒にその場を出て行った。
暫くの間私達の間には沈黙があったけど、その沈黙は真島さんの言葉で終わる。
「・・とりあえず、歩こか。」
「はい。」
私達は番台さんに軽く会釈した後、アパートへ向かって歩き始めた。
・・去り際に真島さんにバレないように、番台さんが私にグッドサインしてきた・・あれ、頑張れって意味だよね??
佐川とアンナさんと番台さんは気付いたのに、真島さんだけ気付いてないのって、なんかシュール・・・。
「・・ほんで、俺と離れたくないって・・・。」
「・・・・。」
本当に気付いてなかった・・・。
「真島さんはどうして私と一緒にいたいんですか?」
「・・そんなん、お前が好きやから・・。」
「ふふっ、それと同じですよ。」
「え?」
「私も真島さんが好きだから離れたくないだけですよ?」
「・・〜〜っ!!」
耳まで真っ赤になった真島さんは視線を逸らして頭を掻き始めた。
そ、そんな真島さん見た事ないからこっちが恥ずかしくなっちゃうよ・・!!
暫く唸った後に軽く咳払いをして、真島さんは私を見てくる。
「・・・ええんか?」
「・・?何がです?」
「俺は・・極道に戻るまでグランドを離れる事はできんのや。あと数ヶ月かもしれへんし、数年後になるかもしれへん。いつ自由になれるかも分からん・・それでも、ええんか?」
「・・・・。」
真島さんの言う通りだ。今真島さんがグランドにいる理由は、いつ戻れるかも分からない極道の世界に戻る為。そんな人の傍にいるって事は、私自身もいつまでこの街に縛られるか分からない。
でも・・そんなの分かってるよ。分かりきってる。
「それでも私は・・真島さんの傍にいたいです。」
それくらい私は–––真島さんの事が好きだから。
「・・そうか・・。」
そう呟く真島さんは–––頬を赤くさせながら笑顔で私の手を握ってくれた。そんな笑顔につられて私も笑顔になってしまう。
笑い合う私達、今まで笑いあった事は何度もあるけど・・・心の底から笑える事はなかった。でもなんの嘘も偽りもない今の私達はきっと、心の底から笑い合えてると思う。
笑い合ってるこの時間が・・凄い幸せって感じれるから。
「ほんならグランド離れた時、不憫のないよう稼がなアカンな!」
「そうですね!私も頑張ります!」
「ヒヒッ、また明日から頼むで?」
「はいっ!」
–––––そんな言葉を交わしてから数ヶ月後。
私は今でも住んでいるボロアパートの窓から外を眺めていた。夜のネオンに包まれる蒼天堀は相変わらずだった。
「さてと・・そろそろ作るかな。」
帰ってくる時間に合わせて私は夕飯・・というか朝飯に近いものを作り始める。最近疲れてそうだから栄養のあるご飯作らなきゃ!
(まさか・・こんな事になるなんて思ってもなかったなぁ。)
包丁で具材を切りながらそんな事を考えていた。
切った具材をフライパンに入れ炒め始める。ある程度火が通ったところで味噌汁も作り始めてると、ちょうどいいタイミングで玄関の扉が開かれる。
「お〜、戻ったで〜シエル。」
「あ、お帰りなさい!」
「今日もええ匂いやの〜!・・あ、せや!」
帰ってきたのは、タキシードを着こなしている真島さん。
靴を脱いだ真島さんは膝をついて・・・私のお腹に顔を寄せてくる。
「ただいまやで〜!今日もええ子にしとったか〜?」
「ふふっ、聞こえてるかな?」
「聞こえとる聞こえとる!のぉ〜?」
あの日、真島さんと結ばれたあの夜。
暫く経って体調を崩し始めた私は病院へ向かったけど、原因は分からなかった。怖くてしょうがなかった・・一体どうなっちゃうんだろうって。
その思いをアンナさんに相談したら・・・。
『ねぇ・・それって悪阻じゃないの?』
『・・・・え?』
そんなことを言われて・・いやいやまさかって思って産婦人科に行ってみたら・・・。
『こりゃおめでたですわ〜!』
『・・・・・え?!』
(できちゃうかもって言ってたけど・・こんな事になろうとは・・。)
その日の夜、いつものように3人でラーメン屋さんに行って妊娠の事を打ち明けた。
・・ふふっ、あの時の真島さんの表情凄かったなぁ・・人って放心状態になるとあんな顔になるんだ。
『・・そう、か・・そう、なんか・・・。』
でも・・その後の真島さんの行動が凄い嬉しかった。
『・・おおきに・・おおきになシエル・・・俺、今すげぇ幸せやで・・。』
泣きながら私のお腹に手を添えてそんな事を言ってた。
そんな真島さんの言葉が凄い嬉しくて・・幸せで・・私も一緒に泣いちゃって・・アンナさんや店長さんに凄い祝福されたのを覚えてる。
それから身籠った私はお酒を飲むわけにはいかなく、グランドを休職中。今はお腹の子の為に、家で大人しく生活をしていた。
「元気に産まれるとええなぁ〜。」
「大丈夫だよ。私と・・真島さんの子供だもん。」
そんな会話を毎日している私達はお腹を優しくさすっている。
私達のこの会話が、聞こえますように。
そんなの1つしかないけど・・み、みんなの前で話さなきゃいけないのがすごい恥ずかしい・・!!
「つ、司・・?」
アンナさんのその言葉に顔を上げると、佐川が一歩近づいていた。
「っ・・・。」
「・・・なぁ嬢ちゃん。」
その”嬢ちゃん”って言い方が、どこか少し寂しそうだった。
きっと・・近づいてきた時に身構えちゃったから。もう怖がる必要もないのに、どうしても駄目。やっぱりすぐには直せないよ・・。
寂しそうな顔をした後に小さなため息を吐いて、何かを悟っているような渇いた笑いで私を見てくる。
「正直に言っていいんじゃない?自分の本心は素直に言ったほうがいいんじゃないの?」
「・・えっ・・?」
嘘・・佐川、気付いたの・・・?
「・・分かっちゃうんだね・・。」
「まぁ職業柄察しちゃうんだよなぁ。理由だけ聞いたら俺とアンナは帰るからさ、言った方が早く二人きりになれるぜ?」
「・・・。」
自分の本心は素直に言ったほうがいい・・か・・。
それを佐川が言うのはどうなんだって思っちゃうけど・・でも、うん。そうだね。言ったほうがいいよね。
もう・・この人達には、隠し事したくない。
「私が残る理由は1つしかないですよ。」
その言葉にゴクリと唾を飲みながら見てくる真島さんとアンナさん。
そ・・・そんな真剣な目で聞くような話じゃないのに・・。
「私はただ、真島さんと・・。」
そう、真島さんと・・・。
「真島さんと離れたくないだけです。」
「・・・・えっ・・?」
・・・・・・・・・。
私の答えにパッとしないのか不思議そうな目をしている真島さんだけど、アンナさんは私の言葉に驚いた後ニヤニヤとした顔になって佐川の腕を組んで歩き始めた。
「うふふ、私達お邪魔みたいね!」
「だな。行くかアンナ。」
「ちょっ、どういう事や?!」
「ちゃんと説明してやんなよ?嬢ちゃん。」
「ふふ〜、ごゆっくり〜♪」
不気味な笑い方をしたアンナさんは同じようにニヤニヤとした笑顔でいる佐川と一緒にその場を出て行った。
暫くの間私達の間には沈黙があったけど、その沈黙は真島さんの言葉で終わる。
「・・とりあえず、歩こか。」
「はい。」
私達は番台さんに軽く会釈した後、アパートへ向かって歩き始めた。
・・去り際に真島さんにバレないように、番台さんが私にグッドサインしてきた・・あれ、頑張れって意味だよね??
佐川とアンナさんと番台さんは気付いたのに、真島さんだけ気付いてないのって、なんかシュール・・・。
「・・ほんで、俺と離れたくないって・・・。」
「・・・・。」
本当に気付いてなかった・・・。
「真島さんはどうして私と一緒にいたいんですか?」
「・・そんなん、お前が好きやから・・。」
「ふふっ、それと同じですよ。」
「え?」
「私も真島さんが好きだから離れたくないだけですよ?」
「・・〜〜っ!!」
耳まで真っ赤になった真島さんは視線を逸らして頭を掻き始めた。
そ、そんな真島さん見た事ないからこっちが恥ずかしくなっちゃうよ・・!!
暫く唸った後に軽く咳払いをして、真島さんは私を見てくる。
「・・・ええんか?」
「・・?何がです?」
「俺は・・極道に戻るまでグランドを離れる事はできんのや。あと数ヶ月かもしれへんし、数年後になるかもしれへん。いつ自由になれるかも分からん・・それでも、ええんか?」
「・・・・。」
真島さんの言う通りだ。今真島さんがグランドにいる理由は、いつ戻れるかも分からない極道の世界に戻る為。そんな人の傍にいるって事は、私自身もいつまでこの街に縛られるか分からない。
でも・・そんなの分かってるよ。分かりきってる。
「それでも私は・・真島さんの傍にいたいです。」
それくらい私は–––真島さんの事が好きだから。
「・・そうか・・。」
そう呟く真島さんは–––頬を赤くさせながら笑顔で私の手を握ってくれた。そんな笑顔につられて私も笑顔になってしまう。
笑い合う私達、今まで笑いあった事は何度もあるけど・・・心の底から笑える事はなかった。でもなんの嘘も偽りもない今の私達はきっと、心の底から笑い合えてると思う。
笑い合ってるこの時間が・・凄い幸せって感じれるから。
「ほんならグランド離れた時、不憫のないよう稼がなアカンな!」
「そうですね!私も頑張ります!」
「ヒヒッ、また明日から頼むで?」
「はいっ!」
–––––そんな言葉を交わしてから数ヶ月後。
私は今でも住んでいるボロアパートの窓から外を眺めていた。夜のネオンに包まれる蒼天堀は相変わらずだった。
「さてと・・そろそろ作るかな。」
帰ってくる時間に合わせて私は夕飯・・というか朝飯に近いものを作り始める。最近疲れてそうだから栄養のあるご飯作らなきゃ!
(まさか・・こんな事になるなんて思ってもなかったなぁ。)
包丁で具材を切りながらそんな事を考えていた。
切った具材をフライパンに入れ炒め始める。ある程度火が通ったところで味噌汁も作り始めてると、ちょうどいいタイミングで玄関の扉が開かれる。
「お〜、戻ったで〜シエル。」
「あ、お帰りなさい!」
「今日もええ匂いやの〜!・・あ、せや!」
帰ってきたのは、タキシードを着こなしている真島さん。
靴を脱いだ真島さんは膝をついて・・・私のお腹に顔を寄せてくる。
「ただいまやで〜!今日もええ子にしとったか〜?」
「ふふっ、聞こえてるかな?」
「聞こえとる聞こえとる!のぉ〜?」
あの日、真島さんと結ばれたあの夜。
暫く経って体調を崩し始めた私は病院へ向かったけど、原因は分からなかった。怖くてしょうがなかった・・一体どうなっちゃうんだろうって。
その思いをアンナさんに相談したら・・・。
『ねぇ・・それって悪阻じゃないの?』
『・・・・え?』
そんなことを言われて・・いやいやまさかって思って産婦人科に行ってみたら・・・。
『こりゃおめでたですわ〜!』
『・・・・・え?!』
(できちゃうかもって言ってたけど・・こんな事になろうとは・・。)
その日の夜、いつものように3人でラーメン屋さんに行って妊娠の事を打ち明けた。
・・ふふっ、あの時の真島さんの表情凄かったなぁ・・人って放心状態になるとあんな顔になるんだ。
『・・そう、か・・そう、なんか・・・。』
でも・・その後の真島さんの行動が凄い嬉しかった。
『・・おおきに・・おおきになシエル・・・俺、今すげぇ幸せやで・・。』
泣きながら私のお腹に手を添えてそんな事を言ってた。
そんな真島さんの言葉が凄い嬉しくて・・幸せで・・私も一緒に泣いちゃって・・アンナさんや店長さんに凄い祝福されたのを覚えてる。
それから身籠った私はお酒を飲むわけにはいかなく、グランドを休職中。今はお腹の子の為に、家で大人しく生活をしていた。
「元気に産まれるとええなぁ〜。」
「大丈夫だよ。私と・・真島さんの子供だもん。」
そんな会話を毎日している私達はお腹を優しくさすっている。
私達のこの会話が、聞こえますように。