仮面達の夜想曲
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それから真島さんは全てを話してくれた。
仕事をしくじって極道社会を追放された事。佐川は代紋違いの兄弟分である嶋野って人から頼まれて、真島さんの事を監視している事。今の真島さんは佐川の命令でグランドで働くしかない事。
自由なんて・・・何もないって・・。
「そんな・・。」
真島さんがそんな状況だったなんて知らなかった。
そんな素振り、店でも部屋でも出してなかった。いつも格好良くて堂々としてて・・・そんな風に見えなかった。
「・・言わなアカンて分かってはいたんや。せやけどホンマの事言うてシエルに離れてほしくなかったんや。俺の事・・嫌いにならんでほしかっただけなんや・・。」
苦しくて切なそうな表情・・これが、今の真島さんが本当の真島さんなんだ。嘘偽りのない、仮面をつけてない素の真島さんなんだ。
他の誰にも見せた事のない・・本当の・・。
「・・あの・・触っても、いいですか?」
「え?」
「刺青・・触ってみてもいいですか?」
「あ・・あぁ、かまへんけど・・。」
そう言って真島さんは触りやすいように少しシャツを広げてくれる。椿の花に包まれた白蛇が鮮やかに真島さんの体に刻まれている。
私はその刺青に惹かれて、そっと指でなぞる。指が触れられた体はピクリと反応するけどお構いなしに私は刺青をなぞり続ける。
(綺麗・・。)
「お・・おいシエル・・?」
「・・これって、背中にもあるんですか?」
「へ?あ・・あるけど・・。」
「それも見せてもらっていいですか?」
「はっ?!」
訳が分からない、そんな顔をして私を見る。
「お願いします、見たいんです。」
「・・・・。」
私は真剣だった。それを察してくれたのか、真島さんは残りのボタンをゆっくり外していく。上着と一緒にシャツを脱いでパサリと音をたてて床に置く。
初めて見る真島さんの上半身・・凄い、腕まで入ってるんだ。それに痩せてるのに鍛えられてる・・やばい、心臓が・・ずっとドキドキしてる・・・。呑気にそんな事を考えてると真島さんは後ろを向こうとしたけど、回す体を途中で止めてしまう。
「・・怖いかもしれへんで?」
「・・・いいです。見せてください。」
(怖いって・・何で?)
「・・分かったわ。」
そう言ってくるりと体を回して背中を見せてくれる。
「——!」
怖いかもしれない・・その意味が背中を見て分かった。
(これって・・般若?)
恐ろしい顔をした般若と目が合ってしまう。背筋が凍って少し怖かったけど、その顔はどこかで見た事がある。
(なんで・・どこで?・・・あ・・。)
思い出した・・あの日だ。ノリコさんの罠にハマってしまって、助けてくれた時の・・・あの時の真島さん。あの日もこんな般若みたいに怖い顔をしてたけど、この表情をした真島さんに助けられた。
(この背中は・・真島さんそのものなんだ。)
そう思うと・・さっきまで怖かったのに、今は凄く愛おしい。
私が背中の般若に両手でそっと触れると真島さんはビクリと反応する。
「シエル・・?」
「・・好きです。」
「えっ?」
「真島さんの背中・・大好きです。」
愛おしさが溢れた私は、そっと般若にキスをする。
「んなっ?!」
慌てて振り返ってきた真島さんの顔は凄く驚いてて、同時に頬を少し赤くさせてた。その顔も見た事があった。お粥を食べさせて照れてたあの日みたいに。
(あぁ・・そっか。)
全部を偽ってたわけじゃなかったんだ。こうやって今みたいに素の時もあったんだ。
(真島さん・・私、今・・。)
「今・・凄い真島さんの事・・好きって思ってます。」
「!」
「胸の蛇も、腕の椿も、背中の般若も・・真島さん自身も全部が大好きです。」
ううん、大好きじゃ足りない。
「愛してます・・って言ったら、おかしいですか?」
「っ・・俺は・・・嘘ついてたんやで?シエルの嫌いな極道に戻ろうとしとんのや。それでも・・愛してくれるんか?」
真島さんの目が潤んでる。その涙がどれだけ不安だったのかが分かった。そんな真島さんの表情も愛おしく思えた私はそっと頬に手を伸ばす。
「例えそうだとしても・・真島さんは私を傷つけたくなかったんですよね?」
「・・・。」
「真島さんと話してて気づいたんです。佐川だってアンナさんだって・・私だって、誰かを気付つけたくなかったから嘘や隠し事をしてたんだって。みんな・・誰かを守りたかっただけなんだって。」
今なら分かる。佐川もアンナさんも・・真島さんも・・・みんな辛かったんだ。
責めるなんてお門違いなんだ。だったら・・言うのは1つしかないよね。
「私を守ってくれて・・ありがとうございます。」
「・・・!」
真島さんはただ私の心を守ろうとしてくれた。ただそれだけだったんだ。
潤んでいる目尻にそっとキスをすると、真島さんはそのまま私の体を強く抱きよせてきた。
「きゃっ?!」
バランスを崩した私は真島さんに身を預ける形になってしまった。私の顔は真島さんの胸元に埋められて、心臓の音が耳元で鳴り響く。
ドクッドクッと——少し早い鼓動が。
「真島・・さん・・・?」
「・・愛しとる。」
「っ・・!」
「愛しとるよシエル・・。」
甘く低い声が、私の頭上から聞こえてくる。
「お前が傍におるだけで俺は充分なんや。せやからずっと・・俺の傍にいとくれ。」
強く私の体を抱きしめたその手が愛おしい。
私を包んでくれるこの体が愛おしい。
私の事を”愛してる”って言ってくれた真島さんが・・全部愛おしい。
「・・はい・・・もちろんです・・。」
真島さんへの愛が止まらない。
顔を上げると真島さんと目が合った。愛しい真島さんの顔が近づいてくるのが分かって、そっと目を閉じる。私の僅かに開いた唇に舌を入れてきて・・長い舌で私の舌を絡んでくる。
今夜の月は——窓から私達を照らしている。
仕事をしくじって極道社会を追放された事。佐川は代紋違いの兄弟分である嶋野って人から頼まれて、真島さんの事を監視している事。今の真島さんは佐川の命令でグランドで働くしかない事。
自由なんて・・・何もないって・・。
「そんな・・。」
真島さんがそんな状況だったなんて知らなかった。
そんな素振り、店でも部屋でも出してなかった。いつも格好良くて堂々としてて・・・そんな風に見えなかった。
「・・言わなアカンて分かってはいたんや。せやけどホンマの事言うてシエルに離れてほしくなかったんや。俺の事・・嫌いにならんでほしかっただけなんや・・。」
苦しくて切なそうな表情・・これが、今の真島さんが本当の真島さんなんだ。嘘偽りのない、仮面をつけてない素の真島さんなんだ。
他の誰にも見せた事のない・・本当の・・。
「・・あの・・触っても、いいですか?」
「え?」
「刺青・・触ってみてもいいですか?」
「あ・・あぁ、かまへんけど・・。」
そう言って真島さんは触りやすいように少しシャツを広げてくれる。椿の花に包まれた白蛇が鮮やかに真島さんの体に刻まれている。
私はその刺青に惹かれて、そっと指でなぞる。指が触れられた体はピクリと反応するけどお構いなしに私は刺青をなぞり続ける。
(綺麗・・。)
「お・・おいシエル・・?」
「・・これって、背中にもあるんですか?」
「へ?あ・・あるけど・・。」
「それも見せてもらっていいですか?」
「はっ?!」
訳が分からない、そんな顔をして私を見る。
「お願いします、見たいんです。」
「・・・・。」
私は真剣だった。それを察してくれたのか、真島さんは残りのボタンをゆっくり外していく。上着と一緒にシャツを脱いでパサリと音をたてて床に置く。
初めて見る真島さんの上半身・・凄い、腕まで入ってるんだ。それに痩せてるのに鍛えられてる・・やばい、心臓が・・ずっとドキドキしてる・・・。呑気にそんな事を考えてると真島さんは後ろを向こうとしたけど、回す体を途中で止めてしまう。
「・・怖いかもしれへんで?」
「・・・いいです。見せてください。」
(怖いって・・何で?)
「・・分かったわ。」
そう言ってくるりと体を回して背中を見せてくれる。
「——!」
怖いかもしれない・・その意味が背中を見て分かった。
(これって・・般若?)
恐ろしい顔をした般若と目が合ってしまう。背筋が凍って少し怖かったけど、その顔はどこかで見た事がある。
(なんで・・どこで?・・・あ・・。)
思い出した・・あの日だ。ノリコさんの罠にハマってしまって、助けてくれた時の・・・あの時の真島さん。あの日もこんな般若みたいに怖い顔をしてたけど、この表情をした真島さんに助けられた。
(この背中は・・真島さんそのものなんだ。)
そう思うと・・さっきまで怖かったのに、今は凄く愛おしい。
私が背中の般若に両手でそっと触れると真島さんはビクリと反応する。
「シエル・・?」
「・・好きです。」
「えっ?」
「真島さんの背中・・大好きです。」
愛おしさが溢れた私は、そっと般若にキスをする。
「んなっ?!」
慌てて振り返ってきた真島さんの顔は凄く驚いてて、同時に頬を少し赤くさせてた。その顔も見た事があった。お粥を食べさせて照れてたあの日みたいに。
(あぁ・・そっか。)
全部を偽ってたわけじゃなかったんだ。こうやって今みたいに素の時もあったんだ。
(真島さん・・私、今・・。)
「今・・凄い真島さんの事・・好きって思ってます。」
「!」
「胸の蛇も、腕の椿も、背中の般若も・・真島さん自身も全部が大好きです。」
ううん、大好きじゃ足りない。
「愛してます・・って言ったら、おかしいですか?」
「っ・・俺は・・・嘘ついてたんやで?シエルの嫌いな極道に戻ろうとしとんのや。それでも・・愛してくれるんか?」
真島さんの目が潤んでる。その涙がどれだけ不安だったのかが分かった。そんな真島さんの表情も愛おしく思えた私はそっと頬に手を伸ばす。
「例えそうだとしても・・真島さんは私を傷つけたくなかったんですよね?」
「・・・。」
「真島さんと話してて気づいたんです。佐川だってアンナさんだって・・私だって、誰かを気付つけたくなかったから嘘や隠し事をしてたんだって。みんな・・誰かを守りたかっただけなんだって。」
今なら分かる。佐川もアンナさんも・・真島さんも・・・みんな辛かったんだ。
責めるなんてお門違いなんだ。だったら・・言うのは1つしかないよね。
「私を守ってくれて・・ありがとうございます。」
「・・・!」
真島さんはただ私の心を守ろうとしてくれた。ただそれだけだったんだ。
潤んでいる目尻にそっとキスをすると、真島さんはそのまま私の体を強く抱きよせてきた。
「きゃっ?!」
バランスを崩した私は真島さんに身を預ける形になってしまった。私の顔は真島さんの胸元に埋められて、心臓の音が耳元で鳴り響く。
ドクッドクッと——少し早い鼓動が。
「真島・・さん・・・?」
「・・愛しとる。」
「っ・・!」
「愛しとるよシエル・・。」
甘く低い声が、私の頭上から聞こえてくる。
「お前が傍におるだけで俺は充分なんや。せやからずっと・・俺の傍にいとくれ。」
強く私の体を抱きしめたその手が愛おしい。
私を包んでくれるこの体が愛おしい。
私の事を”愛してる”って言ってくれた真島さんが・・全部愛おしい。
「・・はい・・・もちろんです・・。」
真島さんへの愛が止まらない。
顔を上げると真島さんと目が合った。愛しい真島さんの顔が近づいてくるのが分かって、そっと目を閉じる。私の僅かに開いた唇に舌を入れてきて・・長い舌で私の舌を絡んでくる。
今夜の月は——窓から私達を照らしている。