仮面達の夜想曲
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「お前、もう体はええんか?」
「大丈夫です。・・真島さん、話したい事があるんです。」
「話したい事て・・そろそろ開店やろ、グランド行かな。」
「臨時休業です。」
「はぁっ?!どういう事や!」
「・・佐川がそうしたみたいです。知らなかったんですね?」
「当たり前やんか・・!なんやねんそれ!」
良かった・・それは知らなかったんだ。佐川とはそこは繋がってないって事だよね。
「・・・入り。」
「はい。」
部屋に入って中を見ると、あまりの家具の少なさに驚いた。
私の部屋以上に真島さんの部屋には何も無かった。真島さんがあんまり部屋に呼びたがらなかった理由って・・これなのかな。
真島さんは扉を閉めて、静かに後ろから抱きしめてくれる。
「ほんで・・話したい事って何や?何かあったんか?」
「・・・・。」
聞かなきゃ・・真島さんに、聞かなきゃいけない。
「・・話す前にお願いがあるんです。」
「ん?」
「これから私が言う事や聞きたい事に・・何も隠さず全部答えてほしいんです。」
「——!」
私の言葉に僅かに真島さんの手が反応した。
それって・・何か隠し事があるって事、だよね。何もないなら反応する必要ないもん。
「・・分かったわ。言うてみ?」
真島さん・・ごめんなさい、こんな事言って。
でも私、真島さんが嘘をついてるって信じたくない。隠し事があるって思いたくない。
「佐川とアンナさんが繋がってるって知っていましたか?真島さんと私を監視してるって。」
「・・・初耳や。それホンマなんか?」
「さっき聞きました。・・それに佐川が私に言ってた借金・・・あれは嘘だったんです。」
「はぁっ?!」
・・この反応は、嘘じゃない。真島さんはそれは知らなかった。
「他の近江の人から借金してたみたいなんです。」
「してたみたいて・・シエルが佐川から直接借金してたんとちゃうんか?」
「っ・・そんな事、今はどうでもいいです!」
「どうでもて・・シエル、俺に何を隠しとんねん!言うてみ?な?」
真島さんの優しい声が耳元で響く。
もういいじゃん、もういいよ。真島さんは私の事本当に知らなかったんだ。もうそれでいい・・って、思いたいのに・・・。
『——真島ちゃんがお前に本当の事を言うのか楽しみだな。』
あの佐川の言葉が・・ずっと頭から離れない・・!!
「真島さんもっ・・私に何か隠してますよね?!」
「・・!」
「佐川が言ってたんです!真島さんには隠し事があるって!本当の事を言うのが楽しみだってっ・・それって、何なんですか?!」
「・・・そ、れは・・。」
言葉を濁らせる真島さん。
全部話してって言ったのに・・分かったって言ったのに・・!!
「答えてよ!!」
そんな真島さんに苛立ちを覚えて、優しく抱きしめてくれていた腕を振り払ってそう叫びながら後ろに振り返る。
けど・・それが間違いだった。
「——っ・・!」
見たくなかった・・真島さんの悲しげな表情がそこにあった。その表情と悲しげに伏せるその目に、さっきの私の問いの答えがある。
(やっぱり・・何かあるんだ。)
みんな嘘つきだ。自分に都合の悪い事を平気で隠すんだ。仮の自分を世間に晒してる。違う顔をみんなに見せている。
真島さんも佐川もアンナさんも。みんな・・みんなそう。
でも・・そんなに、私だって一緒・・・。
「うっ・・ひっく、うぅ・・!」
私だって両親だ殺されたなんて話、真島さんにしようとしなかった。さっき聞かれた時だってはぐらかした。言って私が面倒な女なんだと思われたくなかったから。
内容が重いからじゃない、両親が殺される程の事をしでかしたのかもしれないって変な誤解をされたくなかったから。
——そんな親の娘だって、思われたくないって思っちゃったから言えなかった。
「ごめっ・・ごめんなさっ、ひっく・・・真島さっ・・!」
視線を下に向けてそのままその場に崩れ落ちてしまう。溢れる涙を両手で抑えるけど、どうしようもできない。
(お願い・・お願い、だから・・!)
「嫌いに・・なら、ないで・・嘘つきの、私をっ・・真島さんを責めた、私をっ・・ひっく・・・!」
我儘な私を・・・どうか許して・・。
「・・・シエル。」
真島さんの足が床に着くのが分かった。
低い声が怖くて視線を上げられない。真島さんの顔を見れない。
「ごめんなさっ・・ごめ——」
「——もうええよ。」
「え・・——?!」
次の瞬間だった。
真島さんは私の顔を両手で触れて優しく視線を上げさせてくる。そして——今までにないくらい、そっと触れるくらいの優しいキスをしてくれた。私の涙が混ざったしょっぱいキス。
一度触れた後はそれから動く事はないけど、その優しさが私の涙を止めてくれて心が少し暖かくなってくる。
そっと唇が離れて、真島さんは優しい眼差しで見てくる。
「・・すまんの・・女の涙を止めるん、これしか知らんのや。」
そう言った真島さんは私の頭をそっと撫でてくれる。
その優しさにまた涙が目尻に溜まってしまう。
「・・真島、さん・・・。」
「・・・お前にホンマの事を言うのが怖かったんや。ホンマの事言うて嫌われるんが何より嫌やった。せやから・・ずっと黙っとったんや・・すまん、ホンマにすまんかった。」
(・・あっ・・・。)
その顔には見覚えがあった。
苦しそうな顔、辛そうな目。それは・・さっきグランドで見た、アンナさんと同じだった。
(同じ・・だったんだ。アンナさんも同じで・・ずっと怖かったんだ。)
本当のことを言って嫌われるのが・・何より怖い・・・。
そんなの・・私だって、同じ・・。
「・・私・・我儘、ですね・・・私だって、真島さんに全部を話してる訳じゃなかったのに・・真島さんや、アンナさんに・・酷い事・・・。」
「・・我儘でええやんか。誰だって喋りたない事はあるやろ。人間そない完璧に生きれる訳ない・・そないな事言うたら俺やって我儘で隠してたんや。お前に嫌われたくないっちゅう・・ただの我儘や。せやけど・・もう隠し事したない。」
(・・真島さん・・・?)
すぐだった。真島さんは自分のシャツに指を伸ばしてボタンを1つずつ外していく。へそ辺りまでボタンを外すと、シャツを少し両手で広げる。
シャツの下にあったのは・・・私がプレゼントしたネックレス、だけじゃなかった。
「・・・え・・・・・?」
その胸元に見えたのは——鮮やかな椿の花。そして白蛇の鋭い目と目が合う。
こんな刺青をする人間なんて・・滅多にいない。
(まさか・・真島さんは・・・。)
「俺は・・・極道やったんや。今グランドにおるんは・・極道に戻る為や。シエルの大嫌いな・・極道にな。」
「大丈夫です。・・真島さん、話したい事があるんです。」
「話したい事て・・そろそろ開店やろ、グランド行かな。」
「臨時休業です。」
「はぁっ?!どういう事や!」
「・・佐川がそうしたみたいです。知らなかったんですね?」
「当たり前やんか・・!なんやねんそれ!」
良かった・・それは知らなかったんだ。佐川とはそこは繋がってないって事だよね。
「・・・入り。」
「はい。」
部屋に入って中を見ると、あまりの家具の少なさに驚いた。
私の部屋以上に真島さんの部屋には何も無かった。真島さんがあんまり部屋に呼びたがらなかった理由って・・これなのかな。
真島さんは扉を閉めて、静かに後ろから抱きしめてくれる。
「ほんで・・話したい事って何や?何かあったんか?」
「・・・・。」
聞かなきゃ・・真島さんに、聞かなきゃいけない。
「・・話す前にお願いがあるんです。」
「ん?」
「これから私が言う事や聞きたい事に・・何も隠さず全部答えてほしいんです。」
「——!」
私の言葉に僅かに真島さんの手が反応した。
それって・・何か隠し事があるって事、だよね。何もないなら反応する必要ないもん。
「・・分かったわ。言うてみ?」
真島さん・・ごめんなさい、こんな事言って。
でも私、真島さんが嘘をついてるって信じたくない。隠し事があるって思いたくない。
「佐川とアンナさんが繋がってるって知っていましたか?真島さんと私を監視してるって。」
「・・・初耳や。それホンマなんか?」
「さっき聞きました。・・それに佐川が私に言ってた借金・・・あれは嘘だったんです。」
「はぁっ?!」
・・この反応は、嘘じゃない。真島さんはそれは知らなかった。
「他の近江の人から借金してたみたいなんです。」
「してたみたいて・・シエルが佐川から直接借金してたんとちゃうんか?」
「っ・・そんな事、今はどうでもいいです!」
「どうでもて・・シエル、俺に何を隠しとんねん!言うてみ?な?」
真島さんの優しい声が耳元で響く。
もういいじゃん、もういいよ。真島さんは私の事本当に知らなかったんだ。もうそれでいい・・って、思いたいのに・・・。
『——真島ちゃんがお前に本当の事を言うのか楽しみだな。』
あの佐川の言葉が・・ずっと頭から離れない・・!!
「真島さんもっ・・私に何か隠してますよね?!」
「・・!」
「佐川が言ってたんです!真島さんには隠し事があるって!本当の事を言うのが楽しみだってっ・・それって、何なんですか?!」
「・・・そ、れは・・。」
言葉を濁らせる真島さん。
全部話してって言ったのに・・分かったって言ったのに・・!!
「答えてよ!!」
そんな真島さんに苛立ちを覚えて、優しく抱きしめてくれていた腕を振り払ってそう叫びながら後ろに振り返る。
けど・・それが間違いだった。
「——っ・・!」
見たくなかった・・真島さんの悲しげな表情がそこにあった。その表情と悲しげに伏せるその目に、さっきの私の問いの答えがある。
(やっぱり・・何かあるんだ。)
みんな嘘つきだ。自分に都合の悪い事を平気で隠すんだ。仮の自分を世間に晒してる。違う顔をみんなに見せている。
真島さんも佐川もアンナさんも。みんな・・みんなそう。
でも・・そんなに、私だって一緒・・・。
「うっ・・ひっく、うぅ・・!」
私だって両親だ殺されたなんて話、真島さんにしようとしなかった。さっき聞かれた時だってはぐらかした。言って私が面倒な女なんだと思われたくなかったから。
内容が重いからじゃない、両親が殺される程の事をしでかしたのかもしれないって変な誤解をされたくなかったから。
——そんな親の娘だって、思われたくないって思っちゃったから言えなかった。
「ごめっ・・ごめんなさっ、ひっく・・・真島さっ・・!」
視線を下に向けてそのままその場に崩れ落ちてしまう。溢れる涙を両手で抑えるけど、どうしようもできない。
(お願い・・お願い、だから・・!)
「嫌いに・・なら、ないで・・嘘つきの、私をっ・・真島さんを責めた、私をっ・・ひっく・・・!」
我儘な私を・・・どうか許して・・。
「・・・シエル。」
真島さんの足が床に着くのが分かった。
低い声が怖くて視線を上げられない。真島さんの顔を見れない。
「ごめんなさっ・・ごめ——」
「——もうええよ。」
「え・・——?!」
次の瞬間だった。
真島さんは私の顔を両手で触れて優しく視線を上げさせてくる。そして——今までにないくらい、そっと触れるくらいの優しいキスをしてくれた。私の涙が混ざったしょっぱいキス。
一度触れた後はそれから動く事はないけど、その優しさが私の涙を止めてくれて心が少し暖かくなってくる。
そっと唇が離れて、真島さんは優しい眼差しで見てくる。
「・・すまんの・・女の涙を止めるん、これしか知らんのや。」
そう言った真島さんは私の頭をそっと撫でてくれる。
その優しさにまた涙が目尻に溜まってしまう。
「・・真島、さん・・・。」
「・・・お前にホンマの事を言うのが怖かったんや。ホンマの事言うて嫌われるんが何より嫌やった。せやから・・ずっと黙っとったんや・・すまん、ホンマにすまんかった。」
(・・あっ・・・。)
その顔には見覚えがあった。
苦しそうな顔、辛そうな目。それは・・さっきグランドで見た、アンナさんと同じだった。
(同じ・・だったんだ。アンナさんも同じで・・ずっと怖かったんだ。)
本当のことを言って嫌われるのが・・何より怖い・・・。
そんなの・・私だって、同じ・・。
「・・私・・我儘、ですね・・・私だって、真島さんに全部を話してる訳じゃなかったのに・・真島さんや、アンナさんに・・酷い事・・・。」
「・・我儘でええやんか。誰だって喋りたない事はあるやろ。人間そない完璧に生きれる訳ない・・そないな事言うたら俺やって我儘で隠してたんや。お前に嫌われたくないっちゅう・・ただの我儘や。せやけど・・もう隠し事したない。」
(・・真島さん・・・?)
すぐだった。真島さんは自分のシャツに指を伸ばしてボタンを1つずつ外していく。へそ辺りまでボタンを外すと、シャツを少し両手で広げる。
シャツの下にあったのは・・・私がプレゼントしたネックレス、だけじゃなかった。
「・・・え・・・・・?」
その胸元に見えたのは——鮮やかな椿の花。そして白蛇の鋭い目と目が合う。
こんな刺青をする人間なんて・・滅多にいない。
(まさか・・真島さんは・・・。)
「俺は・・・極道やったんや。今グランドにおるんは・・極道に戻る為や。シエルの大嫌いな・・極道にな。」