仮面達の夜想曲
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「・・あの時の・・・?」
思い出した・・あの時お父さんは、佐川と会ってた。私に笑顔で行ってくると言った後真剣な表情になって、佐川と車に乗ってどこかへ行ったんだった・・。
「あん時父親を呼び出したのは俺以外の近江から金借りた理由を聞く為だ。・・そしたらよ、何て言ったと思う?」
お父さんが佐川に言った事・・?
「・・”友人だからこそ借りたくなかった”、だとよ。」
「!?」
「顔見知りに金借かして回収する時に情が出るんじゃ本職の人間にとっちゃ駄目だろう、だってよ。ったく・・本当にアイツはよ。」
・・・嘘・・だよ・・お父さんと佐川が友達なんて嘘だ・・話をしにきたんじゃない、金を回収しようとしたに決まってる・・。
なのに・・そう信じたいのに、それなのに・・・・。
(何で佐川の目は・・嘘を言ってないの?)
佐川の目は・・今まで見た事のないものだった。その言葉が嘘じゃないって分かっちゃう。分かってしまう自分が・・悔しい。悔しくて堪らない。
でも・・それじゃあ何で・・・。
「どうして・・私に借金があるって、嘘を・・・?」
どうして・・こんな所に私を捕らえてるの?何で嘘をつく必要があったの?
「さぁ・・何でだろうなぁ。」
(っ・・!!この期に及んで・・!!)
「誤魔化さ、ないでよ・・!!いつもみたいに小馬鹿な言い方してよっ!!」
「・・・・。」
誤魔化されると・・黙ってると・・余計に、それが真実だって分かっちゃう・・!!
「私はアンタのせいでっ・・苦しかったし、怖い事だってあったのよ?!言いなさいよっ・・・話してよぉ・・!!」
佐川の言っている事が真実なら・・・。
(私は今まで何をやってたの——?)
一方的に恨んで嫌がって・・グランドで嫌がらせされて・・私のこの生活は一体何だったの?お父さんとお母さんが死んだあの日から続いていた・・・この日々は・・。
「・・シエルちゃんを・・守りたかったんでしょ?」
「アンナ・・・。」
答えようとしない佐川の代わりにずっと黙ってたアンナさんが口を開いて教えてくれる。
佐川が・・私を、守りたい・・・?
「友達の子供だから・・残された子供を放っておけなかったんでしょ?司は・・優しい人だから・・。」
「余計な事言うなアンナ。」
「だってシエルちゃんの事報告する度に嬉しそうに笑ってたじゃない・・!元気にしてるって、ちゃんと生活できるようになるって・・アイツも、喜ぶだろうなって・・!」
ポロポロ泣きながらそう言ってくれたアンナさんの目も・・嘘をついてなかった。
そんな目をしながら、アンナさんは私の方に振り向いてくる。
「シエルちゃん、許してあげてとは言わない・・でもね、司は本当にあなたが心配だったの・・!だから風邪を引いた時も看病に行った、仕事が終わった後いつも報告を聞きたがってた・・!司はね、司は・・!!」
(・・もう・・分から、ない・・。)
「もう・・いいです・・。」
「え・・?」
「もう・・・どうでも、いいです。」
「シエルちゃん・・?」
だって・・・だって・・。
「だって結局は・・2人共私を騙してたじゃないですか・・・。」
もうどうでもいい。佐川が私の為にグランドに送った事も、アンナさんが佐川の女だって事も、私の生活は全て偽りのものだった事も・・もう・・どうでもいいよ・・・。
あんなに頑張ってた日々は何だったの?ノリコさんに虐められたあの日は何だったの?借金を返そうと懸命に働いた日々は何だったの?真島さんとの練習は一体何だ———。
『シエル。』
「——!」
まさか・・もしかして・・・。
「佐川・・前に言ってた真島さんの秘密って何?」
「・・・。」
「真島さんも関わってるの?そうなんでしょ?!」
真島さんのあの笑顔も。真島さんとのあの日々も。
真島さんの・・私への想いも、全部嘘だったとしたら・・・?
「答えてよっ!!」
口を開かない佐川に苛立って大声で叫んだけど、それでも佐川は答えてくれない。真っ直ぐに私の目は見るのにどうして答えてくれないの?答えようと・・してくれない、のね・・。
「もう・・いい・・・。」
「シエルちゃん待って!」
アンナさんは部屋を出て行こうとする私の腕を掴んでくる。その掴んできた手から、アンナさんの優しさは充分に伝わってきた。私を心配してくれているのも凄い分かった。
でも・・私はそんな手を・・。
「離してっ!!」
その優しい手を振り払う。
「・・・嘘つき・・!!」
そんな傷つける言葉を言いながら。
そのまま私は駆け足でバックヤードを出て行く。出て行ったバックヤードから聞こえてきたのは・・アンナさんの泣き声だけだった。
裏口から出た私は橋の上を歩いていた。周りには行きかう人達が溢れて騒いでいる筈なのに・・その騒がしさが耳に入らないくらいに私の頭は混乱している。
「・・・。」
嘘だった。アンナさんは本心で私と接してくれてなかった。どうして嘘や隠し事をするの?どうして本当の事を話してくれないの?
そんな事を考えながら歩いてけど・・そう思った自分に笑ってしまう。
(私も・・一緒か・・・。)
私は真島さんに全てを話したわけじゃなかった。同じ事をしてるのにアンナさんにあんな事言っちゃった・・・。
(もぉ・・・分からない・・。)
いっその事・・このまま街を出て行こうかな。それで自由に・・自分の人生を生きようかな・・・。
・・・でも・・その前に・・・。
(確かめなきゃ。)
私はボロアパートに戻ってきた。自分の部屋・・には行かず、錆びだらけの階段を上って2階へ向かう。目的の扉の前に辿り着いてノックをする。
ノックをした扉が開かれたのはその数秒後。
「・・シエル?どないした?」
(——真島さんの秘密が知りたい。)
だって佐川の目が言ってた。
『・・自分で確かめろ。』
言葉にはしてないけどそう言ってた。悔しいけどそれを理解できてしまう。
今の私は疑う事しかできない。
(真島さんは・・私に隠し事なんて、してないですよね?)
心の奥底では、真島さんはそんな事をしないと信じながら。
思い出した・・あの時お父さんは、佐川と会ってた。私に笑顔で行ってくると言った後真剣な表情になって、佐川と車に乗ってどこかへ行ったんだった・・。
「あん時父親を呼び出したのは俺以外の近江から金借りた理由を聞く為だ。・・そしたらよ、何て言ったと思う?」
お父さんが佐川に言った事・・?
「・・”友人だからこそ借りたくなかった”、だとよ。」
「!?」
「顔見知りに金借かして回収する時に情が出るんじゃ本職の人間にとっちゃ駄目だろう、だってよ。ったく・・本当にアイツはよ。」
・・・嘘・・だよ・・お父さんと佐川が友達なんて嘘だ・・話をしにきたんじゃない、金を回収しようとしたに決まってる・・。
なのに・・そう信じたいのに、それなのに・・・・。
(何で佐川の目は・・嘘を言ってないの?)
佐川の目は・・今まで見た事のないものだった。その言葉が嘘じゃないって分かっちゃう。分かってしまう自分が・・悔しい。悔しくて堪らない。
でも・・それじゃあ何で・・・。
「どうして・・私に借金があるって、嘘を・・・?」
どうして・・こんな所に私を捕らえてるの?何で嘘をつく必要があったの?
「さぁ・・何でだろうなぁ。」
(っ・・!!この期に及んで・・!!)
「誤魔化さ、ないでよ・・!!いつもみたいに小馬鹿な言い方してよっ!!」
「・・・・。」
誤魔化されると・・黙ってると・・余計に、それが真実だって分かっちゃう・・!!
「私はアンタのせいでっ・・苦しかったし、怖い事だってあったのよ?!言いなさいよっ・・・話してよぉ・・!!」
佐川の言っている事が真実なら・・・。
(私は今まで何をやってたの——?)
一方的に恨んで嫌がって・・グランドで嫌がらせされて・・私のこの生活は一体何だったの?お父さんとお母さんが死んだあの日から続いていた・・・この日々は・・。
「・・シエルちゃんを・・守りたかったんでしょ?」
「アンナ・・・。」
答えようとしない佐川の代わりにずっと黙ってたアンナさんが口を開いて教えてくれる。
佐川が・・私を、守りたい・・・?
「友達の子供だから・・残された子供を放っておけなかったんでしょ?司は・・優しい人だから・・。」
「余計な事言うなアンナ。」
「だってシエルちゃんの事報告する度に嬉しそうに笑ってたじゃない・・!元気にしてるって、ちゃんと生活できるようになるって・・アイツも、喜ぶだろうなって・・!」
ポロポロ泣きながらそう言ってくれたアンナさんの目も・・嘘をついてなかった。
そんな目をしながら、アンナさんは私の方に振り向いてくる。
「シエルちゃん、許してあげてとは言わない・・でもね、司は本当にあなたが心配だったの・・!だから風邪を引いた時も看病に行った、仕事が終わった後いつも報告を聞きたがってた・・!司はね、司は・・!!」
(・・もう・・分から、ない・・。)
「もう・・いいです・・。」
「え・・?」
「もう・・・どうでも、いいです。」
「シエルちゃん・・?」
だって・・・だって・・。
「だって結局は・・2人共私を騙してたじゃないですか・・・。」
もうどうでもいい。佐川が私の為にグランドに送った事も、アンナさんが佐川の女だって事も、私の生活は全て偽りのものだった事も・・もう・・どうでもいいよ・・・。
あんなに頑張ってた日々は何だったの?ノリコさんに虐められたあの日は何だったの?借金を返そうと懸命に働いた日々は何だったの?真島さんとの練習は一体何だ———。
『シエル。』
「——!」
まさか・・もしかして・・・。
「佐川・・前に言ってた真島さんの秘密って何?」
「・・・。」
「真島さんも関わってるの?そうなんでしょ?!」
真島さんのあの笑顔も。真島さんとのあの日々も。
真島さんの・・私への想いも、全部嘘だったとしたら・・・?
「答えてよっ!!」
口を開かない佐川に苛立って大声で叫んだけど、それでも佐川は答えてくれない。真っ直ぐに私の目は見るのにどうして答えてくれないの?答えようと・・してくれない、のね・・。
「もう・・いい・・・。」
「シエルちゃん待って!」
アンナさんは部屋を出て行こうとする私の腕を掴んでくる。その掴んできた手から、アンナさんの優しさは充分に伝わってきた。私を心配してくれているのも凄い分かった。
でも・・私はそんな手を・・。
「離してっ!!」
その優しい手を振り払う。
「・・・嘘つき・・!!」
そんな傷つける言葉を言いながら。
そのまま私は駆け足でバックヤードを出て行く。出て行ったバックヤードから聞こえてきたのは・・アンナさんの泣き声だけだった。
裏口から出た私は橋の上を歩いていた。周りには行きかう人達が溢れて騒いでいる筈なのに・・その騒がしさが耳に入らないくらいに私の頭は混乱している。
「・・・。」
嘘だった。アンナさんは本心で私と接してくれてなかった。どうして嘘や隠し事をするの?どうして本当の事を話してくれないの?
そんな事を考えながら歩いてけど・・そう思った自分に笑ってしまう。
(私も・・一緒か・・・。)
私は真島さんに全てを話したわけじゃなかった。同じ事をしてるのにアンナさんにあんな事言っちゃった・・・。
(もぉ・・・分からない・・。)
いっその事・・このまま街を出て行こうかな。それで自由に・・自分の人生を生きようかな・・・。
・・・でも・・その前に・・・。
(確かめなきゃ。)
私はボロアパートに戻ってきた。自分の部屋・・には行かず、錆びだらけの階段を上って2階へ向かう。目的の扉の前に辿り着いてノックをする。
ノックをした扉が開かれたのはその数秒後。
「・・シエル?どないした?」
(——真島さんの秘密が知りたい。)
だって佐川の目が言ってた。
『・・自分で確かめろ。』
言葉にはしてないけどそう言ってた。悔しいけどそれを理解できてしまう。
今の私は疑う事しかできない。
(真島さんは・・私に隠し事なんて、してないですよね?)
心の奥底では、真島さんはそんな事をしないと信じながら。