仮面達の夜想曲
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「本当は司は・・殺してないんでしょ?!」
「——?!」
『キィ・・・』
アンナさんのその言葉がきっかけでバックヤードの扉が開かれる。それに気付いたアンナさんが振り返ってきて・・佐川と一緒に驚きの表情で私を見てくる。
「——?!サクラ・・?!」
「・・どうゆう、事・・ですか・・・?」
両手で口を隠して絶望に染まるアンナさんの表情。
そんな顔をしたいのは・・私の方なのに・・・何でアンナさんがそんな顔をするの?
「アンナ・・さん・・・。」
どうして本名を知ってるの?借金が本当はないって?解放してあげてってどういう事?
何で・・何で佐川を”司”って呼ぶの?
(本当は殺してないって——何?)
「違っ・・これはっ・・!!」
「・・はぁ~・・・バレちまったか。」
弁解しようとするアンナさんを差し置いてヘラヘラとした表情でそう言う佐川。新しい煙草を取り出して火を点けると、バックヤードの中は・・大嫌いな甘い香りに包まれる。
「アンナ、とりあえず座れ。嬢ちゃんも座ったらどうだ?」
「・・・い、や・・!」
嫌だ・・その匂いに近付きたくない・・!!
震える私の体でやっと出せた拒絶の言葉。私の返事を聞いて大袈裟な溜息をついた佐川の表情はどこか諦めたようだった。
アンナさんは下を向いたまま黙って佐川の隣に座る。重苦しい時間が暫く続いたけど、それを止めたのは佐川の言葉だった。
「さぁ・・どこから話すかねぇ。」
顎を触りながらそんな事を言う佐川の意味が分からなかった。
・・何でそんな笑っていられるの?そんな大した話じゃないとでも思ってるの?
「まずはそうだな・・アンナの正体でもいこうか?」
その言葉と一緒にアンナさんを抱き寄せる佐川。
アンナさんの正体って・・何?
「アンナはな。俺の女なんだよ。」
「・・え・・・。」
「元々真島ちゃんを監視する為に俺がグランドで働かせたんだ。昨日嬢ちゃんに話したのはぜ~んぶ嘘。親の病気も借金返済も、何もかもな。」
・・・嘘、なの・・?
私に話してくれた事は・・全部嘘だったの?
「風邪を引いたって報告してきたのはアンナだ。いつもラーメン食った後ディスコ行くって言ってたろ?それも全部嘘。俺のところまで報告に来てたんだよ。嬢ちゃんの働きっぷりをな。」
『今度こそあのDJ落としてやる!』
『やばっ!!そろそろディスコ行かなきゃ!!』
あれも・・なの・・・?
全部・・全部嘘なの?あの日常も・・全部・・・全部っ・・!
「サクラ!」
佐川の腕を振り払って立ち上がったアンナさんは私に近付いてくる。
「騙しててごめんっ、嘘ついててごめん!でも私・・!!」
肩を掴んでこようとするアンナさんが——
「ひっ・・!!」
凄く怖かった。目の前にいる私の大好きな・・尊敬する人は、佐川の女だったんだ。佐川の女だって分かった瞬間、私のとっては恐怖の存在でしかない。
この人もヤクザの仲間だったんだ・・私との出来事は、全部嘘だったんだ・・!!
「・・だっ、ったのに・・・大好き、だったのに・・・!!」
「サクラっ・・!」
やめて・・そんな泣きそうな目で私を見ないでよっ・・!!
泣きたいのはっ・・私の方なのに・・・!!
「ふっ、皮肉なもんだな。女の中で一番信頼してた奴に・・ずっと騙されてたってのはなぁ。」
「っ・・!!」
何でそんな事言えるのよっ・・元はといえばコイツの所為なのに、コイツの所為で私は、こんな生活を送っているのに・・・!!
そんな事も露知らず、佐川はどんどん真実を語っていく。
「さて次は・・借金と親殺しの件か?」
「・・・・。」
聞きたくない。聞きたくない・・コイツのいう事なんて聞きたくない・・!!
でも・・・もしその全部が本当だとしたら・・。
「その2つに関しちゃ・・半分本当で半分嘘だ。」
「・・半、分・・・?」
「お前さんの両親が借金しょってたのは本当だが、回収してた相手が違う。まぁ・・近江の連中で間違いはないんだがよ。」
「・・・?」
吸い終わった煙草と磨り潰してる佐川の表情が気になった。
なんで・・・悲しそうな顔をしてるの?少し疑問に思ってたけど、佐川は冷静に考える時間を与えてくれなかった。
「お前の親殺したんは、その近江の連中だ。借金を回収する為に家を襲ったんだよ。」
「っ!!う・・嘘、だ・・・!!」
「家中のモンかき集めて売り捌いたらしい。ったく・・俺でも反吐が出る下衆共だよ。抵抗する両親を・・殺してまでもする事じゃねぇよな。」
・・・何で・・何でそんな表情するの?
悲しみと怒りが混ざった・・そんな表情見た事ない。
「ま、知識もない新米だったみたいだからな。俺の組で処理しといた。・・あの時俺が嬢ちゃんの家にいたのはそれが理由だ。」
「・・・嘘・・嘘だよ、そんなの・・。」
「・・・はぁ・・まだ信じてくれねぇか。まぁそりゃそうか。しょうがねぇもんな・・だってよぉ・・・。」
そう言って顔を上げてきた佐川の顔は——
「嬢ちゃんの両親のお友達だって・・覚えてねぇんだもんな?」
切なげな表情だった。
両親の友達って・・どういう事?コイツは、何を言って・・・。
「ガキの頃一度だけ・・会った事あるんだぜ?俺とよ。」
(子供の頃・・一度、だけ・・?)
その言葉で思い出す、遠い記憶。
『シエル、お父さんちょっと出かけてくるな?』
『うん!いってらっしゃい!』
出かける父の背中を見つめていた。あの時の背中から見えた父の顔は、どこか真面目な顔をしていたのを僅かに覚えてる。
そんな父を迎えにきた黒塗りの高級車。その中から出てきたスーツを着こなした男がいたのを思い出す。その人と目が合って見つめてると、その人は僅かに微笑んでた。
『お父さん借りるぜ?嬢ちゃん。』
それは——僅かに思い出した、甘い香りと・・・若い頃の佐川だった。
「——?!」
『キィ・・・』
アンナさんのその言葉がきっかけでバックヤードの扉が開かれる。それに気付いたアンナさんが振り返ってきて・・佐川と一緒に驚きの表情で私を見てくる。
「——?!サクラ・・?!」
「・・どうゆう、事・・ですか・・・?」
両手で口を隠して絶望に染まるアンナさんの表情。
そんな顔をしたいのは・・私の方なのに・・・何でアンナさんがそんな顔をするの?
「アンナ・・さん・・・。」
どうして本名を知ってるの?借金が本当はないって?解放してあげてってどういう事?
何で・・何で佐川を”司”って呼ぶの?
(本当は殺してないって——何?)
「違っ・・これはっ・・!!」
「・・はぁ~・・・バレちまったか。」
弁解しようとするアンナさんを差し置いてヘラヘラとした表情でそう言う佐川。新しい煙草を取り出して火を点けると、バックヤードの中は・・大嫌いな甘い香りに包まれる。
「アンナ、とりあえず座れ。嬢ちゃんも座ったらどうだ?」
「・・・い、や・・!」
嫌だ・・その匂いに近付きたくない・・!!
震える私の体でやっと出せた拒絶の言葉。私の返事を聞いて大袈裟な溜息をついた佐川の表情はどこか諦めたようだった。
アンナさんは下を向いたまま黙って佐川の隣に座る。重苦しい時間が暫く続いたけど、それを止めたのは佐川の言葉だった。
「さぁ・・どこから話すかねぇ。」
顎を触りながらそんな事を言う佐川の意味が分からなかった。
・・何でそんな笑っていられるの?そんな大した話じゃないとでも思ってるの?
「まずはそうだな・・アンナの正体でもいこうか?」
その言葉と一緒にアンナさんを抱き寄せる佐川。
アンナさんの正体って・・何?
「アンナはな。俺の女なんだよ。」
「・・え・・・。」
「元々真島ちゃんを監視する為に俺がグランドで働かせたんだ。昨日嬢ちゃんに話したのはぜ~んぶ嘘。親の病気も借金返済も、何もかもな。」
・・・嘘、なの・・?
私に話してくれた事は・・全部嘘だったの?
「風邪を引いたって報告してきたのはアンナだ。いつもラーメン食った後ディスコ行くって言ってたろ?それも全部嘘。俺のところまで報告に来てたんだよ。嬢ちゃんの働きっぷりをな。」
『今度こそあのDJ落としてやる!』
『やばっ!!そろそろディスコ行かなきゃ!!』
あれも・・なの・・・?
全部・・全部嘘なの?あの日常も・・全部・・・全部っ・・!
「サクラ!」
佐川の腕を振り払って立ち上がったアンナさんは私に近付いてくる。
「騙しててごめんっ、嘘ついててごめん!でも私・・!!」
肩を掴んでこようとするアンナさんが——
「ひっ・・!!」
凄く怖かった。目の前にいる私の大好きな・・尊敬する人は、佐川の女だったんだ。佐川の女だって分かった瞬間、私のとっては恐怖の存在でしかない。
この人もヤクザの仲間だったんだ・・私との出来事は、全部嘘だったんだ・・!!
「・・だっ、ったのに・・・大好き、だったのに・・・!!」
「サクラっ・・!」
やめて・・そんな泣きそうな目で私を見ないでよっ・・!!
泣きたいのはっ・・私の方なのに・・・!!
「ふっ、皮肉なもんだな。女の中で一番信頼してた奴に・・ずっと騙されてたってのはなぁ。」
「っ・・!!」
何でそんな事言えるのよっ・・元はといえばコイツの所為なのに、コイツの所為で私は、こんな生活を送っているのに・・・!!
そんな事も露知らず、佐川はどんどん真実を語っていく。
「さて次は・・借金と親殺しの件か?」
「・・・・。」
聞きたくない。聞きたくない・・コイツのいう事なんて聞きたくない・・!!
でも・・・もしその全部が本当だとしたら・・。
「その2つに関しちゃ・・半分本当で半分嘘だ。」
「・・半、分・・・?」
「お前さんの両親が借金しょってたのは本当だが、回収してた相手が違う。まぁ・・近江の連中で間違いはないんだがよ。」
「・・・?」
吸い終わった煙草と磨り潰してる佐川の表情が気になった。
なんで・・・悲しそうな顔をしてるの?少し疑問に思ってたけど、佐川は冷静に考える時間を与えてくれなかった。
「お前の親殺したんは、その近江の連中だ。借金を回収する為に家を襲ったんだよ。」
「っ!!う・・嘘、だ・・・!!」
「家中のモンかき集めて売り捌いたらしい。ったく・・俺でも反吐が出る下衆共だよ。抵抗する両親を・・殺してまでもする事じゃねぇよな。」
・・・何で・・何でそんな表情するの?
悲しみと怒りが混ざった・・そんな表情見た事ない。
「ま、知識もない新米だったみたいだからな。俺の組で処理しといた。・・あの時俺が嬢ちゃんの家にいたのはそれが理由だ。」
「・・・嘘・・嘘だよ、そんなの・・。」
「・・・はぁ・・まだ信じてくれねぇか。まぁそりゃそうか。しょうがねぇもんな・・だってよぉ・・・。」
そう言って顔を上げてきた佐川の顔は——
「嬢ちゃんの両親のお友達だって・・覚えてねぇんだもんな?」
切なげな表情だった。
両親の友達って・・どういう事?コイツは、何を言って・・・。
「ガキの頃一度だけ・・会った事あるんだぜ?俺とよ。」
(子供の頃・・一度、だけ・・?)
その言葉で思い出す、遠い記憶。
『シエル、お父さんちょっと出かけてくるな?』
『うん!いってらっしゃい!』
出かける父の背中を見つめていた。あの時の背中から見えた父の顔は、どこか真面目な顔をしていたのを僅かに覚えてる。
そんな父を迎えにきた黒塗りの高級車。その中から出てきたスーツを着こなした男がいたのを思い出す。その人と目が合って見つめてると、その人は僅かに微笑んでた。
『お父さん借りるぜ?嬢ちゃん。』
それは——僅かに思い出した、甘い香りと・・・若い頃の佐川だった。