仮面達の夜想曲
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「・・ん・・・んぅ・・?」
(あれ・・私、寝ちゃってた・・・?)
瞼を軽く擦りながら窓を見ると、外は僅かに明るくなっていた。
「え?!」
嘘っ・・私ずっと寝てた?!真島さんが部屋に来てくれたのって夕方だったよね・・えっ、今少し明るくなってるって事は夜明けまで寝てたって事?!
いくら体調が悪いからって寝すぎじゃ・・まぁおかげでスッキリしたけど・・。
「・・ん?」
そういえば・・おでこに何かある?
ヒンヤリとした何かが貼られているのに気付いた私は、ソレをそっと取る。これって・・冷えピタ?あれ、私こんなの貼ってないのに何で・・よく見たらテーブルの上に何かあるし・・冷えピタの箱?それにメモも・・何だろ?
【起こすん勿体ないくらいぐっすり寝とったから買うてきたもん置いとくわ。復帰は落ち着いてからでええから、ゆっくり休み。】
これ・・もしかして真島さんの字?わぁ達筆!字が綺麗!
(真島さん・・本当に来てくれたんだ。)
起こしてくれても良かったのに・・でもそれくらい疲れてたのかな私・・ロクに休めてなかったのかもなぁ・・・。
「部屋行ってお礼、言おうかな・・。」
いや・・でもきっと寝てるよね。真島さんだって疲れてるだろうし邪魔するのはよくないよね。熱も下がったし明日グランドに行こう。その時にちゃんとお礼を言えばいい、かな。
・・・お風呂入りたい。銭湯行こうかな・・今の時間だったら人少ないだろうし。
(確か近くにあったよね。)
準備をした私は近くにある銭湯へ向かった。番台さんにお金を払って服を脱いでロッカーの中にしまう。
そういえば銭湯って初めて・・!少しワクワクしながら戸を横に開くと、目の前には大きなお風呂といくつものシャワーがあった。
(うわぁ・・凄い・・!)
えっとシャワーで体を洗ってから入る方がいいよね?
置かれている石鹸とシャンプーで体全身を洗い流す。ベタついていた汗はシャワーによって流されて、髪もサッパリする。
「は~・・スッキリ・・。」
さて・・・体も髪も洗ったし、お風呂入ろ!ちゃんと縛んなきゃ、って・・・あれ?誰かいる・・・?邪魔しないようにしなきゃ・・あれ??
「あ・・アンナさん?」
「・・えっ、サクラ?!」
アンナさん・・な、何でここに?
いつも長い髪をおろしてるから上にあげてるの凄い珍しいかも・・なんて考えてたら、凄い勢いで立ち上がったアンナさんは私の近くまで歩み寄ってきた。
「アンタ具合大丈夫なの?!銭湯来て大丈夫なの?!」
「はい、大丈夫です。熱も下がりました!あの・・今日は本当にごめんなさい、迷惑をかけて・・。」
「何言ってんのよ!サクラが元気ならそれでいいのよ!」
「・・ふふっ、アンナさん大袈裟ですよ。」
「大袈裟じゃないわよ全く・・ほら入んな!体冷えちゃうわよ?」
「はい!」
そう言うアンナさんと一緒に湯船に浸かる。
ゆっくり肩まで浸かると、疲れていた体が少しずつ癒えていくのが分かる。
「は~~・・気持ちい・・・。」
「あははっ!サクラおばさんみたいな事言ってる!」
「だ、だって気持ちいいんですもん!」
「ふふっ!まぁ気持ちは分かるけどね。」
「むぅ・・。」
・・・でも意外だなぁ。アンナさんも銭湯来るんだ。そんなイメージ全然ないけど・・なんか綺麗な大きいお風呂入ってるイメージしかない。
そんな事を考えながらアンナさんをじっと見てると、その視線に気付いたアンナさんはニヤリとした表情になる。
「なによ~人の顔見て。私の体に興味でもあるのぉ?」
「ふぇっ?!そ、そんなんじゃないですよ!た、確かに綺麗な体ですけど・・そういう趣味ありませんから!」
「ぷっ、あはは!慌てすぎ!面白いなぁサクラは!」
「も、もぉ!」
アンナさん・・・意地悪だ・・!!
「でもさ、何だかんだ裸の付き合いは初めてじゃない?」
「あ・・言われてみればそうですね。いつもラーメンばっかりですもんね。」
「んふふ~・・この際だから色々聞いちゃおうかなぁ?」
・・・その言い方はちょっと気持ち悪いですアンナさん・・。
「そしたら早速聞きたいんだけどさ。」
「はい?」
「・・サクラは何で水商売始めたの?」
「えっ・・。」
「何となくサクラの性格的に無理してる感凄いからさ。いい機会だし聞いてみようかなって。」
そういえば私・・アンナさんとそういう話した事ないかも。
でも・・言っていいのかな。借金返す為にヤクザに送り込まれたって・・裏社会と繋がってるだけでも印象良くないよね・・。
言おうか迷っていると、アンナさんは優しく微笑んで正面を向いていた。
「私はね・・借金返す為なの。」
「えっ・・!?」
(アンナさんも・・借金を・・・?)
「母親の病気を治す為にどうしてもお金が必要でさ。そのお金を今返してるの。体売るのはどうしても嫌で・・自分で言うのもあれだけど、この見た目とお酒の強さを考えてグランドに来たの。・・まぁおかげで1位獲れてるけど、お金はまだまだかな。」
「アンナさん・・。」
「・・必死に頑張ってるサクラ見てるとさ、なんか私みたいだな~って・・もしかしたらサクラも・・同じ理由なのかなって思ってはいたの。」
アンナさんは優しい笑顔で私の方に体を向けてきて、そっと私の手を握ってくる。
「もしそうなら・・サクラは1人で抱え込んでると思うの。だから心が崩れちゃう前に助けてあげたいの。」
「っ・・アンナ、さん・・!」
アンナさんの気遣いに、優しさに涙が出る。
アンナさんも同じだったんだ。私と一緒で必死にお金を稼ぐ理由がある人がいたんだ・・・辛いのは、私だけじゃなかったんだ・・。
「ふぇ・・ぐすっ、うっ・・!」
「サクラ・・。」
・・・アンナさんになら・・話しても、いいかな・・・。
ううん・・話したい・・・真島さん以外の人にも、知ってほしい。信頼してる人に・・聞いてほしい・・。
「・・私も、です・・。」
「え?」
「私も・・借金、なんです・・・。」
私達以外誰もいない銭湯で、私はアンナさんに話した。
アンナさんはずっと私の手を握って話を聞いてくれていた。その沈黙が私の言葉をドンドン零させていく。
——真島さんに伝えていない事も、全て。
(あれ・・私、寝ちゃってた・・・?)
瞼を軽く擦りながら窓を見ると、外は僅かに明るくなっていた。
「え?!」
嘘っ・・私ずっと寝てた?!真島さんが部屋に来てくれたのって夕方だったよね・・えっ、今少し明るくなってるって事は夜明けまで寝てたって事?!
いくら体調が悪いからって寝すぎじゃ・・まぁおかげでスッキリしたけど・・。
「・・ん?」
そういえば・・おでこに何かある?
ヒンヤリとした何かが貼られているのに気付いた私は、ソレをそっと取る。これって・・冷えピタ?あれ、私こんなの貼ってないのに何で・・よく見たらテーブルの上に何かあるし・・冷えピタの箱?それにメモも・・何だろ?
【起こすん勿体ないくらいぐっすり寝とったから買うてきたもん置いとくわ。復帰は落ち着いてからでええから、ゆっくり休み。】
これ・・もしかして真島さんの字?わぁ達筆!字が綺麗!
(真島さん・・本当に来てくれたんだ。)
起こしてくれても良かったのに・・でもそれくらい疲れてたのかな私・・ロクに休めてなかったのかもなぁ・・・。
「部屋行ってお礼、言おうかな・・。」
いや・・でもきっと寝てるよね。真島さんだって疲れてるだろうし邪魔するのはよくないよね。熱も下がったし明日グランドに行こう。その時にちゃんとお礼を言えばいい、かな。
・・・お風呂入りたい。銭湯行こうかな・・今の時間だったら人少ないだろうし。
(確か近くにあったよね。)
準備をした私は近くにある銭湯へ向かった。番台さんにお金を払って服を脱いでロッカーの中にしまう。
そういえば銭湯って初めて・・!少しワクワクしながら戸を横に開くと、目の前には大きなお風呂といくつものシャワーがあった。
(うわぁ・・凄い・・!)
えっとシャワーで体を洗ってから入る方がいいよね?
置かれている石鹸とシャンプーで体全身を洗い流す。ベタついていた汗はシャワーによって流されて、髪もサッパリする。
「は~・・スッキリ・・。」
さて・・・体も髪も洗ったし、お風呂入ろ!ちゃんと縛んなきゃ、って・・・あれ?誰かいる・・・?邪魔しないようにしなきゃ・・あれ??
「あ・・アンナさん?」
「・・えっ、サクラ?!」
アンナさん・・な、何でここに?
いつも長い髪をおろしてるから上にあげてるの凄い珍しいかも・・なんて考えてたら、凄い勢いで立ち上がったアンナさんは私の近くまで歩み寄ってきた。
「アンタ具合大丈夫なの?!銭湯来て大丈夫なの?!」
「はい、大丈夫です。熱も下がりました!あの・・今日は本当にごめんなさい、迷惑をかけて・・。」
「何言ってんのよ!サクラが元気ならそれでいいのよ!」
「・・ふふっ、アンナさん大袈裟ですよ。」
「大袈裟じゃないわよ全く・・ほら入んな!体冷えちゃうわよ?」
「はい!」
そう言うアンナさんと一緒に湯船に浸かる。
ゆっくり肩まで浸かると、疲れていた体が少しずつ癒えていくのが分かる。
「は~~・・気持ちい・・・。」
「あははっ!サクラおばさんみたいな事言ってる!」
「だ、だって気持ちいいんですもん!」
「ふふっ!まぁ気持ちは分かるけどね。」
「むぅ・・。」
・・・でも意外だなぁ。アンナさんも銭湯来るんだ。そんなイメージ全然ないけど・・なんか綺麗な大きいお風呂入ってるイメージしかない。
そんな事を考えながらアンナさんをじっと見てると、その視線に気付いたアンナさんはニヤリとした表情になる。
「なによ~人の顔見て。私の体に興味でもあるのぉ?」
「ふぇっ?!そ、そんなんじゃないですよ!た、確かに綺麗な体ですけど・・そういう趣味ありませんから!」
「ぷっ、あはは!慌てすぎ!面白いなぁサクラは!」
「も、もぉ!」
アンナさん・・・意地悪だ・・!!
「でもさ、何だかんだ裸の付き合いは初めてじゃない?」
「あ・・言われてみればそうですね。いつもラーメンばっかりですもんね。」
「んふふ~・・この際だから色々聞いちゃおうかなぁ?」
・・・その言い方はちょっと気持ち悪いですアンナさん・・。
「そしたら早速聞きたいんだけどさ。」
「はい?」
「・・サクラは何で水商売始めたの?」
「えっ・・。」
「何となくサクラの性格的に無理してる感凄いからさ。いい機会だし聞いてみようかなって。」
そういえば私・・アンナさんとそういう話した事ないかも。
でも・・言っていいのかな。借金返す為にヤクザに送り込まれたって・・裏社会と繋がってるだけでも印象良くないよね・・。
言おうか迷っていると、アンナさんは優しく微笑んで正面を向いていた。
「私はね・・借金返す為なの。」
「えっ・・!?」
(アンナさんも・・借金を・・・?)
「母親の病気を治す為にどうしてもお金が必要でさ。そのお金を今返してるの。体売るのはどうしても嫌で・・自分で言うのもあれだけど、この見た目とお酒の強さを考えてグランドに来たの。・・まぁおかげで1位獲れてるけど、お金はまだまだかな。」
「アンナさん・・。」
「・・必死に頑張ってるサクラ見てるとさ、なんか私みたいだな~って・・もしかしたらサクラも・・同じ理由なのかなって思ってはいたの。」
アンナさんは優しい笑顔で私の方に体を向けてきて、そっと私の手を握ってくる。
「もしそうなら・・サクラは1人で抱え込んでると思うの。だから心が崩れちゃう前に助けてあげたいの。」
「っ・・アンナ、さん・・!」
アンナさんの気遣いに、優しさに涙が出る。
アンナさんも同じだったんだ。私と一緒で必死にお金を稼ぐ理由がある人がいたんだ・・・辛いのは、私だけじゃなかったんだ・・。
「ふぇ・・ぐすっ、うっ・・!」
「サクラ・・。」
・・・アンナさんになら・・話しても、いいかな・・・。
ううん・・話したい・・・真島さん以外の人にも、知ってほしい。信頼してる人に・・聞いてほしい・・。
「・・私も、です・・。」
「え?」
「私も・・借金、なんです・・・。」
私達以外誰もいない銭湯で、私はアンナさんに話した。
アンナさんはずっと私の手を握って話を聞いてくれていた。その沈黙が私の言葉をドンドン零させていく。
——真島さんに伝えていない事も、全て。