仮面達の夜想曲
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グランドでの騒動から2ヶ月後。
「サクラちゃん、今月もよく頑張ったね!はい、給料です!」
「は、はい!ありがとうございます!」
季節は梅雨。雨が降る蒼天堀は人通りが少なく、グランドの来店も少し減っていた。そんな中でも営業はもちろんしてる。私はなんとか今までの中で最高の8位。指名数も増えてきて1回の合計金額も増えてきた。
借金返済までまだまだだけど、それでも地道に少しずつ減ってはいる。
「そして今月もトップのアンナちゃん!お疲れ様!」
「ありがとうございます店長。」
「ノリコちゃんが辞めちゃったからね、これからも頑張ってみんなを引っ張ってね!」
そう・・あの日以降、ノリコさんはお店に来なくなった。お客さんとの裏仕事、体の関係、私みたいに嘘の噂を流してキャスト追い詰めた事、ボーイにお金を渡してそれの手伝いをさせた事。
その話がグランド中に広まって、ノリコさんのNo.2は仮のものとされて・・そのままお店に来る事はなかった。店長達の指導でボーイ達も改善されていってるみたい。ノリコさんがいなくなった事で売上には響いてるみたいだけど、アンナさんを筆頭にキャスト全員で頑張ってなんとかなってる。
「サクラやるじゃん!これなら来月には5位以内いけるんとちゃうの~?」
「せやせや!狙えると思うわ~!」
「そんな・・私はまだまだですよ。」
・・正直今の方が楽しい。前よりもスタッフ間の空気が変わったからかな。いい意味でみんなで競争してるって感じがいい。そのおかげでみんなの意欲が上がって、だからこそなんとかなってるんじゃないかな。
「じゃあウチラも帰るわ!またねー!」
「はい!お疲れ様でした!」
他の人達がバックヤードから出て行って、残っているのはアンナさんと私だけ。
「さてと・・そろそろ行こっか!」
「はいっ!」
私達はいつものように一緒にグランドを出る。そしていつものように目の前にラーメン屋に向かい店内に入る。
そこまではいつもの事。ここから先は・・以前とは少し変わった事がある。
「おう、お疲れさん2人共。」
「ちょっと支配人!今日締め日だったんですよ~?サクラの頑張り見てあげなきゃ駄目じゃないですかぁ~!」
「しゃあないやろが、今日も視察しとったんやで?ラーメン奢ったるから堪忍してや。」
「すみませーん!大盛で!」
「調子乗るなや!」
「ふふっ。」
いつもじゃないけど、こうして支配人と3人でご飯を食べるようになった。・・主にアンナさんの愚痴を聞くっていうのは変わらないけど・・・。
「も~本当ケチな人ばっか!!こんな雨じゃ太客なんか来ないよ~どうにかしてよ支配人~!!」
「そこを頑張るんがキャストの仕事やろが・・シエルちゃん見てみ?一切愚痴言わんと頑張っとるやないか。のぉ?」
「が・・頑張れてますかね、私。」
「質問を質問で返すなや。」
この時間が楽しい。3人で笑い合う日々が、3人で食事する日々が。私のとって、”サクラ”にとっての大切な時間。
「じゃあ私そろそろ行くね!ちゃんとサクラ送ってくださいよ~?」
「分ぁっとるわ。早よディスコ行ってきぃや。」
「は~い!今度こそあのDJ落としてやる!またね~サクラ!」
「はい、また!」
相変わらず元気にディスコに向かったアンナさんを見送った後、私達は目を合わせる。
「ほんなら帰るか。」
「はい。店長、また来ますね!」
「あいよ!またよろしゅな~!」
店を出た私達は傘立てに置いておいた2つの傘をさして夜の蒼天堀を歩く。少しだけ間を空けて会話もなく歩く私達は、橋を渡って川沿いまで行って川沿いの道から部屋へ向かう。
(・・そろそろ、かな?)
傘を畳んで部屋の鍵を開けると、後ろから支配人の腕がのびてきて部屋の扉を勢いよく開けてくる。
「わっ?!」
無理矢理中に押し入れられて靴を脱ぐ前に、支配人・・・ううん。真島さんが私の事を思い切りぎゅっと抱きしめてくる。このやりとりが、最近の私達のいつもの事。
「っは~~・・・疲れたわシエル。慰めてぇな。」
「お、お疲れ様です・・あの真島さん、靴脱ぎませんか?疲れてるなら座って休んだ方が・・。」
「シエル抱きしめるんが一番の癒しや。は~・・たまらん。」
抱きしめながら頭を撫でてくる真島さんの手つきが、なんか厭らしい・・!!こ、このままじゃ休めない・・!!
「わ、分かりましたから!私が座りたいです、座ったらいくらでも抱きしめていいですから!」
「・・・・・ホンマか?」
「ほ、ホンマです!」
「うし、ほんなら脱ごか。」
「な・・なんかその言い方嫌です!」
「ええから早よしぃや!」
真島さんは・・部屋に戻るといつもこんな感じ。支配人モードからスイッチが切れると、こうやってベッタリとくっついてくる。今までこういった甘えが無かったらしくて、部屋に入ると完全に別人。
(グランドのみんなが見たらどう思うかな・・。)
靴を脱いで鞄を置くと、真島さんは先に部屋にあがっててドカッと床に座って胡座をかいてる。私の方を見て自分の足をポンポンと叩き優しく微笑む。
「ほれ、おいで?」
「・・・・はい。」
(いくらでもって言ったの凄い後悔・・・。)
絶対逃がさないって目してる・・・あの、その笑顔が逆に怖いです真島さん・・・。
「し、失礼します・・。」
胡座をかく真島さんの上に腰をかけると、すっと両腕を前にまわしてきてさっきとは違って優しく抱きしめてくれた。体が小さい私はすっぽりとはまって、真島さんの顔がちょうど私の頭に置かれる。
そのままクンクンと私の頭を嗅いでくるけど・・それ、凄い恥ずかしい・・!!
「は~~~・・ええ匂い・・。」
「ちょっ・・お、お風呂入ってないんだからっ・・・やめてくださいよ!」
「何言うとんねん、せやからやないか。シエルの匂いが俺の癒しや。は~~~・・堪らん・・・。」
「え・・えぇ~・・・。」
お店であんなにかっこいいのに・・部屋ではこんな感じ・・そんな真島さんを見れるのは私だけ。恋人に慣れてからほぼ毎日感じられる幸せな時間。
この幸せが、いつもの時間。私と真島さんにとっての、大切な。
「サクラちゃん、今月もよく頑張ったね!はい、給料です!」
「は、はい!ありがとうございます!」
季節は梅雨。雨が降る蒼天堀は人通りが少なく、グランドの来店も少し減っていた。そんな中でも営業はもちろんしてる。私はなんとか今までの中で最高の8位。指名数も増えてきて1回の合計金額も増えてきた。
借金返済までまだまだだけど、それでも地道に少しずつ減ってはいる。
「そして今月もトップのアンナちゃん!お疲れ様!」
「ありがとうございます店長。」
「ノリコちゃんが辞めちゃったからね、これからも頑張ってみんなを引っ張ってね!」
そう・・あの日以降、ノリコさんはお店に来なくなった。お客さんとの裏仕事、体の関係、私みたいに嘘の噂を流してキャスト追い詰めた事、ボーイにお金を渡してそれの手伝いをさせた事。
その話がグランド中に広まって、ノリコさんのNo.2は仮のものとされて・・そのままお店に来る事はなかった。店長達の指導でボーイ達も改善されていってるみたい。ノリコさんがいなくなった事で売上には響いてるみたいだけど、アンナさんを筆頭にキャスト全員で頑張ってなんとかなってる。
「サクラやるじゃん!これなら来月には5位以内いけるんとちゃうの~?」
「せやせや!狙えると思うわ~!」
「そんな・・私はまだまだですよ。」
・・正直今の方が楽しい。前よりもスタッフ間の空気が変わったからかな。いい意味でみんなで競争してるって感じがいい。そのおかげでみんなの意欲が上がって、だからこそなんとかなってるんじゃないかな。
「じゃあウチラも帰るわ!またねー!」
「はい!お疲れ様でした!」
他の人達がバックヤードから出て行って、残っているのはアンナさんと私だけ。
「さてと・・そろそろ行こっか!」
「はいっ!」
私達はいつものように一緒にグランドを出る。そしていつものように目の前にラーメン屋に向かい店内に入る。
そこまではいつもの事。ここから先は・・以前とは少し変わった事がある。
「おう、お疲れさん2人共。」
「ちょっと支配人!今日締め日だったんですよ~?サクラの頑張り見てあげなきゃ駄目じゃないですかぁ~!」
「しゃあないやろが、今日も視察しとったんやで?ラーメン奢ったるから堪忍してや。」
「すみませーん!大盛で!」
「調子乗るなや!」
「ふふっ。」
いつもじゃないけど、こうして支配人と3人でご飯を食べるようになった。・・主にアンナさんの愚痴を聞くっていうのは変わらないけど・・・。
「も~本当ケチな人ばっか!!こんな雨じゃ太客なんか来ないよ~どうにかしてよ支配人~!!」
「そこを頑張るんがキャストの仕事やろが・・シエルちゃん見てみ?一切愚痴言わんと頑張っとるやないか。のぉ?」
「が・・頑張れてますかね、私。」
「質問を質問で返すなや。」
この時間が楽しい。3人で笑い合う日々が、3人で食事する日々が。私のとって、”サクラ”にとっての大切な時間。
「じゃあ私そろそろ行くね!ちゃんとサクラ送ってくださいよ~?」
「分ぁっとるわ。早よディスコ行ってきぃや。」
「は~い!今度こそあのDJ落としてやる!またね~サクラ!」
「はい、また!」
相変わらず元気にディスコに向かったアンナさんを見送った後、私達は目を合わせる。
「ほんなら帰るか。」
「はい。店長、また来ますね!」
「あいよ!またよろしゅな~!」
店を出た私達は傘立てに置いておいた2つの傘をさして夜の蒼天堀を歩く。少しだけ間を空けて会話もなく歩く私達は、橋を渡って川沿いまで行って川沿いの道から部屋へ向かう。
(・・そろそろ、かな?)
傘を畳んで部屋の鍵を開けると、後ろから支配人の腕がのびてきて部屋の扉を勢いよく開けてくる。
「わっ?!」
無理矢理中に押し入れられて靴を脱ぐ前に、支配人・・・ううん。真島さんが私の事を思い切りぎゅっと抱きしめてくる。このやりとりが、最近の私達のいつもの事。
「っは~~・・・疲れたわシエル。慰めてぇな。」
「お、お疲れ様です・・あの真島さん、靴脱ぎませんか?疲れてるなら座って休んだ方が・・。」
「シエル抱きしめるんが一番の癒しや。は~・・たまらん。」
抱きしめながら頭を撫でてくる真島さんの手つきが、なんか厭らしい・・!!こ、このままじゃ休めない・・!!
「わ、分かりましたから!私が座りたいです、座ったらいくらでも抱きしめていいですから!」
「・・・・・ホンマか?」
「ほ、ホンマです!」
「うし、ほんなら脱ごか。」
「な・・なんかその言い方嫌です!」
「ええから早よしぃや!」
真島さんは・・部屋に戻るといつもこんな感じ。支配人モードからスイッチが切れると、こうやってベッタリとくっついてくる。今までこういった甘えが無かったらしくて、部屋に入ると完全に別人。
(グランドのみんなが見たらどう思うかな・・。)
靴を脱いで鞄を置くと、真島さんは先に部屋にあがっててドカッと床に座って胡座をかいてる。私の方を見て自分の足をポンポンと叩き優しく微笑む。
「ほれ、おいで?」
「・・・・はい。」
(いくらでもって言ったの凄い後悔・・・。)
絶対逃がさないって目してる・・・あの、その笑顔が逆に怖いです真島さん・・・。
「し、失礼します・・。」
胡座をかく真島さんの上に腰をかけると、すっと両腕を前にまわしてきてさっきとは違って優しく抱きしめてくれた。体が小さい私はすっぽりとはまって、真島さんの顔がちょうど私の頭に置かれる。
そのままクンクンと私の頭を嗅いでくるけど・・それ、凄い恥ずかしい・・!!
「は~~~・・ええ匂い・・。」
「ちょっ・・お、お風呂入ってないんだからっ・・・やめてくださいよ!」
「何言うとんねん、せやからやないか。シエルの匂いが俺の癒しや。は~~~・・堪らん・・・。」
「え・・えぇ~・・・。」
お店であんなにかっこいいのに・・部屋ではこんな感じ・・そんな真島さんを見れるのは私だけ。恋人に慣れてからほぼ毎日感じられる幸せな時間。
この幸せが、いつもの時間。私と真島さんにとっての、大切な。