仮面達の夜想曲
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バックヤードに戻った真島さんは黙って私の荷物を手に持って、私を外へ連れ出してくれた。裏口から出て私達が住むアパートに向かって早歩きで向かって行く。道中話す事は無かったけど、真島さんはずっと私を腕に中に抱きながら歩いてくれてた。
(さっきまであんなに怖かったのに・・真島さんのおかげで少し落ち着いた・・。)
顔を少し上げて真島さんの方を見るけど、全然こっちを向かないでただ前だけを見てた。
(・・何を考えてるんだろう。)
今の真島さんは”支配人”の顔をしてる。
”支配人”の時の真島さんは何を考えてるのかよく分からない。もしかしたらこのまま怒られるか可能性だってある・・罵声を浴びるかもしれない。真島さんに怒られるかもしれないって思うと、それも怖くて堪らない。
(どうしよう・・どうし——)
「着いたで。」
「え・・?」
そうこうしている内にあっという間にアパートに着いてしまった。真島さんは私の鞄をあさって玄関の鍵を開けると、もう自分の部屋の様に中に入る。
そんなに堂々と部屋に入られると私が遠慮しちゃうよ・・あ、そうだ・・・。
「あの・・支配人、これ・・・タキシード・・。」
店から掛けさせてもらってたタキシードを返そうとすると、その手をそっと抑えてきた。
「・・支配、人・・・?」
何となく怖くて恐る恐る顔を上げる。
見上げた先にあったその表情は——もう支配人じゃなかった。
「店ん外じゃ・・真島言え言うたやろ?」
(・・あ・・・真島さん、だ・・。)
いつもの真島さんの表情だ。練習中の優しい真島さんだ。
(私の・・私の好きな真島さんの顔だ・・・。)
真島さんの笑顔が好き。
呆れた後のふぅっとため息をつきながらでる笑顔が好き。
売上が伸びて凄く褒めてくれた時の笑顔が好き。
今みたいに私を包み込んでくれるような優しい笑顔が・・大好き。
やっと・・やっと真島さんの笑顔が見れた。
「ふっ・・ふぇっ・・ま、真島さっ・・・!」
「・・シエル。」
「怖かった・・怖かった、です・・・!」
怖かった・・本当に怖かった。あのまま真島さんが助けに来てくれてなかったら・・私は今頃、あの男に・・・。
ボロボロ涙を流す私を見て、真島さんはまた優しく抱きしめてくれる。そして私の頭を撫でてくれて・・私の心を癒してくれる。
「よぉ頑張ったな。遅うなってごめんな。」
「っ・・そん、な・・ありがと、ございまっ・・!」
真島さんに抱きしめられるのが嬉しくて、真島さんに心配してもらえたのが嬉しくて、私は真島さんの背中まで腕を回して泣きつく。ぎゅっと強く抱きしめると、真島さんはそれに応えてくれて強く抱きしめてくれた。頭と背中までのばしてくれた手で、その大きな体に包まれる。
(真島さん・・暖かい・・。)
その温もりのおかげで、恐怖で震えていた心がもっと癒されていって、私の口も緩めていく。
「真島さんのおかげで、成長できたのにっ・・・・変な噂流されてっ・・!」
「・・噂やと?」
「・・・アンナさんから、聞いたんです・・私と真島さんがっ付き合ってるって・・私の売上は、コネだって・・!か、体も売ってるって・・私、そんな事してないのにっ・・!!」
「・・・・。」
「・・真島さんの・・・おかげなのにっ・・変な因縁、つけられてっ・・・くだらない嫉妬で・・いたずらっ・・・!!」
・・こんな言い方、真島さんの所為でこうなったって言ってるのと同じ。そんな事を言いたいんじゃない、真島さんを責めたいんじゃない、真島さんに怒りたいんじゃない。
私は・・・。
「・・そんなんじゃないって、反論できなかった・・・自分が嫌いっ・・!!」
堂々と言いたかった。真島さんは私と練習してくれてただけだって。真島さんのコネなんて使ってないって。これまで培った私達の時間を・・あんな下らない噂の所為で、否定されたって思うと凄い嫌だった。
「でもっ・・私が変に言って、真島さんが責められたら嫌で・・だから、言えなくてっ・・・。」
「・・俺の事、考えてくれたんか?」
「だ・・だって、1人のキャストに入れ込んでるって・・・みんなに思われたら・・真島さんが、変な目でっ・・!」
駄目だ・・この言い方も真島さんを責めてるのと同じ。
駄目・・駄目、真島さん・・・ごめんなさい、私、何を言いたいのか分からなくなってきた・・。
頭ぐちゃぐちゃ・・もぉ、訳分かんない・・・!!
「ごめんなさっ・・ごめんな、さいっ・・・!」
「・・シエル、こっち向いてや。」
「ごめ・・なさっ・・・!!」
「シエル。」
謝り続ける私に、そっと抱きしめていた腕を緩めて顎に手を添えてくる。そのまま優しく視線を上げさせられて、その目に見つめられる。
(あ・・・。)
この状況・・あの時と同じ・・・練習した時の、あの時と・・真島さん、同じ目してる・・。
「・・辛い思いさせてすまん、怖い思いさせてすまん。俺の事気にしてくれて・・おおきにな。」
「真島、さん・・。」
心臓がドキドキする。あの時以上に。
「・・最初はの?ただ佐川関連で可哀そう思うてただけなんや。」
(・・真島さん・・・?)
「せやけど頑張るシエルの姿見て・・褒めて喜ぶシエルを見て・・段々惹かれていったんや。」
(・・え・・?)
指でスリスリと顎を擦りながら私の目を真っ直ぐ見てくる。
その瞳の奥は・・見た事がなかった。真島さんの目線が・・熱い。その熱さで、体が熱くなってくる。恥ずかしいのに、酷い泣き顔を見られてるのに・・目が離せない。
「お前はもっと堂々としてええんや。周りの事気にせんと、自分はこうなんやってしてええ。また周りがとやかく言いよったら、俺がお前を守ったる。」
「・・!・・真島、さん・・・・?」
「・・・好きやシエル。」
「?!」
・・・嘘っ・・真島さんが・・・私を・・?
「本気で惚れとる。お前が好きや。・・シエルは、どう思うとる?」
甘い顔と声でそう尋ねてくる真島さん。誤魔化す事なんて・・・できない。
「・・私、も・・好きです。真島さんが・・・好きです・・。」
笑顔だけじゃない。何となく私の本心から逃げてた。でも言葉にしたらもう逃げられない。
(真島さんの・・全部が好き。)
私の答えが嬉しかったのか、一瞬その片目は見開いたけどすぐに優しくて嬉しそうな目になって、少しずつ顔を近づけてくる。
「・・シエル・・キスしてええ・・?ホンマはあん時・・キス、したかったんや。」
「・・・はい・・私も・・です。」
顔が近づくにつれて真島さんの息が顔に感じる。お互い自然に目を閉じていく。
「シエル・・好きやで。」
甘い声で呟いた真島さんの唇が、私の唇にそっと触れる。
夢の時間。甘い時間。幸せな時間をこの優しいキスで一気に感じることが出来た私は閉じた目からそっと涙が流れる。
——この先起こる現実なんか、何も知らなかった。
(さっきまであんなに怖かったのに・・真島さんのおかげで少し落ち着いた・・。)
顔を少し上げて真島さんの方を見るけど、全然こっちを向かないでただ前だけを見てた。
(・・何を考えてるんだろう。)
今の真島さんは”支配人”の顔をしてる。
”支配人”の時の真島さんは何を考えてるのかよく分からない。もしかしたらこのまま怒られるか可能性だってある・・罵声を浴びるかもしれない。真島さんに怒られるかもしれないって思うと、それも怖くて堪らない。
(どうしよう・・どうし——)
「着いたで。」
「え・・?」
そうこうしている内にあっという間にアパートに着いてしまった。真島さんは私の鞄をあさって玄関の鍵を開けると、もう自分の部屋の様に中に入る。
そんなに堂々と部屋に入られると私が遠慮しちゃうよ・・あ、そうだ・・・。
「あの・・支配人、これ・・・タキシード・・。」
店から掛けさせてもらってたタキシードを返そうとすると、その手をそっと抑えてきた。
「・・支配、人・・・?」
何となく怖くて恐る恐る顔を上げる。
見上げた先にあったその表情は——もう支配人じゃなかった。
「店ん外じゃ・・真島言え言うたやろ?」
(・・あ・・・真島さん、だ・・。)
いつもの真島さんの表情だ。練習中の優しい真島さんだ。
(私の・・私の好きな真島さんの顔だ・・・。)
真島さんの笑顔が好き。
呆れた後のふぅっとため息をつきながらでる笑顔が好き。
売上が伸びて凄く褒めてくれた時の笑顔が好き。
今みたいに私を包み込んでくれるような優しい笑顔が・・大好き。
やっと・・やっと真島さんの笑顔が見れた。
「ふっ・・ふぇっ・・ま、真島さっ・・・!」
「・・シエル。」
「怖かった・・怖かった、です・・・!」
怖かった・・本当に怖かった。あのまま真島さんが助けに来てくれてなかったら・・私は今頃、あの男に・・・。
ボロボロ涙を流す私を見て、真島さんはまた優しく抱きしめてくれる。そして私の頭を撫でてくれて・・私の心を癒してくれる。
「よぉ頑張ったな。遅うなってごめんな。」
「っ・・そん、な・・ありがと、ございまっ・・!」
真島さんに抱きしめられるのが嬉しくて、真島さんに心配してもらえたのが嬉しくて、私は真島さんの背中まで腕を回して泣きつく。ぎゅっと強く抱きしめると、真島さんはそれに応えてくれて強く抱きしめてくれた。頭と背中までのばしてくれた手で、その大きな体に包まれる。
(真島さん・・暖かい・・。)
その温もりのおかげで、恐怖で震えていた心がもっと癒されていって、私の口も緩めていく。
「真島さんのおかげで、成長できたのにっ・・・・変な噂流されてっ・・!」
「・・噂やと?」
「・・・アンナさんから、聞いたんです・・私と真島さんがっ付き合ってるって・・私の売上は、コネだって・・!か、体も売ってるって・・私、そんな事してないのにっ・・!!」
「・・・・。」
「・・真島さんの・・・おかげなのにっ・・変な因縁、つけられてっ・・・くだらない嫉妬で・・いたずらっ・・・!!」
・・こんな言い方、真島さんの所為でこうなったって言ってるのと同じ。そんな事を言いたいんじゃない、真島さんを責めたいんじゃない、真島さんに怒りたいんじゃない。
私は・・・。
「・・そんなんじゃないって、反論できなかった・・・自分が嫌いっ・・!!」
堂々と言いたかった。真島さんは私と練習してくれてただけだって。真島さんのコネなんて使ってないって。これまで培った私達の時間を・・あんな下らない噂の所為で、否定されたって思うと凄い嫌だった。
「でもっ・・私が変に言って、真島さんが責められたら嫌で・・だから、言えなくてっ・・・。」
「・・俺の事、考えてくれたんか?」
「だ・・だって、1人のキャストに入れ込んでるって・・・みんなに思われたら・・真島さんが、変な目でっ・・!」
駄目だ・・この言い方も真島さんを責めてるのと同じ。
駄目・・駄目、真島さん・・・ごめんなさい、私、何を言いたいのか分からなくなってきた・・。
頭ぐちゃぐちゃ・・もぉ、訳分かんない・・・!!
「ごめんなさっ・・ごめんな、さいっ・・・!」
「・・シエル、こっち向いてや。」
「ごめ・・なさっ・・・!!」
「シエル。」
謝り続ける私に、そっと抱きしめていた腕を緩めて顎に手を添えてくる。そのまま優しく視線を上げさせられて、その目に見つめられる。
(あ・・・。)
この状況・・あの時と同じ・・・練習した時の、あの時と・・真島さん、同じ目してる・・。
「・・辛い思いさせてすまん、怖い思いさせてすまん。俺の事気にしてくれて・・おおきにな。」
「真島、さん・・。」
心臓がドキドキする。あの時以上に。
「・・最初はの?ただ佐川関連で可哀そう思うてただけなんや。」
(・・真島さん・・・?)
「せやけど頑張るシエルの姿見て・・褒めて喜ぶシエルを見て・・段々惹かれていったんや。」
(・・え・・?)
指でスリスリと顎を擦りながら私の目を真っ直ぐ見てくる。
その瞳の奥は・・見た事がなかった。真島さんの目線が・・熱い。その熱さで、体が熱くなってくる。恥ずかしいのに、酷い泣き顔を見られてるのに・・目が離せない。
「お前はもっと堂々としてええんや。周りの事気にせんと、自分はこうなんやってしてええ。また周りがとやかく言いよったら、俺がお前を守ったる。」
「・・!・・真島、さん・・・・?」
「・・・好きやシエル。」
「?!」
・・・嘘っ・・真島さんが・・・私を・・?
「本気で惚れとる。お前が好きや。・・シエルは、どう思うとる?」
甘い顔と声でそう尋ねてくる真島さん。誤魔化す事なんて・・・できない。
「・・私、も・・好きです。真島さんが・・・好きです・・。」
笑顔だけじゃない。何となく私の本心から逃げてた。でも言葉にしたらもう逃げられない。
(真島さんの・・全部が好き。)
私の答えが嬉しかったのか、一瞬その片目は見開いたけどすぐに優しくて嬉しそうな目になって、少しずつ顔を近づけてくる。
「・・シエル・・キスしてええ・・?ホンマはあん時・・キス、したかったんや。」
「・・・はい・・私も・・です。」
顔が近づくにつれて真島さんの息が顔に感じる。お互い自然に目を閉じていく。
「シエル・・好きやで。」
甘い声で呟いた真島さんの唇が、私の唇にそっと触れる。
夢の時間。甘い時間。幸せな時間をこの優しいキスで一気に感じることが出来た私は閉じた目からそっと涙が流れる。
——この先起こる現実なんか、何も知らなかった。