仮面達の夜想曲
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『ブチッ』
「きゃっ?!」
ベルトが切れて胸から落ちそうだったドレスを慌てて抑える。
(危なかった・・!)
あと少し遅かったら胸が丸見えになるとこだった・・!!
それを見ていたお客様はひゅうっと口笛を吹き、ドレスを抑えている私の腕を力強く掴んでくる。
「ほぉれ遠慮はいらへんやろ!ほぉれほぉれ!」
「いっ・・嫌っ・・!」
力加減を分かってない酔っ払いのお客様はぎゅうっと握りながら何度も体ごと揺らしてくる。
(痛いっ・・痛すぎるっ・・!!)
これ以上される前に、ボーイを呼ばないと!!
「大声は駄目よ?お客様を満足させなきゃ・・ね?」
「・・?!」
「その為にボーイに声掛けしたんだから・・ここは大事な接待をするから来ちゃ駄目よって。だから、遠慮なく楽しめるのよ?」
後ろからそう呟いてくるノリコさんの方に視線を向けると、その顔は”嫌な人間”の顔だった。
アイツに・・佐川に少し似てる、他人を下に見る目だ。
(ふざけないでよ・・!!)
こんな事して何の意味があるのよ・・!!もういい、他のお客様に迷惑をかける事になるけど、止めなきゃ!!
「いい加減に———」
「大好きな支配人が見たら・・何て言うかしらねぇ?」
「——!?」
支配人が・・この状況を見たら・・・?
「普段からこうして稼いでるって私が言えば、支配人はそれを信じるわ。私はNo.2だもの。新参者のあなたの言う事なんて・・信じるかしらねぇ?」
真島さんが・・こんな事を信じる・・?
・・そんな訳ない、そんな訳ないっ!!真島さんは私と練習してるから、普段私が悩んでる事を聞いて解決してくれてる!こんなの見ても信じない!
(・・でも、そう言い切れる・・・?)
ノリコさんは人気キャスト。歴だって長い。
そんな人の発言と私の発言は・・グランドで働いている人にとってどっちを信じるかは想像できる。
もし真島さんも・・そうだったら・・・?
(もしそうだったら・・)
私はどうすればいいの———?
「ほれ、御開帳~!!」
「——っ!!」
(しまった・・!!)
考えに集中してて腕の力が抜けてしまっていた私は、閉じていた腕を無理矢理開かれてしまう。開かれたことによって、抑えていたドレスが胸元から滑り落ちて露わになった私の胸をガシッと掴んできた。
「ひっ・・!!」
「おほぉ~~たまらんのぉ~~!!」
タプタプと胸を揺らして堪能しているお客様は段々と息遣いが荒くなってくる。時々乳首を摘まみ楽しんでるけど、私にとってはただの恐怖でしかない。
「い・・・嫌っ・・!!」
「感じとるんかぁ??ヒヒヒッ、かわええ反応するやんかぁ~、ほれこうがええんやろぉ??」
違うっ・・感じてなんかない!!
気持ち悪い、嫌だっ・・!!誰か、誰か助けて!!
「・・・っ・・・あっ・・・!!」
怖くて・・声が、出ない・・・!!抵抗したいのに・・体が、動かない・・・!!
「ほな、頂こうかのぉ~!おっぱい吸わせてもらうでぇ~!」
「~~~っ!!!」
(嫌っ・・嫌だぁ・・・!!)
私の胸に酔っ払いの顔が近づいてくる。胸を舐めまわす準備をしているその舌先から気持ち悪い涎が垂れている。その涎が私の足に垂れ落ちて鳥肌が止まらない。目を閉じたいのに、恐怖でそれすらもできない。
(もぉ・・・駄目——)
『もし何かあったら我慢するんやないで?』
(・・あ・・・。)
もう駄目だって諦めかけたその時思い出した、真島さんのアドバイス。
『助けを求めるんや。』
・・真島・・・さん・・・・!
「・・・や・・。」
助けて・・真島さん・・・!!
「嫌・・だぁ・・!!」
『1人で頑張る必要あらへん。』
もぉ・・この怖さを・・・我慢、できない・・!!
「・・助けてぇ・・・!!」
やっと助けもを止められたその声は、絞りに絞った小さな声。
遅れるって言ってた真島さんはまだいないかもしれない。大声じゃないから聞こえないかもしれない。
でも・・真島さんは支配人として言ってくれていた。助けを求めろって。体調を崩して介抱していたあの時、1人で頑張らなくていいって言ってくれた。
(だから・・だから助けて・・!!)
「真島さんっ・・!!」
涙を流しながら、心から助けて欲しいと願う人物の名前を呟いたその時———。
「——お客様。」
(・・え・・・?)
ドスの効いた低い声が聞こえる。声のする方向に視線を向けると——冷酷な目でこっちを見ている人がいた。
「当店ではそのような行為はご遠慮願います。その手・・離していただけませんでしょうか?」
(・・真島、さん・・・!)
来てくれた・・本当に、来てくれたの・・・?
「あぁ?!この女が普段からこうしとる聞いたからサービスしてもろただけやんか!!文句あるんか、あぁ?!」
「それに関してはこちらで事実確認致します。サクラはテーブルから離しますので、引き続きノリコが相手をさせて頂きます。」
「・・よろしいのですか支配人?このようなキャストをここで働かせて。」
そう言うノリコさんの表情は余裕だった。自分の発言に自信があるんだ。
「私も止めたのですが、本人は止めようとしませんでした。名高いグランドのキャストにこんな事をしていると知られたら・・支配人もお困りでしょう?」
「・・なっ・・・!」
(この人っ・・嘘をっ・・・!!)
チラリと私に視線を向けて勝ち誇ったような目をするノリコさん。
真島さんの方を見ると、そのノリコさんの言葉に眉をピクリと動かして・・・私を見てくれていなかった。
(・・信じ・・ちゃうの・・?)
ノリコさんの言葉を、信じちゃうの・・・?
・・・ノリコさんの言った通り、歴が浅い新参者の事なんて信じないのかな・・・。
あんなに練習したのに・・やっぱり——
「——それはお前やろが、ノリコ。」
(・・え・・・?)
真島さん・・今、何て・・?
「は、はぁ?!何を・・!」
「お前がどないしてNo.2になったか俺が知らんわけないやろが。そこの客ともそういう関係やろ。」
「・・な、何で・・・?!」
「俺を舐めすぎや。それに・・お前、嘘が下手やな。顔見ればすぐに分かるで・・・サクラを陥れとるってな。」
「・・っ・・!!」
ノリコさんの表情が一気に青ざめていく。お客様も怖気づいたのか掴んでいた手を離してくれた。
真島さんは私の腕をそっと掴んで立ち上がらせた後タキシードを脱いで私の体にかけると、席に向かって一礼をしていた。
「大変失礼いたしました。私からシャンパンをサービスさせて頂きますので・・・ごゆっくりと、お過ごしください。」
支配人として最大級の笑顔でそういう真島さんだけど・・私にはその顔が、いつも以上の作り笑顔だってすぐに分かった。
だって・・・怖くて堪らないから。
(アイツに・・そっくりの笑顔・・・。)
「では、私達はこれで。」
「・・っ・・!」
最後にそう告げた真島さんは私の体を抱き寄せて、バックヤードへ向かって歩き始めた。
真島さんの笑顔に恐怖を感じてたけど、その腕の温もりが嬉しくて安心してしまった私は・・声を抑えながら泣き始める。そんな私に真島さんは声を掛けなかったけど、少しだけ力がこもったのが分かった。
「きゃっ?!」
ベルトが切れて胸から落ちそうだったドレスを慌てて抑える。
(危なかった・・!)
あと少し遅かったら胸が丸見えになるとこだった・・!!
それを見ていたお客様はひゅうっと口笛を吹き、ドレスを抑えている私の腕を力強く掴んでくる。
「ほぉれ遠慮はいらへんやろ!ほぉれほぉれ!」
「いっ・・嫌っ・・!」
力加減を分かってない酔っ払いのお客様はぎゅうっと握りながら何度も体ごと揺らしてくる。
(痛いっ・・痛すぎるっ・・!!)
これ以上される前に、ボーイを呼ばないと!!
「大声は駄目よ?お客様を満足させなきゃ・・ね?」
「・・?!」
「その為にボーイに声掛けしたんだから・・ここは大事な接待をするから来ちゃ駄目よって。だから、遠慮なく楽しめるのよ?」
後ろからそう呟いてくるノリコさんの方に視線を向けると、その顔は”嫌な人間”の顔だった。
アイツに・・佐川に少し似てる、他人を下に見る目だ。
(ふざけないでよ・・!!)
こんな事して何の意味があるのよ・・!!もういい、他のお客様に迷惑をかける事になるけど、止めなきゃ!!
「いい加減に———」
「大好きな支配人が見たら・・何て言うかしらねぇ?」
「——!?」
支配人が・・この状況を見たら・・・?
「普段からこうして稼いでるって私が言えば、支配人はそれを信じるわ。私はNo.2だもの。新参者のあなたの言う事なんて・・信じるかしらねぇ?」
真島さんが・・こんな事を信じる・・?
・・そんな訳ない、そんな訳ないっ!!真島さんは私と練習してるから、普段私が悩んでる事を聞いて解決してくれてる!こんなの見ても信じない!
(・・でも、そう言い切れる・・・?)
ノリコさんは人気キャスト。歴だって長い。
そんな人の発言と私の発言は・・グランドで働いている人にとってどっちを信じるかは想像できる。
もし真島さんも・・そうだったら・・・?
(もしそうだったら・・)
私はどうすればいいの———?
「ほれ、御開帳~!!」
「——っ!!」
(しまった・・!!)
考えに集中してて腕の力が抜けてしまっていた私は、閉じていた腕を無理矢理開かれてしまう。開かれたことによって、抑えていたドレスが胸元から滑り落ちて露わになった私の胸をガシッと掴んできた。
「ひっ・・!!」
「おほぉ~~たまらんのぉ~~!!」
タプタプと胸を揺らして堪能しているお客様は段々と息遣いが荒くなってくる。時々乳首を摘まみ楽しんでるけど、私にとってはただの恐怖でしかない。
「い・・・嫌っ・・!!」
「感じとるんかぁ??ヒヒヒッ、かわええ反応するやんかぁ~、ほれこうがええんやろぉ??」
違うっ・・感じてなんかない!!
気持ち悪い、嫌だっ・・!!誰か、誰か助けて!!
「・・・っ・・・あっ・・・!!」
怖くて・・声が、出ない・・・!!抵抗したいのに・・体が、動かない・・・!!
「ほな、頂こうかのぉ~!おっぱい吸わせてもらうでぇ~!」
「~~~っ!!!」
(嫌っ・・嫌だぁ・・・!!)
私の胸に酔っ払いの顔が近づいてくる。胸を舐めまわす準備をしているその舌先から気持ち悪い涎が垂れている。その涎が私の足に垂れ落ちて鳥肌が止まらない。目を閉じたいのに、恐怖でそれすらもできない。
(もぉ・・・駄目——)
『もし何かあったら我慢するんやないで?』
(・・あ・・・。)
もう駄目だって諦めかけたその時思い出した、真島さんのアドバイス。
『助けを求めるんや。』
・・真島・・・さん・・・・!
「・・・や・・。」
助けて・・真島さん・・・!!
「嫌・・だぁ・・!!」
『1人で頑張る必要あらへん。』
もぉ・・この怖さを・・・我慢、できない・・!!
「・・助けてぇ・・・!!」
やっと助けもを止められたその声は、絞りに絞った小さな声。
遅れるって言ってた真島さんはまだいないかもしれない。大声じゃないから聞こえないかもしれない。
でも・・真島さんは支配人として言ってくれていた。助けを求めろって。体調を崩して介抱していたあの時、1人で頑張らなくていいって言ってくれた。
(だから・・だから助けて・・!!)
「真島さんっ・・!!」
涙を流しながら、心から助けて欲しいと願う人物の名前を呟いたその時———。
「——お客様。」
(・・え・・・?)
ドスの効いた低い声が聞こえる。声のする方向に視線を向けると——冷酷な目でこっちを見ている人がいた。
「当店ではそのような行為はご遠慮願います。その手・・離していただけませんでしょうか?」
(・・真島、さん・・・!)
来てくれた・・本当に、来てくれたの・・・?
「あぁ?!この女が普段からこうしとる聞いたからサービスしてもろただけやんか!!文句あるんか、あぁ?!」
「それに関してはこちらで事実確認致します。サクラはテーブルから離しますので、引き続きノリコが相手をさせて頂きます。」
「・・よろしいのですか支配人?このようなキャストをここで働かせて。」
そう言うノリコさんの表情は余裕だった。自分の発言に自信があるんだ。
「私も止めたのですが、本人は止めようとしませんでした。名高いグランドのキャストにこんな事をしていると知られたら・・支配人もお困りでしょう?」
「・・なっ・・・!」
(この人っ・・嘘をっ・・・!!)
チラリと私に視線を向けて勝ち誇ったような目をするノリコさん。
真島さんの方を見ると、そのノリコさんの言葉に眉をピクリと動かして・・・私を見てくれていなかった。
(・・信じ・・ちゃうの・・?)
ノリコさんの言葉を、信じちゃうの・・・?
・・・ノリコさんの言った通り、歴が浅い新参者の事なんて信じないのかな・・・。
あんなに練習したのに・・やっぱり——
「——それはお前やろが、ノリコ。」
(・・え・・・?)
真島さん・・今、何て・・?
「は、はぁ?!何を・・!」
「お前がどないしてNo.2になったか俺が知らんわけないやろが。そこの客ともそういう関係やろ。」
「・・な、何で・・・?!」
「俺を舐めすぎや。それに・・お前、嘘が下手やな。顔見ればすぐに分かるで・・・サクラを陥れとるってな。」
「・・っ・・!!」
ノリコさんの表情が一気に青ざめていく。お客様も怖気づいたのか掴んでいた手を離してくれた。
真島さんは私の腕をそっと掴んで立ち上がらせた後タキシードを脱いで私の体にかけると、席に向かって一礼をしていた。
「大変失礼いたしました。私からシャンパンをサービスさせて頂きますので・・・ごゆっくりと、お過ごしください。」
支配人として最大級の笑顔でそういう真島さんだけど・・私にはその顔が、いつも以上の作り笑顔だってすぐに分かった。
だって・・・怖くて堪らないから。
(アイツに・・そっくりの笑顔・・・。)
「では、私達はこれで。」
「・・っ・・!」
最後にそう告げた真島さんは私の体を抱き寄せて、バックヤードへ向かって歩き始めた。
真島さんの笑顔に恐怖を感じてたけど、その腕の温もりが嬉しくて安心してしまった私は・・声を抑えながら泣き始める。そんな私に真島さんは声を掛けなかったけど、少しだけ力がこもったのが分かった。