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「ご馳走様でした。すみません、お金払っていただいて・・。」
「気にする事あらへん!ほな次はどないする?」
「そうですね・・・ん?」
あそこに立ってる後ろ姿・・・見覚えある。
「あそこにいるのって・・。」
「あ?・・・お~!一ちゃんやないか!」
少し先の離れた場所に斎藤さんが立っていた。近くに船乗り場がある・・あれでどこか行ってたのかな?
(・・ってあれ、沖田さん?)
隣にいたはずの沖田さんがいつの間にか斎藤さん目掛けて走って行った。「げっ!」という表情をする斎藤さんは逃げようとしたけど・・一足遅かった。思い切り走りこんだ沖田さんに勢いよくぶつけられてしまっていた。
『げっ!兄さんじゃねぇか!』
『イヒヒヒ!桐生ちゃんめ~っけ!!』
『お、おい止めろシエル!』
『あはは!』
『笑うな!』
(・・・この時代でも、あの2人はああいう感じなんだ・・。)
でも違う・・・あの2人じゃない。勘違いしちゃ駄目・・たまたま同じなだけ・・。
感情を抑えながら2人に近付くと、斎藤さんが私に気付いて服装が変わっていることに気付いていた。
「それ・・沖田の着物か?」
「貸していただいたんです。この恰好なら怪しまれませんから。」
「女が袴か・・珍しいが、まぁ大丈夫だろう。」
「お、せや一ちゃん。この辺で働ける場所しらんか?シエルちゃんが働きたい言うとるんやけど。」
「働ける場所?・・・そうだな・・あ。」
何か心当たりを思い出したかのように顔を上げた斎藤さんは私を見てくる。
「寺田屋なんてどうだ?人手が欲しいと前に女将が言っていたし、あそこは住み込みでも働けるしな。」
「えっ本当ですか?!」
住み込みで働ける・・!それいいかも・・!
「あの、よかったら教えてもらえませんか?!」
「あぁ構わないぞ。すぐそこだし今から行くか?」
「良かったなぁシエルちゃん!ほんなら、後は一ちゃんに任せるわ。」
「・・・なんだ、一緒に来ないのか?」
「一ちゃんがおるなら平気やろ。ほなまた。」
そう言う沖田さんは私と目が合うと、軽く手を振りそのまま歩いてきた道を戻っていった。
・・・あ・・ちゃんとお礼、言えなかった・・でも・・ようやく離れられた・・・。
「何か変だったな・・沖田の奴。」
「・・・。」
「まぁいいか。行くぞ。」
「はい。」
早歩きの斎藤さんに小走りでついて行き、すぐ先にあった寺田屋へ辿り着く。
思ったより大きな宿屋・・中には何人ものお客さんがいて、昼間だからか少し賑わっていた。そんな中歩いていると、1人の綺麗な女性が声をかけてきた。
「おかえりなさい一さん。・・あら、そちらのお方は?」
「俺の知り合いだ。住み込みで働ける場所を探してるんだが・・どうだ?頼めないか?」
「ホンマですか?そら有難いわ!」
「八神シエルと言います。よろしくお願いします。」
そのまま斎藤さんと別れ、女将さんに連れられ自分の自室を用意してくれた。必要なものはお金を貰ってから買うとして・・後は仕事を早く覚えないと・・!
色々場所などを教えてもらっていると、可愛らしい着物を着た女の人が寺田屋に帰ってきた。
「あぁおりょうちゃん!今日から住み込みで働いてくれるシエルちゃん。仲良うしてあげてな?」
「ホンマ?!わぁ嬉しいわ!うち、おりょう言います。よろしくなぁシエルさん!」
「こ、こちらこそ・・!」
明るくて元気な人・・・良かった、ここはいい場所かも・・。
それから一通り仕事を教えてもらって、その日は少し早いけど休ませてもらう事にした。起きていてもやる事ないし・・変に街に出れば慣れない私を怪しむ人がいるかもしれない。
(それに・・・。)
『これが全部夢だったらいいのに。』
何度も心の中で思ってた。夢であることを祈りながら、用意してもらった布団の中に潜り込む。
お願い・・どうかこのまま私をあの人の元に・・元の世界に、返して・・・・。
—————
『シエル。』
待って。
『俺の名前・・分からへん?』
待ってよ。
『・・・思い出せへん?』
思い出すから、だから待って・・!
『・・・さよならや・・シエル・・。』
待って・・・行かないで・・・!!
—————
「——っ・・!!!」
目が覚めた時には、外はまだ真っ暗だった。
手を天井に差し伸べて涙を流した私は・・・これが現実なんだっていう絶望を改めて突きつけられる。
「・・っ・・うぅ、ぐすっ・・!」
帰りたい・・帰りたいよ・・あの人に会いたい、抱きしめてほしい、愛してほしい、撫でてほしい・・・・。
「・・・・。」
駄目だ・・落ち着かない・・眠れない・・・。
それから何度か眠ろうとして潜り込んでも、目が覚めた時にまたこの現実を見たくないって思っちゃって眠れない・・・何度も何度も寝ようとしても眠れない、起きた時の絶望を感じたくない・・・。
(どうか・・・・夢で・・。)
その後眠れた時に見た夢は・・・あの人が私を見つめながらどんどん離れていく夢を何度も何度も見て・・朝までまともに眠る事が出来なかった。
「気にする事あらへん!ほな次はどないする?」
「そうですね・・・ん?」
あそこに立ってる後ろ姿・・・見覚えある。
「あそこにいるのって・・。」
「あ?・・・お~!一ちゃんやないか!」
少し先の離れた場所に斎藤さんが立っていた。近くに船乗り場がある・・あれでどこか行ってたのかな?
(・・ってあれ、沖田さん?)
隣にいたはずの沖田さんがいつの間にか斎藤さん目掛けて走って行った。「げっ!」という表情をする斎藤さんは逃げようとしたけど・・一足遅かった。思い切り走りこんだ沖田さんに勢いよくぶつけられてしまっていた。
『げっ!兄さんじゃねぇか!』
『イヒヒヒ!桐生ちゃんめ~っけ!!』
『お、おい止めろシエル!』
『あはは!』
『笑うな!』
(・・・この時代でも、あの2人はああいう感じなんだ・・。)
でも違う・・・あの2人じゃない。勘違いしちゃ駄目・・たまたま同じなだけ・・。
感情を抑えながら2人に近付くと、斎藤さんが私に気付いて服装が変わっていることに気付いていた。
「それ・・沖田の着物か?」
「貸していただいたんです。この恰好なら怪しまれませんから。」
「女が袴か・・珍しいが、まぁ大丈夫だろう。」
「お、せや一ちゃん。この辺で働ける場所しらんか?シエルちゃんが働きたい言うとるんやけど。」
「働ける場所?・・・そうだな・・あ。」
何か心当たりを思い出したかのように顔を上げた斎藤さんは私を見てくる。
「寺田屋なんてどうだ?人手が欲しいと前に女将が言っていたし、あそこは住み込みでも働けるしな。」
「えっ本当ですか?!」
住み込みで働ける・・!それいいかも・・!
「あの、よかったら教えてもらえませんか?!」
「あぁ構わないぞ。すぐそこだし今から行くか?」
「良かったなぁシエルちゃん!ほんなら、後は一ちゃんに任せるわ。」
「・・・なんだ、一緒に来ないのか?」
「一ちゃんがおるなら平気やろ。ほなまた。」
そう言う沖田さんは私と目が合うと、軽く手を振りそのまま歩いてきた道を戻っていった。
・・・あ・・ちゃんとお礼、言えなかった・・でも・・ようやく離れられた・・・。
「何か変だったな・・沖田の奴。」
「・・・。」
「まぁいいか。行くぞ。」
「はい。」
早歩きの斎藤さんに小走りでついて行き、すぐ先にあった寺田屋へ辿り着く。
思ったより大きな宿屋・・中には何人ものお客さんがいて、昼間だからか少し賑わっていた。そんな中歩いていると、1人の綺麗な女性が声をかけてきた。
「おかえりなさい一さん。・・あら、そちらのお方は?」
「俺の知り合いだ。住み込みで働ける場所を探してるんだが・・どうだ?頼めないか?」
「ホンマですか?そら有難いわ!」
「八神シエルと言います。よろしくお願いします。」
そのまま斎藤さんと別れ、女将さんに連れられ自分の自室を用意してくれた。必要なものはお金を貰ってから買うとして・・後は仕事を早く覚えないと・・!
色々場所などを教えてもらっていると、可愛らしい着物を着た女の人が寺田屋に帰ってきた。
「あぁおりょうちゃん!今日から住み込みで働いてくれるシエルちゃん。仲良うしてあげてな?」
「ホンマ?!わぁ嬉しいわ!うち、おりょう言います。よろしくなぁシエルさん!」
「こ、こちらこそ・・!」
明るくて元気な人・・・良かった、ここはいい場所かも・・。
それから一通り仕事を教えてもらって、その日は少し早いけど休ませてもらう事にした。起きていてもやる事ないし・・変に街に出れば慣れない私を怪しむ人がいるかもしれない。
(それに・・・。)
『これが全部夢だったらいいのに。』
何度も心の中で思ってた。夢であることを祈りながら、用意してもらった布団の中に潜り込む。
お願い・・どうかこのまま私をあの人の元に・・元の世界に、返して・・・・。
—————
『シエル。』
待って。
『俺の名前・・分からへん?』
待ってよ。
『・・・思い出せへん?』
思い出すから、だから待って・・!
『・・・さよならや・・シエル・・。』
待って・・・行かないで・・・!!
—————
「——っ・・!!!」
目が覚めた時には、外はまだ真っ暗だった。
手を天井に差し伸べて涙を流した私は・・・これが現実なんだっていう絶望を改めて突きつけられる。
「・・っ・・うぅ、ぐすっ・・!」
帰りたい・・帰りたいよ・・あの人に会いたい、抱きしめてほしい、愛してほしい、撫でてほしい・・・・。
「・・・・。」
駄目だ・・落ち着かない・・眠れない・・・。
それから何度か眠ろうとして潜り込んでも、目が覚めた時にまたこの現実を見たくないって思っちゃって眠れない・・・何度も何度も寝ようとしても眠れない、起きた時の絶望を感じたくない・・・。
(どうか・・・・夢で・・。)
その後眠れた時に見た夢は・・・あの人が私を見つめながらどんどん離れていく夢を何度も何度も見て・・朝までまともに眠る事が出来なかった。