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『チュンチュン チュンチュン』
「・・・ん・・んん・・・・。」
雀の鳴き声・・・日差しが出てる・・あれ、いつの間に朝になってたんだろ・・・確か朝には土方さんと近藤さんに話をするって斎藤さん達言ってたよね・・起きなきゃ・・・。
(・・あれ?動かない・・・。)
それに妙に右側があったかいような・・・。
寝惚けながら右に顔を向けると——沖田さんの顔が目の前にあった。
「——?!?!」
えっ・・・えっ?!何で?!
よく見ると沖田さんが私を抱きしめたまま眠っていた。
『よう頑張ったな。偉いでシエルちゃん。』
・・・あ~・・そう言えば昨日抱きしめられて・・そのまま寝ちゃったのか・・・う、動きたいけど起こすのもあれだし・・でも起きなきゃいけないし・・・ゆっくり動けば大丈夫かな・・?
そう思ってそ~っと動こうとすると、沖田さんの腕に力が入るのに気付く。顔を見ると、沖田さんは寝惚けた表情をしていた。
「・・おはようさん、シエルちゃん・・・。」
「お、おはようございますっ。あのすみません、私あのまま寝ちゃって・・。」
「かまへん・・それより、もうちょい寝ようや・・。」
「えっ?!あ、あの・・わっ!」
ん~と言いながら更に強く抱きしめてくる。
え・・えっええっ?!本当に寝るのっ?!
「お、沖田さん!起きないと!」
「ええやないか・・もうちょい・・・。」
「さ、斎藤さんが朝になったら近藤さん達と話をするって・・!」
「知らん。」
えぇ~・・・そ、そんな・・・・。
「だ、駄目ですって沖田さ——」
「——何をしている総司。」
「?!」
声がした方向を見ると、腕を組みながら鋭い目でこちらを見ているオールバックの男が立っていた。
バッチリ目が合って怖いんですけど!!凄い睨まれてる!!
「あぁ?・・何や歳ちゃんやないか。あと少し寝たら行くからもう少———」
「起きんか馬鹿者。」
速足で近づいてきた男の人は、思いっきり沖田さんの顔を蹴りつけてきた。その衝動で沖田さんの体はぶっ飛んでいった。
えぇ~~?!が、顔面って・・!!
「痛ぁ!!何すんねや歳ちゃん!?」
「彼女が困っているだろ。全く・・失礼した。私は新撰組副長の土方歳三だ。話はある程度斎藤君から聞いている。」
「あ・・八神シエルと言います!」
「熱があると聞いていたが体調の方は?」
「だ、大丈夫です。」
「であれば局長を連れてくるのでここで待っていてほしい。」
えっ・・・局長直々に?!
「あの、私がそちらに・・!」
「その格好で屯所内をうろつかれると隊士の目についてしまう。そればできれば避けたい。」
・・・そりゃそうか・・目立っちゃうよね。
「気持ちだけ受け取っておく。ではまたすぐに。」
それだけ告げると引き戸を閉じて離れて行った。
・・・あの人が副長の、土方歳三・・凄い圧だったな・・あんな人が副長なら局長はどんな人なんだろう・・・。
(・・・・あっ!!そう言えば沖田さん!!)
振り返ると沖田さんは鼻を抑えながら座っていた。
え・・もしかして鼻血出てる?!
「だ、大丈夫ですか?!」
「平気や平気。問題ないわ。普段から歳ちゃんにはああやから慣れとるで。いつも本気なんが嫌なんやがな・・。」
「そ・・そうなんですね・・。」
あれが普段って・・いつもああいう風に怒られてるんですね・・。
もしかして性格まであの人にそっくりとか・・?名前は思い出せないのに想い出や内面は覚えてるなんて・・本当に何なんだろ。
「せやシエルちゃん。ちょっとええか?」
「え?」
少し近付いてきた沖田さんは、私の前髪を手で少し上げて自分のおでこをつけてきた。
「お、沖田さん・・?!」
「ん~確かに熱は下がっとるみたいやな。体は何ともないか?」
「だ・・大丈夫、です・・・。」
「ほんなら良かったわ。」
にかっとした笑顔で頭を撫でてくる沖田さん。
「——っ・・・。」
その笑顔にドキドキする反面・・どうしようもない気持ちになる。
顔は同じ・・でも違う人・・・仕草や話し方は同じなのに・・。
(・・・少し、辛い・・。)
何もかも同じなのに・・こんな・・・・。
「・・シエルちゃん?どない——」
「おう、邪魔するぜぇ。」
その声と共に引き戸は再び開けられ、そこに立っていたのは——金色の着物に浅葱色の羽織を身に纏った優しそうな人だった。