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「・・ここって・・・?」
辿り着いたのは——小さな公園だった。
見覚えのあるベンチ。見覚えのあるブランコ。
(ここ・・神室町・・・?)
神室町の公園と認識できた途端、光の景色から神室町に変わっていた。
街を歩く人々。サラリーマンにOL。ホームレスに学生。多種多様な人々が歩いている。そんな人達を眺めながら公園のブランコに座ると、一人の人物が公園に入ってきた。
見覚えのある服装、見覚えのある顔。
(えっ・・あれって・・・私・・・?)
あれは・・確かに私だ。でも・・・今の私じゃない。
その証拠に——右目が潰れてない。公園に入ってきた私はベンチに座ってずっと下を向いていた。
そんな様子に見覚えのある私は察する。
(あぁ・・もしかして・・。)
今、目の前にいる私は・・・あの日の私だ。
組織から命令が出て神室町にやって来た、あの日の私。
(・・あんな顔してたんだな・・・。)
人形だったあの頃。感情を殺していたあの頃の私は・・一切の光もないあんな顔をしてたんだ。殺すのに何の躊躇もない、ただの”操り人形”。
今の私からは考えられない程に人間の顔をしていない。
そんな私が・・・今は・・・。
『なぁ姉ちゃん、こないな公園で何してるんや?』
「——!!」
——あの人との出会いで全部変わった。
人形の私が顔を上げる。目の前にいるのは・・当時標的だった人物。今の私のとっては・・・愛する大切な人。
(・・真島、吾朗・・・。)
『何やボーっとしとったからの。具合悪いんか?』
『あ、いえ・・・大丈夫です。ありがとうございます。』
・・・・そうだ・・・この時にはもう・・あの人の瞳に、あの人が放つ雰囲気に・・惹かれていたんだ。
誰よりも力強い目をしてたけど、どこか寂しそうな目。
そんな目が・・好きになったんだ。
『あの・・大丈夫ですか?』
『いや、なんでもあらへん。ベッピンさん思うてな。見入ってしもうたわ。』
『へっ?!そ、そんな事・・・。』
『せや、ワシ真島吾朗いうねん。姉ちゃんは?』
『あ・・・八神シエルです。』
『シエルちゃんか!ええ名前やのう!』
そこから暫く会話をしているのを見ていると、吾朗は私の手を引っ張って公園を出て行く。
「・・・ふふっ・・。」
変なの・・自分に起きた出来事をこうやって見てるなんて・・。
「・・・。」
あなたは・・この先大変な事がたくさんある。
でも・・でもね?あなたの手を引っ張って導いてくれているその人は、あなたにとっての王子様になるんだよ。昔子供の頃に憧れていた・・・白馬の王子様。
だから・・だから、頑張って生きて。この先の人生を。生き続ければ・・・良い事があるから。幸せな事が待っているから。
「——シエル。」
ふと聞こえるあの人の声。そして感じるあの人の温もり。
(・・あぁ・・そっか・・・そういう事だったんだ・・。)
「迎え来たで。」
この公園で会えたのは偶然じゃない。
だって・・あの人はずっと私を探してたんだもん。色んな時代を超えて・・・あの幕末からずっと・・。
後ろから抱きしめられた私は・・その手に、その腕に、自分の手をそっとそえる。
私を抱きしめてくれるその手には、黒い皮手袋がつけられている。蛇柄ジャケットを着ていて、背中に感じる温もりは彼の地肌。首にちくりと感じる整えられた髭に・・・私を安心させてくれる、低く優しい声。
抱きしめてくれるその腕を解き立ち上がった私は振り返る。
「やっと・・やっと会えたで。」
特徴的なテクノカットヘア。左目に眼帯を着けていて、その鋭い隻眼は誰よりも力強い。胸まで見えるその刺青は蛇が彫られていて、彼の背中には——立派な般若がいる。
「・・・おかえり・・吾朗。」
「ただいま・・シエル。」
——真島吾朗。東城会直系真島組組長。
私の・・大切な婚約者。
「行くで。みんな待っとる。」
「——うんっ!」
私達は手を繋いで公園を出る。
出口にある光に入って、私達は————
—————————
——————
————
——・・・・
・・・・・・・・・・・。
・・・体が、重い・・・瞼が、動かない・・。
「——!・・!・・!!・・・・・!!!」
・・・誰・・・?
「・・くれ・・・れや・・!!」
・・・誰かが・・呼んでる・・・・?
「・・・っ・・・・!!!」
・・・この声・・あぁ、そうだ・・・あの人、だ・・・。
あの人が・・迎えに、きてくれたんだ・・・。起きなきゃ・・起きなきゃ、いけない・・・・。
ちゃんと・・起きないと・・・。
「・・・・んっ・・・・。」
重たい瞼を懸命に開ける私は、ゆっくりと左目の視界が広がる。
見た事のある真っ白な天井。嗅いだ事のある消毒液の匂い。鳴り響く心電図の音。
そして・・・私の目覚めを待っていた人達の声。
「・・!!兄さん、シエルが・・!!」
「シエル・・!」
・・・あぁ・・・二人も、いる・・・良かった・・また、会えた。
(帰って・・きたんだ・・・。)
右手に感じる温もり。ゆっくり視線を握られている右手に向ける。
そこにいたのは・・・病院服を着ていたあの人。
そして——笑顔で私を見つめる。
「・・・・おはようさん・・・シエル・・・!」
・・・あぁ・・・やっと・・起きれたんだ・・・。
「・・おは、よぉ・・・吾朗・・・・。」
その人は——吾朗は私の右手をギュッと握りしめてくる。
そして右目から一筋の涙を流す。
「・・約束、守れたで・・シエル・・・!」
——それは150年以上前に交わした約束。
私達の記憶の奥底に秘められていた・・大切な約束。
『・・必ず、帰るからな。』
誓ってくれた約束。
誓いの言葉が——やっと叶った瞬間だった。
辿り着いたのは——小さな公園だった。
見覚えのあるベンチ。見覚えのあるブランコ。
(ここ・・神室町・・・?)
神室町の公園と認識できた途端、光の景色から神室町に変わっていた。
街を歩く人々。サラリーマンにOL。ホームレスに学生。多種多様な人々が歩いている。そんな人達を眺めながら公園のブランコに座ると、一人の人物が公園に入ってきた。
見覚えのある服装、見覚えのある顔。
(えっ・・あれって・・・私・・・?)
あれは・・確かに私だ。でも・・・今の私じゃない。
その証拠に——右目が潰れてない。公園に入ってきた私はベンチに座ってずっと下を向いていた。
そんな様子に見覚えのある私は察する。
(あぁ・・もしかして・・。)
今、目の前にいる私は・・・あの日の私だ。
組織から命令が出て神室町にやって来た、あの日の私。
(・・あんな顔してたんだな・・・。)
人形だったあの頃。感情を殺していたあの頃の私は・・一切の光もないあんな顔をしてたんだ。殺すのに何の躊躇もない、ただの”操り人形”。
今の私からは考えられない程に人間の顔をしていない。
そんな私が・・・今は・・・。
『なぁ姉ちゃん、こないな公園で何してるんや?』
「——!!」
——あの人との出会いで全部変わった。
人形の私が顔を上げる。目の前にいるのは・・当時標的だった人物。今の私のとっては・・・愛する大切な人。
(・・真島、吾朗・・・。)
『何やボーっとしとったからの。具合悪いんか?』
『あ、いえ・・・大丈夫です。ありがとうございます。』
・・・・そうだ・・・この時にはもう・・あの人の瞳に、あの人が放つ雰囲気に・・惹かれていたんだ。
誰よりも力強い目をしてたけど、どこか寂しそうな目。
そんな目が・・好きになったんだ。
『あの・・大丈夫ですか?』
『いや、なんでもあらへん。ベッピンさん思うてな。見入ってしもうたわ。』
『へっ?!そ、そんな事・・・。』
『せや、ワシ真島吾朗いうねん。姉ちゃんは?』
『あ・・・八神シエルです。』
『シエルちゃんか!ええ名前やのう!』
そこから暫く会話をしているのを見ていると、吾朗は私の手を引っ張って公園を出て行く。
「・・・ふふっ・・。」
変なの・・自分に起きた出来事をこうやって見てるなんて・・。
「・・・。」
あなたは・・この先大変な事がたくさんある。
でも・・でもね?あなたの手を引っ張って導いてくれているその人は、あなたにとっての王子様になるんだよ。昔子供の頃に憧れていた・・・白馬の王子様。
だから・・だから、頑張って生きて。この先の人生を。生き続ければ・・・良い事があるから。幸せな事が待っているから。
「——シエル。」
ふと聞こえるあの人の声。そして感じるあの人の温もり。
(・・あぁ・・そっか・・・そういう事だったんだ・・。)
「迎え来たで。」
この公園で会えたのは偶然じゃない。
だって・・あの人はずっと私を探してたんだもん。色んな時代を超えて・・・あの幕末からずっと・・。
後ろから抱きしめられた私は・・その手に、その腕に、自分の手をそっとそえる。
私を抱きしめてくれるその手には、黒い皮手袋がつけられている。蛇柄ジャケットを着ていて、背中に感じる温もりは彼の地肌。首にちくりと感じる整えられた髭に・・・私を安心させてくれる、低く優しい声。
抱きしめてくれるその腕を解き立ち上がった私は振り返る。
「やっと・・やっと会えたで。」
特徴的なテクノカットヘア。左目に眼帯を着けていて、その鋭い隻眼は誰よりも力強い。胸まで見えるその刺青は蛇が彫られていて、彼の背中には——立派な般若がいる。
「・・・おかえり・・吾朗。」
「ただいま・・シエル。」
——真島吾朗。東城会直系真島組組長。
私の・・大切な婚約者。
「行くで。みんな待っとる。」
「——うんっ!」
私達は手を繋いで公園を出る。
出口にある光に入って、私達は————
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——・・・・
・・・・・・・・・・・。
・・・体が、重い・・・瞼が、動かない・・。
「——!・・!・・!!・・・・・!!!」
・・・誰・・・?
「・・くれ・・・れや・・!!」
・・・誰かが・・呼んでる・・・・?
「・・・っ・・・・!!!」
・・・この声・・あぁ、そうだ・・・あの人、だ・・・。
あの人が・・迎えに、きてくれたんだ・・・。起きなきゃ・・起きなきゃ、いけない・・・・。
ちゃんと・・起きないと・・・。
「・・・・んっ・・・・。」
重たい瞼を懸命に開ける私は、ゆっくりと左目の視界が広がる。
見た事のある真っ白な天井。嗅いだ事のある消毒液の匂い。鳴り響く心電図の音。
そして・・・私の目覚めを待っていた人達の声。
「・・!!兄さん、シエルが・・!!」
「シエル・・!」
・・・あぁ・・・二人も、いる・・・良かった・・また、会えた。
(帰って・・きたんだ・・・。)
右手に感じる温もり。ゆっくり視線を握られている右手に向ける。
そこにいたのは・・・病院服を着ていたあの人。
そして——笑顔で私を見つめる。
「・・・・おはようさん・・・シエル・・・!」
・・・あぁ・・・やっと・・起きれたんだ・・・。
「・・おは、よぉ・・・吾朗・・・・。」
その人は——吾朗は私の右手をギュッと握りしめてくる。
そして右目から一筋の涙を流す。
「・・約束、守れたで・・シエル・・・!」
——それは150年以上前に交わした約束。
私達の記憶の奥底に秘められていた・・大切な約束。
『・・必ず、帰るからな。』
誓ってくれた約束。
誓いの言葉が——やっと叶った瞬間だった。