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光に飛び込んだ私は、どこまで続くかも分からない道を永遠と歩き続けていた。周りには何もなくて、ちゃんと前に進めているのか分からなかった。
「どこまで・・行けば・・・。」
もうずっと歩いてる。本当に帰れるの・・?
そんな不安がよぎったその時、遠くの方から声が聞こえてくる。
『——!——っ・・!』
「・・え・・・?」
(この声・・どこかで聞いた事ある・・・?)
声の方へ進む私の前に一つの光景が現れる。
そこには——
「——っ!吾朗っ?!」
そこに現れた景色には、床に臥せている吾朗とその周りを囲うように井上さん達が座っていた。
もっと近づこうとしても見えない壁で、それ以上近づく事が出来ない。
「吾朗っ・・!吾朗!!」
『総司・・!すまないっ・・すまなかった・・・!』
『ヒハッ・・そない、謝らんなや源さん・・・笑顔で、ワシを見送ってくれへんか・・?』
『・・総司の言う通りや。これで・・最後なんやからな。』
まさか・・これっ・・・沖田総司の、最後の瞬間・・?
何でそんなのが見えてるのっ・・嫌、嫌だっ!!そんなの私に見せないで!!
『・・迷惑かけて・・すまんかったの・・・。』
『ふっ・・弱気な沖田は見たくねぇな。』
『確かに・・そう、やな・・一ちゃん・・。』
『・・今までよく頑張った。ゆっくり休むといい。』
『歳ちゃん・・ハッ、らしくないのぉ・・・。』
嫌っ・・嫌だ・・・!!やめて・・!!
「嫌ぁ!!吾朗ぉ!!!」
嫌だっ・・目の前で、死ぬのを見てしまうなんてっ・・!!
(死んだら・・吾朗はっ、どうなるの・・・?)
ちゃんと・・ちゃんとまた会えるの?
足が震えた私はその場で沈んでしまう。涙が止まらない。恐怖で震えが止まらない。
怖い・・怖いよっ・・吾朗っ・・・!!
『——八神さんよ。』
「・・・・え・・・?」
誰かの呼び声。顔を上げると・・
「・・近藤、さん・・・?」
目の前に——近藤さんが立っていた。
(どうして・・ここに・・・?)
近藤さんは私に手を差し伸べて立ち上がらせてくれる。涙を流す私の頬に手を触れて涙を拭ってくれる。
そしていつも見せてくれたような・・優しく包むような笑顔で言ってくれた。
『ったくよ・・俺が言った事、もう忘れたのか?』
「・・・近藤、さんが・・?」
『俺ぁアンタに言ったハズだぜ?』
近藤さんが・・私に言ってくれた事・・・?
・・・それって、もしかして・・・。
『”両目で受け入れろ”。俺はそう言ったよな?』
”両目で”・・・”受け入れろ”・・・・。
確かに言った。言った、けど・・・。
「でも・・私の右目は、もう・・・。」
『確かにアンタの目は潰れてる。けど・・俺の言葉を信じて右目を開けてみな?』
潰れた右目を・・開ける・・・?
目を開く感覚は覚えてる。近藤さんの目を見つめると・・嘘を言ってる目じゃない。
だから・・私は、近藤さんの言う事を・・信じる。信じてその右目を開く・・・。
「・・・え・・?」
視界が広がったわけじゃない。だけど——そこに見えるものはあった。
左目で見えているのは、亡くなった沖田総司を見守っているみんなの姿。右目で見えているのは・・・そんなみんなを離れた場所で見ている——沖田総司・・ううん、吾朗が立っていた。
「え・・な、んで・・・?」
『俺からのささやかな贈り物だ。アンタはこのまま真っ直ぐ歩け。そして・・その先で座って待ってな。・・・言ったろ?いい事あるってさ。』
「近藤・・さん・・・。」
『ほら、早く行け!もう止まるんじゃねぇぞ!』
とんっと背中を押してくる近藤さん。
振り返ったそこには——もうその姿はなかった。
(・・今のは・・・一体・・?)
『シエル・・今、行くで・・・待っとってや・・。』
「っ!!」
頭に響く吾朗の声。
風景は消えていた。何もない白い景色に戻ってる。近藤さんが指差した方向には・・一本の道が出来ている。
「・・・・。」
(この先を行けば・・きっと・・・。)
近藤さんの言葉を信じて歩き出す。歩いて歩いて・・歩いている時に、時々吾朗の声が響いてくる。
『もうすぐや・・もうすぐ会える。』
『どこまで行けばええんや・・・。』
『シエル・・きっと、もうすぐ・・。』
吾朗の声が響くと共に、時々見た事のない風景が見えてくる。
走っている吾朗。探している吾朗。どこまでもどこまでも走っている吾朗がいた。
でも・・時々見た事のない吾朗もいた。
両目があった頃の若い吾朗。長髪の頃の吾朗。
左目で見えているのは今までの吾朗の姿で、右目で見えているのは私を探している吾朗の姿。たくさんの吾朗が私の視界に現れている。
『ちゃう、ここやない。』
『どこのおるんや。』
『見つけたる、絶対に。』
(・・そっか・・吾朗はずっと、探してたんだ・・。)
私の事・・ずっと探してくれたんだ。ずっとずっと・・・昔から。
そんな様子を見ながら歩いていた私は、歩いて歩いて歩き続けた。
そして辿り着いた。辿り着いたのは——あの場所。
私達が出会った——あの場所だった。
「どこまで・・行けば・・・。」
もうずっと歩いてる。本当に帰れるの・・?
そんな不安がよぎったその時、遠くの方から声が聞こえてくる。
『——!——っ・・!』
「・・え・・・?」
(この声・・どこかで聞いた事ある・・・?)
声の方へ進む私の前に一つの光景が現れる。
そこには——
「——っ!吾朗っ?!」
そこに現れた景色には、床に臥せている吾朗とその周りを囲うように井上さん達が座っていた。
もっと近づこうとしても見えない壁で、それ以上近づく事が出来ない。
「吾朗っ・・!吾朗!!」
『総司・・!すまないっ・・すまなかった・・・!』
『ヒハッ・・そない、謝らんなや源さん・・・笑顔で、ワシを見送ってくれへんか・・?』
『・・総司の言う通りや。これで・・最後なんやからな。』
まさか・・これっ・・・沖田総司の、最後の瞬間・・?
何でそんなのが見えてるのっ・・嫌、嫌だっ!!そんなの私に見せないで!!
『・・迷惑かけて・・すまんかったの・・・。』
『ふっ・・弱気な沖田は見たくねぇな。』
『確かに・・そう、やな・・一ちゃん・・。』
『・・今までよく頑張った。ゆっくり休むといい。』
『歳ちゃん・・ハッ、らしくないのぉ・・・。』
嫌っ・・嫌だ・・・!!やめて・・!!
「嫌ぁ!!吾朗ぉ!!!」
嫌だっ・・目の前で、死ぬのを見てしまうなんてっ・・!!
(死んだら・・吾朗はっ、どうなるの・・・?)
ちゃんと・・ちゃんとまた会えるの?
足が震えた私はその場で沈んでしまう。涙が止まらない。恐怖で震えが止まらない。
怖い・・怖いよっ・・吾朗っ・・・!!
『——八神さんよ。』
「・・・・え・・・?」
誰かの呼び声。顔を上げると・・
「・・近藤、さん・・・?」
目の前に——近藤さんが立っていた。
(どうして・・ここに・・・?)
近藤さんは私に手を差し伸べて立ち上がらせてくれる。涙を流す私の頬に手を触れて涙を拭ってくれる。
そしていつも見せてくれたような・・優しく包むような笑顔で言ってくれた。
『ったくよ・・俺が言った事、もう忘れたのか?』
「・・・近藤、さんが・・?」
『俺ぁアンタに言ったハズだぜ?』
近藤さんが・・私に言ってくれた事・・・?
・・・それって、もしかして・・・。
『”両目で受け入れろ”。俺はそう言ったよな?』
”両目で”・・・”受け入れろ”・・・・。
確かに言った。言った、けど・・・。
「でも・・私の右目は、もう・・・。」
『確かにアンタの目は潰れてる。けど・・俺の言葉を信じて右目を開けてみな?』
潰れた右目を・・開ける・・・?
目を開く感覚は覚えてる。近藤さんの目を見つめると・・嘘を言ってる目じゃない。
だから・・私は、近藤さんの言う事を・・信じる。信じてその右目を開く・・・。
「・・・え・・?」
視界が広がったわけじゃない。だけど——そこに見えるものはあった。
左目で見えているのは、亡くなった沖田総司を見守っているみんなの姿。右目で見えているのは・・・そんなみんなを離れた場所で見ている——沖田総司・・ううん、吾朗が立っていた。
「え・・な、んで・・・?」
『俺からのささやかな贈り物だ。アンタはこのまま真っ直ぐ歩け。そして・・その先で座って待ってな。・・・言ったろ?いい事あるってさ。』
「近藤・・さん・・・。」
『ほら、早く行け!もう止まるんじゃねぇぞ!』
とんっと背中を押してくる近藤さん。
振り返ったそこには——もうその姿はなかった。
(・・今のは・・・一体・・?)
『シエル・・今、行くで・・・待っとってや・・。』
「っ!!」
頭に響く吾朗の声。
風景は消えていた。何もない白い景色に戻ってる。近藤さんが指差した方向には・・一本の道が出来ている。
「・・・・。」
(この先を行けば・・きっと・・・。)
近藤さんの言葉を信じて歩き出す。歩いて歩いて・・歩いている時に、時々吾朗の声が響いてくる。
『もうすぐや・・もうすぐ会える。』
『どこまで行けばええんや・・・。』
『シエル・・きっと、もうすぐ・・。』
吾朗の声が響くと共に、時々見た事のない風景が見えてくる。
走っている吾朗。探している吾朗。どこまでもどこまでも走っている吾朗がいた。
でも・・時々見た事のない吾朗もいた。
両目があった頃の若い吾朗。長髪の頃の吾朗。
左目で見えているのは今までの吾朗の姿で、右目で見えているのは私を探している吾朗の姿。たくさんの吾朗が私の視界に現れている。
『ちゃう、ここやない。』
『どこのおるんや。』
『見つけたる、絶対に。』
(・・そっか・・吾朗はずっと、探してたんだ・・。)
私の事・・ずっと探してくれたんだ。ずっとずっと・・・昔から。
そんな様子を見ながら歩いていた私は、歩いて歩いて歩き続けた。
そして辿り着いた。辿り着いたのは——あの場所。
私達が出会った——あの場所だった。