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「知っとったって・・・どういう事や・・?」
「そのままさ、最初から知っていたってだけだ。沖田は沖田じゃないってな。」
「今日もしかしたら屯所に来るかもしれんって土方はんが言うとったんや。発症した聞いての、ここで張っとったんや。」
「まさか本当に来るとはな・・恐ろしい副長だぜ。」
そう語りながら、私達は近づいてお互いの顔を見合わせる。
2人共知ってたって事は・・まさか今までの事全部演技だったの?
納得できない私達の表情を察したのか、斎藤さん達はふっと笑顔になりながらも申し訳なさそうな顔になる。
「・・すまなかったな。本当は真実を話して協力したかった。だが・・井上の想いを考えると、どうする事もできなかった。」
「俺達も望んでたんや。総司の幸せを・・総司が生きれる事を・・でも、何も変える事は出来ん。沖田総司の死は、絶対の結末なんや。」
・・それを分かっていてもこの人達は諦めることが出来なかった。抗って抗って・・抗い続けてきたんだ。2人の目を見ればわかる。それがどれだけ苦しかったのか・・・どれだけ辛かったのか。
「沖田、八神。みんな屯所で待ってる。八神が無事に帰れるようにしてくれているはずだ。」
(斎藤さん・・。)
「気ぃつけて帰るんやで。お前さんとの稽古、ええもんやった。」
(永倉さん・・・。)
・・どうして・・・・。
「どうして・・笑顔でいられるんですか?」
どうしてこの人達は、笑顔でいられるの・・・?
「2人はこれから・・沖田総司の死を見る事になるんですよ?なのにどうして・・どうしてそうやって・・・?」
何度も仲間の死を見て慣れてしまったの?
何度も見てきたから・・・何も思わないの・・?
その私の考えが伝わったのか、2人は・・少し切ない表情になったけど、それでもすぐに笑ってくれる。私を安心させてくれるような笑顔を。
——桐生さんと冴島さんと同じように。
「・・辛いんは当たり前や。今からでも間に合うんやったら、俺達は全力を尽くす。せやけど・・これで苦しむ総司を見るんが最後やったら・・最後くらい、笑って見送らなアカンやろ?」
「・・・あ・・っ・・。」
『もうこれ以上、源さん達が苦しむ姿を見なくて済むって思ったんだ。』
近藤さんも・・同じ事を・・・。
「俺達はいつも沖田を泣きながら見送ってきた。後悔しながら、ずっとな。だけど俺も永倉と同じように、最後だけはって思ってた。だから・・・笑っていられるんだ。」
(・・・・気のせい、かな・・?ううん、違う。)
もしかしたらこの2人の未来の姿は——本当にあの2人なのかもしれない。だって・・・桐生さんと冴島さんと、同じ目をしているから。
あの2人みたいな力強い目を。きっとそうだ。
だから・・・2人にだって、また会える。これで”さよなら”じゃないはず。
「・・また会えますよ。私とだって、きっと・・。」
そんな事を言う私は、きっと可笑しい人間だろう。
でも2人は一瞬驚いた顔をした後、すぐに笑い出す。まるで安心したかのような笑い声が2人から出てきた。
「確かにな・・なぜだか分からんが、俺もそう思う。きっとお前とは・・また会えるってな。」
「ほんならここで言うのは、別れの言葉とちゃうな。」
「・・はい・・・!」
また会える。だから・・・”さよなら”じゃない。
2人にその言葉を告げようとしたその時、吾朗が2人にゆっくり近づきずっと閉ざしていた口を開いた。
「なぁ・・ホンマに知っとったんか?」
「吾朗・・・?」
「事情を知っとったんなら、何で俺はその事を知らんかったんや?源さんに歳ちゃん、勇ちゃんの事は思い出したんに、何で2人の事は思い出せへんかった?」
(・・言われてみれば、そうかもしれない。)
土方さんと近藤さんが関わってると言われた昨日、吾朗は特に反応をしたわけじゃなかった。名前や事情を思い出したと一緒に思い出したのかもしれない。
でも2人には違ってた。どうして・・・?
そんな疑問に、2人はちゃんと答えてくれる。
「全てを知った状態やったら、総司は自分の人生をちゃんと生きれんやろが。」
「・・・は・・?」
「ふっ・・アンタが何も気にせず生きる事を望んでたんだ。余計な事考えさせたくなかっただけだ。何も気にせず・・ただの沖田総司と生きたかったんだよ、俺達も。」
「・・・お前等・・。」
(そっか・・・そうだよね。)
屯所で稽古をしている時や街で偶然居合わせた時・・・2人は本当の気持ちを出さないで過ごしていた。
”沖田総司”が何も気にせず生きていけるように。2人もただ一緒に生きたかっただけなんだ。
ただの斎藤一と・・ただの永倉新八として・・・。
「・・・・。」
吾朗が今、何を思ってるのか、背中を見て伝わってくる。
謝罪と感謝。この2人は沖田総司をずっと守ってきたんだ。桐生さんと冴島さんみたいに、吾朗を守るように。
「・・せやったら今度会う時は、もっと楽しもうや。俺等でもっと、楽しい事しようやないか。」
「・・ふっ・・・そうだな。」
「あぁ・・約束やで。」
・・・きっと、2人は吾朗の”沖田総司”としての気遣いだと思ったに違いない。
でも違うよ。吾朗だって、未来に帰れると信じてる。
2人が・・・生まれ変わった2人がいるあの未来に・・・・あの街に、神室町で・・また会えるって。
自然と3人に向かって私が抱きつくと、3人共笑顔で私を迎え入れてくれる。そして抱きしめてくれる。
「また会いましょう・・150年先の、未来で・・。」
”さよなら”なんて言わない。
”また会いましょう”。
私達にはその言葉だけで充分だった。みんな目尻に少し涙を貯めながら笑い合い——2人は笑顔で見送ってくれた。
「・・・!」
一瞬振り返った時———2人が神室町での格好に見えたのは見間違いじゃないって信じたい。
「そのままさ、最初から知っていたってだけだ。沖田は沖田じゃないってな。」
「今日もしかしたら屯所に来るかもしれんって土方はんが言うとったんや。発症した聞いての、ここで張っとったんや。」
「まさか本当に来るとはな・・恐ろしい副長だぜ。」
そう語りながら、私達は近づいてお互いの顔を見合わせる。
2人共知ってたって事は・・まさか今までの事全部演技だったの?
納得できない私達の表情を察したのか、斎藤さん達はふっと笑顔になりながらも申し訳なさそうな顔になる。
「・・すまなかったな。本当は真実を話して協力したかった。だが・・井上の想いを考えると、どうする事もできなかった。」
「俺達も望んでたんや。総司の幸せを・・総司が生きれる事を・・でも、何も変える事は出来ん。沖田総司の死は、絶対の結末なんや。」
・・それを分かっていてもこの人達は諦めることが出来なかった。抗って抗って・・抗い続けてきたんだ。2人の目を見ればわかる。それがどれだけ苦しかったのか・・・どれだけ辛かったのか。
「沖田、八神。みんな屯所で待ってる。八神が無事に帰れるようにしてくれているはずだ。」
(斎藤さん・・。)
「気ぃつけて帰るんやで。お前さんとの稽古、ええもんやった。」
(永倉さん・・・。)
・・どうして・・・・。
「どうして・・笑顔でいられるんですか?」
どうしてこの人達は、笑顔でいられるの・・・?
「2人はこれから・・沖田総司の死を見る事になるんですよ?なのにどうして・・どうしてそうやって・・・?」
何度も仲間の死を見て慣れてしまったの?
何度も見てきたから・・・何も思わないの・・?
その私の考えが伝わったのか、2人は・・少し切ない表情になったけど、それでもすぐに笑ってくれる。私を安心させてくれるような笑顔を。
——桐生さんと冴島さんと同じように。
「・・辛いんは当たり前や。今からでも間に合うんやったら、俺達は全力を尽くす。せやけど・・これで苦しむ総司を見るんが最後やったら・・最後くらい、笑って見送らなアカンやろ?」
「・・・あ・・っ・・。」
『もうこれ以上、源さん達が苦しむ姿を見なくて済むって思ったんだ。』
近藤さんも・・同じ事を・・・。
「俺達はいつも沖田を泣きながら見送ってきた。後悔しながら、ずっとな。だけど俺も永倉と同じように、最後だけはって思ってた。だから・・・笑っていられるんだ。」
(・・・・気のせい、かな・・?ううん、違う。)
もしかしたらこの2人の未来の姿は——本当にあの2人なのかもしれない。だって・・・桐生さんと冴島さんと、同じ目をしているから。
あの2人みたいな力強い目を。きっとそうだ。
だから・・・2人にだって、また会える。これで”さよなら”じゃないはず。
「・・また会えますよ。私とだって、きっと・・。」
そんな事を言う私は、きっと可笑しい人間だろう。
でも2人は一瞬驚いた顔をした後、すぐに笑い出す。まるで安心したかのような笑い声が2人から出てきた。
「確かにな・・なぜだか分からんが、俺もそう思う。きっとお前とは・・また会えるってな。」
「ほんならここで言うのは、別れの言葉とちゃうな。」
「・・はい・・・!」
また会える。だから・・・”さよなら”じゃない。
2人にその言葉を告げようとしたその時、吾朗が2人にゆっくり近づきずっと閉ざしていた口を開いた。
「なぁ・・ホンマに知っとったんか?」
「吾朗・・・?」
「事情を知っとったんなら、何で俺はその事を知らんかったんや?源さんに歳ちゃん、勇ちゃんの事は思い出したんに、何で2人の事は思い出せへんかった?」
(・・言われてみれば、そうかもしれない。)
土方さんと近藤さんが関わってると言われた昨日、吾朗は特に反応をしたわけじゃなかった。名前や事情を思い出したと一緒に思い出したのかもしれない。
でも2人には違ってた。どうして・・・?
そんな疑問に、2人はちゃんと答えてくれる。
「全てを知った状態やったら、総司は自分の人生をちゃんと生きれんやろが。」
「・・・は・・?」
「ふっ・・アンタが何も気にせず生きる事を望んでたんだ。余計な事考えさせたくなかっただけだ。何も気にせず・・ただの沖田総司と生きたかったんだよ、俺達も。」
「・・・お前等・・。」
(そっか・・・そうだよね。)
屯所で稽古をしている時や街で偶然居合わせた時・・・2人は本当の気持ちを出さないで過ごしていた。
”沖田総司”が何も気にせず生きていけるように。2人もただ一緒に生きたかっただけなんだ。
ただの斎藤一と・・ただの永倉新八として・・・。
「・・・・。」
吾朗が今、何を思ってるのか、背中を見て伝わってくる。
謝罪と感謝。この2人は沖田総司をずっと守ってきたんだ。桐生さんと冴島さんみたいに、吾朗を守るように。
「・・せやったら今度会う時は、もっと楽しもうや。俺等でもっと、楽しい事しようやないか。」
「・・ふっ・・・そうだな。」
「あぁ・・約束やで。」
・・・きっと、2人は吾朗の”沖田総司”としての気遣いだと思ったに違いない。
でも違うよ。吾朗だって、未来に帰れると信じてる。
2人が・・・生まれ変わった2人がいるあの未来に・・・・あの街に、神室町で・・また会えるって。
自然と3人に向かって私が抱きつくと、3人共笑顔で私を迎え入れてくれる。そして抱きしめてくれる。
「また会いましょう・・150年先の、未来で・・。」
”さよなら”なんて言わない。
”また会いましょう”。
私達にはその言葉だけで充分だった。みんな目尻に少し涙を貯めながら笑い合い——2人は笑顔で見送ってくれた。
「・・・!」
一瞬振り返った時———2人が神室町での格好に見えたのは見間違いじゃないって信じたい。