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翌朝。
私達は静かに起きて屯所へ向かう。そこで待っているか分からないけど・・井上さん達がいると信じて。
隊服に着替えている吾朗と手を繋いで歩く事で、周りの人から奇怪な目で見られる。でもそんなのどうでもいい。私は愛してる人と手を繋いでいるだけなんだから。
吾朗は少し申し訳なさそうな目で私を見てくる。
「・・すまんの、目立ってしもうてるな。」
「ううん、気にしないよ。こうして吾朗と一緒に歩けるのが、私の幸せなんだから。周りなんてどうでもいいよ。」
奇怪な目で見てくる人達を睨み返すと、意見を言う自信が無い人達は押し黙ってどこかへ去って行く。そんな事なら最初からするんじゃないわよ全く・・。
「というか、普段素肌にジャケット着てたのにこんな事気になるの?」
「・・言われてみればそうやな。平山と沖田の意識もあるからかのぉ・・・。」
「ふふっ・・そうかもね。」
平山五郎は分からないけど、確かに沖田さんだったら気にするかも。何となく分かる気がする。
(・・そう言えば・・・。)
「ねぇ吾朗。井上さんと平山五郎って、どんな関係なの?」
「なんや、気になるんか?」
「うん、少し・・・。」
分かる範囲でいいから知りたい。
どうしてここまでして平山五郎の人生をなんとかしたかったのか。どれほどの関係だったのか、単純に知りたい。
「・・せやのぉ・・・源さんとは同じ藩の出なんや。平山五郎にとっても、沖田総司にとっても・・あの人は大きな目標やった。昔からずっと一緒やった。まぁ・・・自分で言うんもあれやが、親子に近いもんやったかもしれへんな。」
(親子、・・か・・・。)
息子同然と思っている人が不治の病になったらどうにかしたくなるよね・・・あの人は・・井上さんは、自分の大切な息子を助けたかったんだ。その度に何度も・・何度も何度も・・・亡くなっていくのを見てしまってるんだ。
そして・・最後である今回も・・・・。
「うっ・・ゲホッ、ゲホッ!!」
「っ?!吾朗・・?!」
「っ・・はぁっ・・大丈、夫や・・早よ行くで・・・。」
「・・うん・・・。」
(吾朗の咳・・どんどん酷くなってる・・・。)
こんなに辛そうにしてるのに・・・自分の事で弱音を吐かないんだから・・。
洛外に入る門を通り過ぎたその時、こっちを見てくる不逞浪士達が数名いた。
「あぁ・・?何だぁ、新撰組の隊長様が女連れて歩いてるぜ?」
「いい女だなぁ・・へへっ、俺達に譲ってくれよぉ隊長さんよ?」
不気味な顔で近づいてくる男達。五郎は私の手を強く握りしめて背に隠れるように体を寄せてくる。
「チッ・・下衆共が・・さっさとどけや。俺らは急いどるんや。」
「この野郎っ・・ぶっ殺せ!!」
刀を抜いた不逞浪士達がこちらに斬りかかってくる。
(こんな時に・・・!!)
懐に隠しておいた小刀に手をかけようとしたその時——
『ドンッ』
「きゃっ?!」
吾朗が私の手を手放して——私の事を思い切り押し倒す。
バランスを崩した私は、そのまま地べたにお尻をついてしまう。
(な、んで・・・?)
慌てて顔を上げると、吾朗が一人で不逞浪士達を斬っていた。
結核で苦しいハズなのに、吾朗の剣は——沖田総司の剣は衰えていなかった。
「吾朗・・!!」
「来んなシエル!!もうお前の手を・・血で染めさせへん!!」
「この野郎ぉ!!!」
応戦を続ける吾朗、倒れていく不逞浪士達。
あと少しで全員倒せる、ところ、だったのに——
「——?!うぇっ・・ゲボッ!!」
「っ!!」
恐れていた事が起こった。
吾朗が・・血を吐き出してしまう。体はもう限界なんだ・・!これ以上戦ったら・・吾朗が・・・!!
(吾朗が死んじゃう・・!!)
体勢を崩す吾朗に向かって、絶好のチャンスを逃すまいと不逞浪士が刀を振りかざす。
「死ねやあぁぁ!!」
「——っ!!」
手を伸ばしても、もう間に合わないっ・・!!
吾朗の首元目掛けて刀を振り下ろされそうになって——私はその結末を見たくなくて目を瞑る。
「いやぁあ!!吾朗ぉっ!!!」
私の叫び声が響き渡る。
でも、その直後————
『パァン!!』
「・・?!」
(銃声・・・?!)
どこからか銃声が鳴り響く。撃たれた先が気になって目を開く。
撃たれたのは——
「うがぁっ・・!!」
「・・・?!」
不逞浪士が腕を撃たれていた。その拍子に刀を堕とし、足元にカシャリと音が響く。
そして私の背後から、誰かが勢いよく走ってきて刀を手放した不逞浪士に斬りかかる。
「うらぁ!!」
「ぎゃあっ——!!」
腹を斬られた不逞浪士は、大量の血を流しその場に倒れ込む。
斬ったその人物は刀を振り払い血を拭う。倒れ込む吾朗を起き上げたその人物は・・・・。
「・・新八ちゃん・・・?」
「よぉ。情けないのぉ総司。」
「永倉さん・・何で・・・?」
どうして永倉さんがここに・・・?
呆然としていると、誰かが私の腕を引っ張って起き上がらせた。
「えっ?!わっ・・!!」
起き上がらせてくれた人物を確認する為に後ろを振り向く。
そこに立っていたのは、もう一人見慣れた人物が立っていた。
「大丈夫だったか?八神。」
「・・斎藤、さん・・・?」
斎藤さんの手に握られていたのは黄金に輝く銃。
もしかして・・・さっきの銃声は、斎藤さんが・・・?
「一ちゃんまで・・二人共、どないしたんや・・・?」
「どないしたって、んなもん決まっとるやろ?」
吾朗の肩に手を乗せた永倉さんは、優しい笑顔で吾朗に伝える。
——私達が思っていない、予想外の言葉を。
「お前と八神が無事に別れられるように様子を見に来ただけや。」
「・・は・・・?何言うとるんや・・?」
「まぁ、そういう事だ沖田。」
「だから何やねん・・!」
(・・・まさ、か・・。)
永倉さんと斎藤さんの顔で察してしまう。
二人は何を言いたいのか、何の為にここに現れたのか。
「・・・全部・・知って、たんですか・・?」
(この2人も・・井上さん達と、同じ・・・?)
私の疑問に二人は笑顔で頷いてくれる。
斎藤さんも永倉さんも・・・井上さん達も同じだったんだ。何度も何度も・・沖田総司の死を、仲間の死を・・見てきたんだ・・。
私達は静かに起きて屯所へ向かう。そこで待っているか分からないけど・・井上さん達がいると信じて。
隊服に着替えている吾朗と手を繋いで歩く事で、周りの人から奇怪な目で見られる。でもそんなのどうでもいい。私は愛してる人と手を繋いでいるだけなんだから。
吾朗は少し申し訳なさそうな目で私を見てくる。
「・・すまんの、目立ってしもうてるな。」
「ううん、気にしないよ。こうして吾朗と一緒に歩けるのが、私の幸せなんだから。周りなんてどうでもいいよ。」
奇怪な目で見てくる人達を睨み返すと、意見を言う自信が無い人達は押し黙ってどこかへ去って行く。そんな事なら最初からするんじゃないわよ全く・・。
「というか、普段素肌にジャケット着てたのにこんな事気になるの?」
「・・言われてみればそうやな。平山と沖田の意識もあるからかのぉ・・・。」
「ふふっ・・そうかもね。」
平山五郎は分からないけど、確かに沖田さんだったら気にするかも。何となく分かる気がする。
(・・そう言えば・・・。)
「ねぇ吾朗。井上さんと平山五郎って、どんな関係なの?」
「なんや、気になるんか?」
「うん、少し・・・。」
分かる範囲でいいから知りたい。
どうしてここまでして平山五郎の人生をなんとかしたかったのか。どれほどの関係だったのか、単純に知りたい。
「・・せやのぉ・・・源さんとは同じ藩の出なんや。平山五郎にとっても、沖田総司にとっても・・あの人は大きな目標やった。昔からずっと一緒やった。まぁ・・・自分で言うんもあれやが、親子に近いもんやったかもしれへんな。」
(親子、・・か・・・。)
息子同然と思っている人が不治の病になったらどうにかしたくなるよね・・・あの人は・・井上さんは、自分の大切な息子を助けたかったんだ。その度に何度も・・何度も何度も・・・亡くなっていくのを見てしまってるんだ。
そして・・最後である今回も・・・・。
「うっ・・ゲホッ、ゲホッ!!」
「っ?!吾朗・・?!」
「っ・・はぁっ・・大丈、夫や・・早よ行くで・・・。」
「・・うん・・・。」
(吾朗の咳・・どんどん酷くなってる・・・。)
こんなに辛そうにしてるのに・・・自分の事で弱音を吐かないんだから・・。
洛外に入る門を通り過ぎたその時、こっちを見てくる不逞浪士達が数名いた。
「あぁ・・?何だぁ、新撰組の隊長様が女連れて歩いてるぜ?」
「いい女だなぁ・・へへっ、俺達に譲ってくれよぉ隊長さんよ?」
不気味な顔で近づいてくる男達。五郎は私の手を強く握りしめて背に隠れるように体を寄せてくる。
「チッ・・下衆共が・・さっさとどけや。俺らは急いどるんや。」
「この野郎っ・・ぶっ殺せ!!」
刀を抜いた不逞浪士達がこちらに斬りかかってくる。
(こんな時に・・・!!)
懐に隠しておいた小刀に手をかけようとしたその時——
『ドンッ』
「きゃっ?!」
吾朗が私の手を手放して——私の事を思い切り押し倒す。
バランスを崩した私は、そのまま地べたにお尻をついてしまう。
(な、んで・・・?)
慌てて顔を上げると、吾朗が一人で不逞浪士達を斬っていた。
結核で苦しいハズなのに、吾朗の剣は——沖田総司の剣は衰えていなかった。
「吾朗・・!!」
「来んなシエル!!もうお前の手を・・血で染めさせへん!!」
「この野郎ぉ!!!」
応戦を続ける吾朗、倒れていく不逞浪士達。
あと少しで全員倒せる、ところ、だったのに——
「——?!うぇっ・・ゲボッ!!」
「っ!!」
恐れていた事が起こった。
吾朗が・・血を吐き出してしまう。体はもう限界なんだ・・!これ以上戦ったら・・吾朗が・・・!!
(吾朗が死んじゃう・・!!)
体勢を崩す吾朗に向かって、絶好のチャンスを逃すまいと不逞浪士が刀を振りかざす。
「死ねやあぁぁ!!」
「——っ!!」
手を伸ばしても、もう間に合わないっ・・!!
吾朗の首元目掛けて刀を振り下ろされそうになって——私はその結末を見たくなくて目を瞑る。
「いやぁあ!!吾朗ぉっ!!!」
私の叫び声が響き渡る。
でも、その直後————
『パァン!!』
「・・?!」
(銃声・・・?!)
どこからか銃声が鳴り響く。撃たれた先が気になって目を開く。
撃たれたのは——
「うがぁっ・・!!」
「・・・?!」
不逞浪士が腕を撃たれていた。その拍子に刀を堕とし、足元にカシャリと音が響く。
そして私の背後から、誰かが勢いよく走ってきて刀を手放した不逞浪士に斬りかかる。
「うらぁ!!」
「ぎゃあっ——!!」
腹を斬られた不逞浪士は、大量の血を流しその場に倒れ込む。
斬ったその人物は刀を振り払い血を拭う。倒れ込む吾朗を起き上げたその人物は・・・・。
「・・新八ちゃん・・・?」
「よぉ。情けないのぉ総司。」
「永倉さん・・何で・・・?」
どうして永倉さんがここに・・・?
呆然としていると、誰かが私の腕を引っ張って起き上がらせた。
「えっ?!わっ・・!!」
起き上がらせてくれた人物を確認する為に後ろを振り向く。
そこに立っていたのは、もう一人見慣れた人物が立っていた。
「大丈夫だったか?八神。」
「・・斎藤、さん・・・?」
斎藤さんの手に握られていたのは黄金に輝く銃。
もしかして・・・さっきの銃声は、斎藤さんが・・・?
「一ちゃんまで・・二人共、どないしたんや・・・?」
「どないしたって、んなもん決まっとるやろ?」
吾朗の肩に手を乗せた永倉さんは、優しい笑顔で吾朗に伝える。
——私達が思っていない、予想外の言葉を。
「お前と八神が無事に別れられるように様子を見に来ただけや。」
「・・は・・・?何言うとるんや・・?」
「まぁ、そういう事だ沖田。」
「だから何やねん・・!」
(・・・まさ、か・・。)
永倉さんと斎藤さんの顔で察してしまう。
二人は何を言いたいのか、何の為にここに現れたのか。
「・・・全部・・知って、たんですか・・?」
(この2人も・・井上さん達と、同じ・・・?)
私の疑問に二人は笑顔で頷いてくれる。
斎藤さんも永倉さんも・・・井上さん達も同じだったんだ。何度も何度も・・沖田総司の死を、仲間の死を・・見てきたんだ・・。