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話しながら歩いていると、あっという間に目的地の”百川”に辿り着く。店構えからしていかにも高級店・・・ここ来た事無かったなぁ。
「いらっしゃいませ、こちらのお席どうぞ!」
「松膳二つ頼むわ。」
「はい、かしこまりました!」
慣れた様子で注文をした吾朗さんは草鞋を脱いで座ると、胸辺りを探る仕草をしていた。
「あ・・またやってしもうた。完全に癖になっとるの~。」
・・あ・・・今の仕草もしかして・・。
「煙草?」
「せや、記憶戻る前からやっとってな?よく考えたらいっつもこの辺りに煙草入れとったからのぉ。」
言われてみればそうかもしれない。確かにいつも内ポケットから煙草を取り出して吸ってたよね。
そっか、この時代に煙草なんてないもんね・・・吾朗さんよく煙草吸ってたけど・・・。
「中毒とかないの?」
「ん~せやなぁ・・元々吸うとらんかったのかもしれへんな。」
「吸ってない・・。」
あ・・・沖田さんがか。
煙管はあるもんね。確かに吸ってなかった気がする。
「ヒヒッ、ついでに禁煙でもするかの!」
「ふふっできるの?」
「・・・無理やな。」
「あはは、即答しないでよ!」
「お待たせしました!ごゆっくりどうぞ!」
店員さんが運んできた料理は、御膳の上に豪華な食事がのせられていて凄く美味しそうだった。こっちに来てこんな豪華なご飯初めて見る・・!!
そんな料理をじっと見ていると、「ぶはっ!!」と吾朗さんが噴き出して笑いだした。
「え?な、なに?」
「ヒハハッ・・いや、初めて会うた時もそないな目しとったなって思い出して・・・ククッ・・!」
「わ・・笑わないでよ!美味しそうなんだもん!」
「ヒヒヒッ!まぁ食おうや、冷めてまうで!」
「もぉ・・。」
納得できないままご飯を食べ進める私だけど、吾朗さんは昔を何度も思い出して笑い出していた。
その度に怒るけど吾朗さんはずっと笑い続けてて、その度に足で突っつく。そんな笑い合いながらの楽しい食事が本当に久しぶりで少し泣きそうになったのは内緒。
「どうもありがとうございました!」
明るい店員さんに見送られた私達は清水寺に向かって歩き出す。
「いや~美味かったのぉ!」
「ごちそうさまでした!・・でも全部払わなくても・・・。」
「シエルちゃんとの逢引やで?男のワシが払うんは当然やろ?」
「あ、逢引って・・・。」
「ん?意味わからん?」
「分かるよそれくらい・・!」
現代で言うデート、だよね・・・。
デートだと言いなれてるから違和感ないけど、普段覚えのない言葉を使うとちょっと意味深に聞こえちゃうなぁ・・。
(・・そういえば元の時代でもお金払おうとしたらいつも怒ってたっけ・・。)
『俺が払うんやからええの!』
その吾朗さんの言い方が少し可愛かったのを覚えてる。
沖田さんも着物買ってくれてたし・・・沖田さんの生まれ変わりが吾朗さんだったりして。それなら顔がそっくりなの納得できるし。
「清水寺まで結構な道やから、ゆっくり行こうや。」
「へ~、まだ行った事なかったなぁ。何回か行った事あるの?」
「せやなぁ、京の街を眺めたくなった時にたまにな。ええ景色やで?」
「ふふっ、楽しみ!」
行きかう人々の中を歩いていると、次第に一本道になり竹でできた細道を歩く。
「凄い・・!こんな道初めて!」
「中々風通しが気持ちええやろ?ここを真っ直ぐ行けば清水寺や。」
吾朗さんはそう言うとまっすぐ前を見て私の前を歩いて行く。
賑やかな街から一気に静かになったなぁ・・吾朗さんの行った通り風通しも良くて音も心地いい。こんな場所があっただなんて・・もっと早く来てればよかったなぁ。
そんな事を考えながら歩いてると、前を見ながら吾朗さんが私に声をかけてくる。
「なぁシエルちゃん。」
「ん?何、沖田さん?」
「・・・今、幸せか?」
「え?」
「ワシとおれて・・幸せなんか?」
顔は見せてくれないけど・・その声は真面目な声色だった。
何でそんな事聞いてくるのかな・・答えなんて一つしかないのに。
「幸せだよ?こうして大好きな人と一緒に歩けて、食事もできて会話もできて・・・本当に幸せ。」
無事に吾朗さんの記憶を思い出せた。吾朗さんも私を思い出してくれた。忘れていた記憶を、埋められていた想い出を思い出せて・・愛し合う事も出来た。
先の未来を考えられなかったこの数ヵ月が嘘みたい。
「早く戻って結婚したい。それで・・ずっと一緒にいたい。」
先を歩く吾朗さんの手を後ろから握る。
ピクリと反応した吾朗さんは足を止めて、少しだけ私に視線を向けて微笑んでくれる。
「・・おおきにやで。」
それだけ言うと・・・私の手を放して先に進んでいった。
そんな吾朗さんが・・・違和感でしかなかった。
(・・今の吾朗さんの目・・・。)
今までにない・・見た事のない哀しい目。哀しい笑顔。
どうしてそんな顔をするの?不思議に思いつつも、私はそれを聞くことができなかった。
なんでか分からないけど・・聞いちゃいけない気がしたから。聞いてしまったら・・・。
(・・吾朗さん・・・。)
あなたは今・・・何を考えてるの?
「いらっしゃいませ、こちらのお席どうぞ!」
「松膳二つ頼むわ。」
「はい、かしこまりました!」
慣れた様子で注文をした吾朗さんは草鞋を脱いで座ると、胸辺りを探る仕草をしていた。
「あ・・またやってしもうた。完全に癖になっとるの~。」
・・あ・・・今の仕草もしかして・・。
「煙草?」
「せや、記憶戻る前からやっとってな?よく考えたらいっつもこの辺りに煙草入れとったからのぉ。」
言われてみればそうかもしれない。確かにいつも内ポケットから煙草を取り出して吸ってたよね。
そっか、この時代に煙草なんてないもんね・・・吾朗さんよく煙草吸ってたけど・・・。
「中毒とかないの?」
「ん~せやなぁ・・元々吸うとらんかったのかもしれへんな。」
「吸ってない・・。」
あ・・・沖田さんがか。
煙管はあるもんね。確かに吸ってなかった気がする。
「ヒヒッ、ついでに禁煙でもするかの!」
「ふふっできるの?」
「・・・無理やな。」
「あはは、即答しないでよ!」
「お待たせしました!ごゆっくりどうぞ!」
店員さんが運んできた料理は、御膳の上に豪華な食事がのせられていて凄く美味しそうだった。こっちに来てこんな豪華なご飯初めて見る・・!!
そんな料理をじっと見ていると、「ぶはっ!!」と吾朗さんが噴き出して笑いだした。
「え?な、なに?」
「ヒハハッ・・いや、初めて会うた時もそないな目しとったなって思い出して・・・ククッ・・!」
「わ・・笑わないでよ!美味しそうなんだもん!」
「ヒヒヒッ!まぁ食おうや、冷めてまうで!」
「もぉ・・。」
納得できないままご飯を食べ進める私だけど、吾朗さんは昔を何度も思い出して笑い出していた。
その度に怒るけど吾朗さんはずっと笑い続けてて、その度に足で突っつく。そんな笑い合いながらの楽しい食事が本当に久しぶりで少し泣きそうになったのは内緒。
「どうもありがとうございました!」
明るい店員さんに見送られた私達は清水寺に向かって歩き出す。
「いや~美味かったのぉ!」
「ごちそうさまでした!・・でも全部払わなくても・・・。」
「シエルちゃんとの逢引やで?男のワシが払うんは当然やろ?」
「あ、逢引って・・・。」
「ん?意味わからん?」
「分かるよそれくらい・・!」
現代で言うデート、だよね・・・。
デートだと言いなれてるから違和感ないけど、普段覚えのない言葉を使うとちょっと意味深に聞こえちゃうなぁ・・。
(・・そういえば元の時代でもお金払おうとしたらいつも怒ってたっけ・・。)
『俺が払うんやからええの!』
その吾朗さんの言い方が少し可愛かったのを覚えてる。
沖田さんも着物買ってくれてたし・・・沖田さんの生まれ変わりが吾朗さんだったりして。それなら顔がそっくりなの納得できるし。
「清水寺まで結構な道やから、ゆっくり行こうや。」
「へ~、まだ行った事なかったなぁ。何回か行った事あるの?」
「せやなぁ、京の街を眺めたくなった時にたまにな。ええ景色やで?」
「ふふっ、楽しみ!」
行きかう人々の中を歩いていると、次第に一本道になり竹でできた細道を歩く。
「凄い・・!こんな道初めて!」
「中々風通しが気持ちええやろ?ここを真っ直ぐ行けば清水寺や。」
吾朗さんはそう言うとまっすぐ前を見て私の前を歩いて行く。
賑やかな街から一気に静かになったなぁ・・吾朗さんの行った通り風通しも良くて音も心地いい。こんな場所があっただなんて・・もっと早く来てればよかったなぁ。
そんな事を考えながら歩いてると、前を見ながら吾朗さんが私に声をかけてくる。
「なぁシエルちゃん。」
「ん?何、沖田さん?」
「・・・今、幸せか?」
「え?」
「ワシとおれて・・幸せなんか?」
顔は見せてくれないけど・・その声は真面目な声色だった。
何でそんな事聞いてくるのかな・・答えなんて一つしかないのに。
「幸せだよ?こうして大好きな人と一緒に歩けて、食事もできて会話もできて・・・本当に幸せ。」
無事に吾朗さんの記憶を思い出せた。吾朗さんも私を思い出してくれた。忘れていた記憶を、埋められていた想い出を思い出せて・・愛し合う事も出来た。
先の未来を考えられなかったこの数ヵ月が嘘みたい。
「早く戻って結婚したい。それで・・ずっと一緒にいたい。」
先を歩く吾朗さんの手を後ろから握る。
ピクリと反応した吾朗さんは足を止めて、少しだけ私に視線を向けて微笑んでくれる。
「・・おおきにやで。」
それだけ言うと・・・私の手を放して先に進んでいった。
そんな吾朗さんが・・・違和感でしかなかった。
(・・今の吾朗さんの目・・・。)
今までにない・・見た事のない哀しい目。哀しい笑顔。
どうしてそんな顔をするの?不思議に思いつつも、私はそれを聞くことができなかった。
なんでか分からないけど・・聞いちゃいけない気がしたから。聞いてしまったら・・・。
(・・吾朗さん・・・。)
あなたは今・・・何を考えてるの?