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「ここだ。」
「お・・お邪魔します。」
井上さんの部屋に入ると、そこにはお茶と茶菓子が置かれていた。
何で用意してあるんだろう・・もしかして、元々話すつもりだったのかな?
座布団を用意してくれた井上さんは静かに座り、私も座る。
「稽古後で疲れているのにすまないな。・・・さっき谷に迫られていたな、大丈夫だったか?」
「はい、何とか・・さっきはありがとうございました。」
「全く・・谷の女好きはなんとかならないものか・・・今度局長にでも相談するか・・。」
あはは・・・そこまで酷いんですね・・。
・・・そういえば・・井上さんとこうして話すのは、あの日のお茶屋さん以来かも・・あの時の事、まだ謝ってなかった・・。
「あの・・あの時、お茶屋さんではすみませんでした・・。」
「ん?・・あぁ、あの日の事か。気にするな、あの頃のお前は余裕がなかったからな。」
「そ・・そうですね・・・・あはは・・。」
「・・・だが、今もそうじゃないのか?」
「・・!」
・・・井上さんも、気付いてたんですね・・。
「何かあったのか?」
「・・・・。」
井上さんにも話そう。どうすればいいのか、何かいいアドバイスを貰えるかもしれない・・・。
「なるほど。それで総司が最近お前の前に現れないのか。」
「・・私が悪いんです・・ちゃんと沖田さんに言っていれば・・でも私、どうしても言えなくて・・・。」
井上さんに全部を話した。腕を組みながら何かを考えてくれてる。
・・・アドバイスは欲しいけど、結局は自分で何とかしなきゃだよね・・。
「ふっ・・・。」
・・・・・ふっ?
え、井上さん・・今笑った??
「あ、あの・・何かおかしかったですか?」
「あぁいや・・はは、総司らしい意地っ張りだと思ってな。昔からアイツは変わらんな。」
「意地っ張り・・ですか?」
「アイツが言ったのは本心ではないさ。自分に知らされなかったから意地を張っただけ。まぁ斎藤に先に話した嫉妬じゃないか?」
「し、嫉妬・・ですか?」
「アイツはお前に本気だからな。」
ほ・・・本気って・・確かに告白・・みたいなのはされたけど・・堂々と言われるとやっぱり恥ずかしい・・・!
でも・・・嫉妬、なのかな・・あんなに怒って二度と現れないって言ってたし・・・・。
「・・お前はどうしたいんだ?総司とこのままでいいのか?」
「・・・・・・。」
「嫌ならなぜ行動に移さない?」
「・・・・・怖い、から・・。」
「怖い?」
「・・怖いんです・・このまま沖田さんを想っていていいのか。」
沖田さんにそっくりなあの人は、私にとって大切な人だったハズ。
そんな人がいるのに、私は沖田さんを想ってしまっていいの・・?ここ数日間、ずっと考えてた。
脳裏に浮かぶあの笑顔・・沖田さんの笑顔・・・どっちも思うと辛い・・・裏切れない・・想っていたい・・私は・・・。
思っていることを正直に井上さんに話した。相槌をうちながら話を聞いてくれた井上さんは・・私の頬に手をそえてくる。
「・・辛かっただろう。1人で全て抱え込んで・・よく頑張ったな。」
「・・・!」
(この言い方・・・。)
『よぉ頑張ったなぁ。』
あの時の・・・初めて会った時の沖田さんと同じ・・。
・・・もしかして、この2人は付き合いが長いのかな。沖田さんのあの優しさは・・井上さん譲りだったのかな。
だってこうして優しくしてくれる井上さんは・・・・。
(まるでお父さんみたい。)
僅かに覚えてる父の記憶。優しかった・・お父さんの・・・。
涙を流す私の濡れた頬を、井上さんは軽く指で拭ってくる。
「お前が総司にするべき事は、その気持ちも全部伝える事だ。斎藤が言った通り・・・総司だったら全てを受け入れる。受け入れて一緒に考えてくれるさ・・アイツの優しさは、お前も充分分かっているだろう?」
「・・井上さん・・・。」
「総司は夜の見回りがあるからそろそろ来る頃だ。待っていて話したらどうだ?ちゃんと話せば・・きっと聞いてくれる。」
・・・ちゃんと話す・・沖田さんと、全部・・私が思ってる事。
「どうする?」
「・・ありがとうございます井上さん。私・・沖田さんの家に行きます!」
「ここで待たないのか?」
「一刻も早く話さなきゃいけないから・・だから、行きます!」
「!・・・ふはっ!」
井上さんは私の行動力が意外だったのか、目をぱちくりさせた後吹き出すように笑い出した。そんな井上さんに・・逆に私が驚いてしまう。
(井上さん・・こんな風に笑うんだ。)
「・・・いい目をするんだな、初めて見た。・・・早くその目を総司に見せてやってくれ。」
「・・はい!行ってきます!」
井上さんに一礼をして走り出した私は、屯所の門をくぐり石段を速足で降りる。
(会いたい。会って話したい。仲直りしたい。)
ただそれだけを考えてた。
一度だけ行った事のある沖田さんの家の場所は覚えていた。
(この細道を行けば近道で行けるハズ・・!)
京の地図は大体覚えていた。このまま行けば、早めに着ける!入れ違いにならなくて済むかも!
『ゴンッ!!』
———でも、それが間違いだった。
「——?!」
(な、に・・・?)
突然背後から与えられた後頭部への衝撃。
その衝撃で倒れた私は、意識を失う前に視線を向ける。朧げな視界で見えたのは・・・ついさっき見たものだった。
そこに立っていたのは———
「へへっ・・!」
さっきよりも不気味な笑顔を浮かべている——谷さんだった。
「お・・お邪魔します。」
井上さんの部屋に入ると、そこにはお茶と茶菓子が置かれていた。
何で用意してあるんだろう・・もしかして、元々話すつもりだったのかな?
座布団を用意してくれた井上さんは静かに座り、私も座る。
「稽古後で疲れているのにすまないな。・・・さっき谷に迫られていたな、大丈夫だったか?」
「はい、何とか・・さっきはありがとうございました。」
「全く・・谷の女好きはなんとかならないものか・・・今度局長にでも相談するか・・。」
あはは・・・そこまで酷いんですね・・。
・・・そういえば・・井上さんとこうして話すのは、あの日のお茶屋さん以来かも・・あの時の事、まだ謝ってなかった・・。
「あの・・あの時、お茶屋さんではすみませんでした・・。」
「ん?・・あぁ、あの日の事か。気にするな、あの頃のお前は余裕がなかったからな。」
「そ・・そうですね・・・・あはは・・。」
「・・・だが、今もそうじゃないのか?」
「・・!」
・・・井上さんも、気付いてたんですね・・。
「何かあったのか?」
「・・・・。」
井上さんにも話そう。どうすればいいのか、何かいいアドバイスを貰えるかもしれない・・・。
「なるほど。それで総司が最近お前の前に現れないのか。」
「・・私が悪いんです・・ちゃんと沖田さんに言っていれば・・でも私、どうしても言えなくて・・・。」
井上さんに全部を話した。腕を組みながら何かを考えてくれてる。
・・・アドバイスは欲しいけど、結局は自分で何とかしなきゃだよね・・。
「ふっ・・・。」
・・・・・ふっ?
え、井上さん・・今笑った??
「あ、あの・・何かおかしかったですか?」
「あぁいや・・はは、総司らしい意地っ張りだと思ってな。昔からアイツは変わらんな。」
「意地っ張り・・ですか?」
「アイツが言ったのは本心ではないさ。自分に知らされなかったから意地を張っただけ。まぁ斎藤に先に話した嫉妬じゃないか?」
「し、嫉妬・・ですか?」
「アイツはお前に本気だからな。」
ほ・・・本気って・・確かに告白・・みたいなのはされたけど・・堂々と言われるとやっぱり恥ずかしい・・・!
でも・・・嫉妬、なのかな・・あんなに怒って二度と現れないって言ってたし・・・・。
「・・お前はどうしたいんだ?総司とこのままでいいのか?」
「・・・・・・。」
「嫌ならなぜ行動に移さない?」
「・・・・・怖い、から・・。」
「怖い?」
「・・怖いんです・・このまま沖田さんを想っていていいのか。」
沖田さんにそっくりなあの人は、私にとって大切な人だったハズ。
そんな人がいるのに、私は沖田さんを想ってしまっていいの・・?ここ数日間、ずっと考えてた。
脳裏に浮かぶあの笑顔・・沖田さんの笑顔・・・どっちも思うと辛い・・・裏切れない・・想っていたい・・私は・・・。
思っていることを正直に井上さんに話した。相槌をうちながら話を聞いてくれた井上さんは・・私の頬に手をそえてくる。
「・・辛かっただろう。1人で全て抱え込んで・・よく頑張ったな。」
「・・・!」
(この言い方・・・。)
『よぉ頑張ったなぁ。』
あの時の・・・初めて会った時の沖田さんと同じ・・。
・・・もしかして、この2人は付き合いが長いのかな。沖田さんのあの優しさは・・井上さん譲りだったのかな。
だってこうして優しくしてくれる井上さんは・・・・。
(まるでお父さんみたい。)
僅かに覚えてる父の記憶。優しかった・・お父さんの・・・。
涙を流す私の濡れた頬を、井上さんは軽く指で拭ってくる。
「お前が総司にするべき事は、その気持ちも全部伝える事だ。斎藤が言った通り・・・総司だったら全てを受け入れる。受け入れて一緒に考えてくれるさ・・アイツの優しさは、お前も充分分かっているだろう?」
「・・井上さん・・・。」
「総司は夜の見回りがあるからそろそろ来る頃だ。待っていて話したらどうだ?ちゃんと話せば・・きっと聞いてくれる。」
・・・ちゃんと話す・・沖田さんと、全部・・私が思ってる事。
「どうする?」
「・・ありがとうございます井上さん。私・・沖田さんの家に行きます!」
「ここで待たないのか?」
「一刻も早く話さなきゃいけないから・・だから、行きます!」
「!・・・ふはっ!」
井上さんは私の行動力が意外だったのか、目をぱちくりさせた後吹き出すように笑い出した。そんな井上さんに・・逆に私が驚いてしまう。
(井上さん・・こんな風に笑うんだ。)
「・・・いい目をするんだな、初めて見た。・・・早くその目を総司に見せてやってくれ。」
「・・はい!行ってきます!」
井上さんに一礼をして走り出した私は、屯所の門をくぐり石段を速足で降りる。
(会いたい。会って話したい。仲直りしたい。)
ただそれだけを考えてた。
一度だけ行った事のある沖田さんの家の場所は覚えていた。
(この細道を行けば近道で行けるハズ・・!)
京の地図は大体覚えていた。このまま行けば、早めに着ける!入れ違いにならなくて済むかも!
『ゴンッ!!』
———でも、それが間違いだった。
「——?!」
(な、に・・・?)
突然背後から与えられた後頭部への衝撃。
その衝撃で倒れた私は、意識を失う前に視線を向ける。朧げな視界で見えたのは・・・ついさっき見たものだった。
そこに立っていたのは———
「へへっ・・!」
さっきよりも不気味な笑顔を浮かべている——谷さんだった。