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「どないしたんや?顔色悪いで?」
「・・・・え・・・。」
「お?もしかしてそれが”すまぁとほん”ゆうやつか?ほ~不思議な代物やなぁ・・お?これがワシそっくりの大事な奴か?・・・ホンマやそっくりや!」
沖田さんは興味津々で写真をじっと見ている・・・けど・・私の頭はそれどころじゃなかった。
私はついさっきまで・・・この人の存在を忘れていた。顔を見ても朧げにしか思い出せない。どうして・・忘れてたの・・・?
(・・・どう、して・・。)
「シエルちゃん?・・おい、シエルちゃん!」
沖田さんに肩を揺らされはっとする。
「どないしたんや?何かあったんか?具合悪うなったんか?」
沖田さんを見ると、心配そうな顔で私を見ていた。
その顔の近さに・・心臓が激しく跳ねる。
「だ・・大丈夫です!大丈夫ですから!」
「目ぇ見れば分かる。何を考えとった?」
真剣な眼差しでどんどん近づいてくる沖田さん。
後退りして離れようとした時、着物の裾に手をひっかけてしまいそのまま仰向けで倒れてしまう。
「きゃっ?!」
「シエルちゃん?!」
あと少しで床に頭をぶつけそうになった——直前に沖田さんの手が頭を受け止めてくれた。沖田さんもその時に体勢を崩して、私の上に覆いかぶさるように倒れこんでくる。
「っ・・大丈夫か、シエルちゃんっ!」
「はっ・・はい、だいじょ・・・ぶ・・・。」
瞑っていた目を開くと・・沖田さんの顔はさっき以上に近かった。
心臓の鼓動が更に早まる。沖田さんの頬を少し赤くさせている。そして私の顔に手を添え・・私の目をじっと見つめる。
「・・シエル、ちゃん・・・。」
「お、きた・・・さん・・。」
あ・・・このまま、私・・沖田、さんに————
『——シエル。』
「・・・?!」
その瞬間、私の脳裏に浮かびあがった・・・あの人の顔。
沖田さんと重ねてしまい・・・動揺してしまう。私の表情の変化に気付いた沖田さんは・・体をゆっくりと起き上がらせくれる。
「・・頭、大丈夫やったか?」
「・・・は、い・・大丈夫、です・・。」
「・・もう少しで一ちゃんも来ると思うで。気ぃつけて帰りや。」
そのまま沖田さんは部屋を出て行く。
私は沖田さんをろくに見送りもせず、頭の中は交差する記憶と感情でいっぱいだった。
(・・・今の、声・・。)
私の名前を優しく呼んでくれるあの人。
・・・存在すら忘れてた、あんなに覚えていたはずの想いでも・・どうして愛していたのかも・・・。
(分から・・ない・・・。)
でも・・・この”分からない”という事が、私にとって”恐怖”である事なのは分かる。分からなくなるのが怖いと思うくらい、私はあの人が好きなんだ。
・・・だったら何で忘れてたの?それくらい好きなら、忘れるわけがない。
(・・・記憶が、消えてる・・?)
この時代に馴染めば馴染む程、忘れている・・?
よくよく思えば、私が元の時代に帰りたいって思わなくなったのは・・きっと池田屋の後だ。
あの日から新撰組で稽古を始めて・・1人の時間が減って・・・みんなと過ごして・・・。
(・・・沖田さんと・・過ごして・・・。)
沖田さんと過ごす事が・・記憶を失うきっかけ・・・?
沖田さんと過ごしだけが原因だとは思えないけど・・きっと一番の要因は・・・沖田さん・・・。
・・・・どうして・・・そう思うのか・・なんとなく分かる・・。
(・・・私は・・。)
私は沖田さんの優しさに救われた。
あの人と同じ顔だった・・・沖田さんに・・・。
(・・私は沖田さんが・・・。)
沖田さんに・・・好意があると、分かってる・・・。
(この気持ちが強くなれば・・強くなるほど・・・。)
私は忘れていく。
元の時代へ戻りたいという欲を。あの人に会いたいという切実を。
でも、沖田さんへの想いだって止められないのは一つの事実だ。
(私は・・・。)
私はどうしたいの・・・?
「八神?どうした?」
「・・っ・・・!」
混乱していた私は、斎藤さんが部屋の前にいる事に気付かなかった。
「迎えに来たぞ?」
「は、はい・・ありがとう、ございます・・。」
頭の中がまとまらないまま、私は斎藤さんと一緒に寺田屋へ帰って行った。
普段なら1日の話をしながら帰るのに・・・今日は斎藤さんの言葉に反応できず、無言のままだった。
「・・・・え・・・。」
「お?もしかしてそれが”すまぁとほん”ゆうやつか?ほ~不思議な代物やなぁ・・お?これがワシそっくりの大事な奴か?・・・ホンマやそっくりや!」
沖田さんは興味津々で写真をじっと見ている・・・けど・・私の頭はそれどころじゃなかった。
私はついさっきまで・・・この人の存在を忘れていた。顔を見ても朧げにしか思い出せない。どうして・・忘れてたの・・・?
(・・・どう、して・・。)
「シエルちゃん?・・おい、シエルちゃん!」
沖田さんに肩を揺らされはっとする。
「どないしたんや?何かあったんか?具合悪うなったんか?」
沖田さんを見ると、心配そうな顔で私を見ていた。
その顔の近さに・・心臓が激しく跳ねる。
「だ・・大丈夫です!大丈夫ですから!」
「目ぇ見れば分かる。何を考えとった?」
真剣な眼差しでどんどん近づいてくる沖田さん。
後退りして離れようとした時、着物の裾に手をひっかけてしまいそのまま仰向けで倒れてしまう。
「きゃっ?!」
「シエルちゃん?!」
あと少しで床に頭をぶつけそうになった——直前に沖田さんの手が頭を受け止めてくれた。沖田さんもその時に体勢を崩して、私の上に覆いかぶさるように倒れこんでくる。
「っ・・大丈夫か、シエルちゃんっ!」
「はっ・・はい、だいじょ・・・ぶ・・・。」
瞑っていた目を開くと・・沖田さんの顔はさっき以上に近かった。
心臓の鼓動が更に早まる。沖田さんの頬を少し赤くさせている。そして私の顔に手を添え・・私の目をじっと見つめる。
「・・シエル、ちゃん・・・。」
「お、きた・・・さん・・。」
あ・・・このまま、私・・沖田、さんに————
『——シエル。』
「・・・?!」
その瞬間、私の脳裏に浮かびあがった・・・あの人の顔。
沖田さんと重ねてしまい・・・動揺してしまう。私の表情の変化に気付いた沖田さんは・・体をゆっくりと起き上がらせくれる。
「・・頭、大丈夫やったか?」
「・・・は、い・・大丈夫、です・・。」
「・・もう少しで一ちゃんも来ると思うで。気ぃつけて帰りや。」
そのまま沖田さんは部屋を出て行く。
私は沖田さんをろくに見送りもせず、頭の中は交差する記憶と感情でいっぱいだった。
(・・・今の、声・・。)
私の名前を優しく呼んでくれるあの人。
・・・存在すら忘れてた、あんなに覚えていたはずの想いでも・・どうして愛していたのかも・・・。
(分から・・ない・・・。)
でも・・・この”分からない”という事が、私にとって”恐怖”である事なのは分かる。分からなくなるのが怖いと思うくらい、私はあの人が好きなんだ。
・・・だったら何で忘れてたの?それくらい好きなら、忘れるわけがない。
(・・・記憶が、消えてる・・?)
この時代に馴染めば馴染む程、忘れている・・?
よくよく思えば、私が元の時代に帰りたいって思わなくなったのは・・きっと池田屋の後だ。
あの日から新撰組で稽古を始めて・・1人の時間が減って・・・みんなと過ごして・・・。
(・・・沖田さんと・・過ごして・・・。)
沖田さんと過ごす事が・・記憶を失うきっかけ・・・?
沖田さんと過ごしだけが原因だとは思えないけど・・きっと一番の要因は・・・沖田さん・・・。
・・・・どうして・・・そう思うのか・・なんとなく分かる・・。
(・・・私は・・。)
私は沖田さんの優しさに救われた。
あの人と同じ顔だった・・・沖田さんに・・・。
(・・私は沖田さんが・・・。)
沖田さんに・・・好意があると、分かってる・・・。
(この気持ちが強くなれば・・強くなるほど・・・。)
私は忘れていく。
元の時代へ戻りたいという欲を。あの人に会いたいという切実を。
でも、沖田さんへの想いだって止められないのは一つの事実だ。
(私は・・・。)
私はどうしたいの・・・?
「八神?どうした?」
「・・っ・・・!」
混乱していた私は、斎藤さんが部屋の前にいる事に気付かなかった。
「迎えに来たぞ?」
「は、はい・・ありがとう、ございます・・。」
頭の中がまとまらないまま、私は斎藤さんと一緒に寺田屋へ帰って行った。
普段なら1日の話をしながら帰るのに・・・今日は斎藤さんの言葉に反応できず、無言のままだった。