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「シエルさん、お昼食べよや!運ぶの手伝って~!」
「あ、はい!おりょうさん!」
私がこの時代にきて一週間。寺田屋の仕事も覚えて何とか生活できている。最初は大変だったけど・・ある意味いい経験ができてるかも。思った以上にこの時代の人達は自給自足の生活なんだなぁ。現代の便利さが身に染みる・・。
「ほな、いただきます!」
「いただきますっ。」
おりょうさんも女将さんも、本当に親切に接してくれている。
斎藤さんが私は世間に疎いと説明してくれたおかげで、いろんな事を聞いても怪しまれることはなかった。
今日の夕飯はシンプルな焼き魚に汁物、そして白米に漬物。これがもぉたまんない・・!
ご飯を食べていると、ふふっとおりょうさんが笑いだした。
「な、何?」
「シエルさんってホンマ美味しそうに食べるんやね!凄いええ笑顔やったからつい・・!」
「だ、だって本当に美味しいから・・。」
「そう言ってもらえると嬉しいわ!今度シエルさんも作ってみる?」
「料理かぁ・・苦手なんだよなぁ・・。」
「簡単なの教えてあげるから、やってみようや!」
「う、うんっ・・。」
こうして笑っていられるのは、おりょうさんと女将さんの優しさもあるからだ。本当に有難いなぁ・・。
「あぁシエルちゃん。悪いけどご飯食べたら買い出し頼んでもええかいな?」
「あ・・はい!もちろん!」
「ほんならお願いね。気をつけてな?」
「はい、行ってきます!」
女将さんに頼まれてるのは・・・えっと、ネギに豆腐・・そういえば今夜は鍋にするって言ってたような・・八百屋から行こうかな。
「いらっしゃい!・・おっ?アンタ確か寺田屋さんの?」
「こんにちは。このネギいただけますか?」
「あいよ!あ、これ持っていき!寺田屋さんにはいつの贔屓にしてもらってるさかい、特別や!」
「えっ・・いいんですか?ありがとうございます!」
「またよろしゅうな~!」
笑顔に手を振る八百屋の店主に頭を下げて、私は次のお店に向かって行く。
その次のお店でも、その次でも、色々とサービスを貰ってしまい女将さんから預かった包みの中はパンパンだ。
(本当に優しい人達だなぁ・・。)
この辺りの人達はみんな優しいし、助け合っているのが見て分かる。現代だと考えられない光景だなぁ・・・。
無事に買い物を終えた私は、帰る前に少しだけ散歩をしようと思って街を歩き進める。こんなにのんびり歩けるなんて・・神室町じゃ考えられないなぁ。変な人・・はもちろんいるけど、現代よりも落ち着ける。
(・・でも・・・。)
早く帰りたい。その想いが変わる事はない。元の時代へ戻る方法は全くもってみつからないけど・・早く戻らなきゃ。
(あの人は・・無事なのかな・・。)
私が刺されたあの夜。意識を失った後の事は全く分からない。無事に逃げられたのか、それとも一緒に刺されて重傷なのか。
(早く確認したい・・早く会いたい・・。)
あの人が私の元を離れていく夢だって毎晩見てる。
その度に呼ぼうとしても、名前を思い出せないから何も言えていない。辛い・・・辛いよ・・早く会いたいよ・・・。
そんな事を考えながら歩いていると、呉服屋の前を通りかかった私は足を止める。
(・・・着物・・。)
そういえば・・この沖田さんの着物、ずっと借りっぱなし。
新しいの買って早くこれを返さないと・・何かあるかな・・まだお給料なんて全然だから買えないけど・・。
(あ・・・これ可愛い・・。)
目に止まったのは、薄いピンクの桜模様の着物と灰色の袴。
(・・・桜、かぁ・・。)
あの人が私に贈ってくれた、山桜の刺繍が入った眼帯。
この時代で目が覚めたあの時、私も目は見えていた。体だって不都合がなかった。
あの人に貰った大切な眼帯は・・どこにもなかった。それだけでも私にとっては辛い事・・あの人の為に失った目が、今はある。あの人との事は・・・本当は・・・夢・・?
(駄目、これ以上考えると辛いだけ・・そろそろ帰らないと。)
そう思い目線を前に向けると——目の前にあの人がいた。
私に気付いたあの人は、満面の笑みでこちらに近付いてくる。
「シエルちゃん!久しぶりやの!」
「・・沖田、さん・・・。」
『シエル、こっちやで!』
(・・やめ、て・・。)
「元気やったか?一ちゃんから話は色々聞いとったが・・・会えて良かったわ。」
(そんな優しい目で私を見ないで。)
「・・・シエルちゃん?どないした?」
(あの人と同じ顔で・・私を見ないで・・!)
黙っている私が心配になったのか、沖田さんは私の頬に手を近づけてくる。
(やめて・・やめてっ・・!!)
「——っ!」
「あっ・・シエルちゃん?!」
触れられる前に私は沖田さんの元から逃げ出した。
ごめんなさい・・ごめんなさい沖田さん・・でも、今あなたに触れられると・・私は、私はきっと・・・。
(沖田さんに甘えてしまう。)
心はもう限界だ。
そんな時にあの人の優しさに触れてしまったら・・私は沖田さんをあの人の代わりにしてしまう。そんな事できない、そんな失礼な事できない。
(ごめんなさい・・ごめんなさい・・!)
私はこの時代で独りぼっちなんだ。頼っちゃいけいない。
昔の・・殺し屋だった時を思い出すんだ。
1人で生きて・・生き続けて・・・戻らなきゃ・・。
「あ、はい!おりょうさん!」
私がこの時代にきて一週間。寺田屋の仕事も覚えて何とか生活できている。最初は大変だったけど・・ある意味いい経験ができてるかも。思った以上にこの時代の人達は自給自足の生活なんだなぁ。現代の便利さが身に染みる・・。
「ほな、いただきます!」
「いただきますっ。」
おりょうさんも女将さんも、本当に親切に接してくれている。
斎藤さんが私は世間に疎いと説明してくれたおかげで、いろんな事を聞いても怪しまれることはなかった。
今日の夕飯はシンプルな焼き魚に汁物、そして白米に漬物。これがもぉたまんない・・!
ご飯を食べていると、ふふっとおりょうさんが笑いだした。
「な、何?」
「シエルさんってホンマ美味しそうに食べるんやね!凄いええ笑顔やったからつい・・!」
「だ、だって本当に美味しいから・・。」
「そう言ってもらえると嬉しいわ!今度シエルさんも作ってみる?」
「料理かぁ・・苦手なんだよなぁ・・。」
「簡単なの教えてあげるから、やってみようや!」
「う、うんっ・・。」
こうして笑っていられるのは、おりょうさんと女将さんの優しさもあるからだ。本当に有難いなぁ・・。
「あぁシエルちゃん。悪いけどご飯食べたら買い出し頼んでもええかいな?」
「あ・・はい!もちろん!」
「ほんならお願いね。気をつけてな?」
「はい、行ってきます!」
女将さんに頼まれてるのは・・・えっと、ネギに豆腐・・そういえば今夜は鍋にするって言ってたような・・八百屋から行こうかな。
「いらっしゃい!・・おっ?アンタ確か寺田屋さんの?」
「こんにちは。このネギいただけますか?」
「あいよ!あ、これ持っていき!寺田屋さんにはいつの贔屓にしてもらってるさかい、特別や!」
「えっ・・いいんですか?ありがとうございます!」
「またよろしゅうな~!」
笑顔に手を振る八百屋の店主に頭を下げて、私は次のお店に向かって行く。
その次のお店でも、その次でも、色々とサービスを貰ってしまい女将さんから預かった包みの中はパンパンだ。
(本当に優しい人達だなぁ・・。)
この辺りの人達はみんな優しいし、助け合っているのが見て分かる。現代だと考えられない光景だなぁ・・・。
無事に買い物を終えた私は、帰る前に少しだけ散歩をしようと思って街を歩き進める。こんなにのんびり歩けるなんて・・神室町じゃ考えられないなぁ。変な人・・はもちろんいるけど、現代よりも落ち着ける。
(・・でも・・・。)
早く帰りたい。その想いが変わる事はない。元の時代へ戻る方法は全くもってみつからないけど・・早く戻らなきゃ。
(あの人は・・無事なのかな・・。)
私が刺されたあの夜。意識を失った後の事は全く分からない。無事に逃げられたのか、それとも一緒に刺されて重傷なのか。
(早く確認したい・・早く会いたい・・。)
あの人が私の元を離れていく夢だって毎晩見てる。
その度に呼ぼうとしても、名前を思い出せないから何も言えていない。辛い・・・辛いよ・・早く会いたいよ・・・。
そんな事を考えながら歩いていると、呉服屋の前を通りかかった私は足を止める。
(・・・着物・・。)
そういえば・・この沖田さんの着物、ずっと借りっぱなし。
新しいの買って早くこれを返さないと・・何かあるかな・・まだお給料なんて全然だから買えないけど・・。
(あ・・・これ可愛い・・。)
目に止まったのは、薄いピンクの桜模様の着物と灰色の袴。
(・・・桜、かぁ・・。)
あの人が私に贈ってくれた、山桜の刺繍が入った眼帯。
この時代で目が覚めたあの時、私も目は見えていた。体だって不都合がなかった。
あの人に貰った大切な眼帯は・・どこにもなかった。それだけでも私にとっては辛い事・・あの人の為に失った目が、今はある。あの人との事は・・・本当は・・・夢・・?
(駄目、これ以上考えると辛いだけ・・そろそろ帰らないと。)
そう思い目線を前に向けると——目の前にあの人がいた。
私に気付いたあの人は、満面の笑みでこちらに近付いてくる。
「シエルちゃん!久しぶりやの!」
「・・沖田、さん・・・。」
『シエル、こっちやで!』
(・・やめ、て・・。)
「元気やったか?一ちゃんから話は色々聞いとったが・・・会えて良かったわ。」
(そんな優しい目で私を見ないで。)
「・・・シエルちゃん?どないした?」
(あの人と同じ顔で・・私を見ないで・・!)
黙っている私が心配になったのか、沖田さんは私の頬に手を近づけてくる。
(やめて・・やめてっ・・!!)
「——っ!」
「あっ・・シエルちゃん?!」
触れられる前に私は沖田さんの元から逃げ出した。
ごめんなさい・・ごめんなさい沖田さん・・でも、今あなたに触れられると・・私は、私はきっと・・・。
(沖田さんに甘えてしまう。)
心はもう限界だ。
そんな時にあの人の優しさに触れてしまったら・・私は沖田さんをあの人の代わりにしてしまう。そんな事できない、そんな失礼な事できない。
(ごめんなさい・・ごめんなさい・・!)
私はこの時代で独りぼっちなんだ。頼っちゃいけいない。
昔の・・殺し屋だった時を思い出すんだ。
1人で生きて・・生き続けて・・・戻らなきゃ・・。