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「ママ、ウチそろそろ上がるわ!また来年ねー!」
「気をつけるんやで。よしお年を。」
「うん!」
キャバレー『グランド』で働いていた経験を活かす為、数年前からスナックを経営している。昔の常連さんなんかも遊びに来てくれとってるのがホンマ有難い。
「・・・さて、そろそろ閉めるかな・・。」
半年程前、グランドで騒動があった。
近江連合の幹部クラスの人間が、関東のヤクザ組織『東城会』のチンピラに銃で撃たれたらしい。チンピラもその場で死んでいて、噂では片目の男が店に殴り込んで殺したんじゃないかって言われてる。
「・・・・。」
『シエルちゃん。』
片目の男・・・まさか、ね・・。
あの人がいなくなって、もう20年近く経っている。
あれから何人もの男と付き合った。一夜の関係の人もいた。でもダメだった。私の中であの人の存在は決して消えることはなかった。
『何て言おうとしたんや?』
大晦日のあの夜。私は言い出せなかった。
"あなたが好きです"って。言えばあの時の関係性が崩れることを恐れて・・言わなければ、ずっと仲良しのままいられると思っていた。
・・・それから一年後、あの人は蒼天堀から突然いなくなった。
追いかけられなかった。あまりに突然の事で。探す気力も起きなかった。
「・・・・。」
駄目ね、もう歳とると涙脆くなっちゃう。・・・今年も1人寂しく、年越しますか。
立ち上がり帰り支度をしようとした時、店の扉が鈴の音を鳴らしながら開いた。
「あ、すみません、今日はもう閉店で・・・!」
目の前に立っているのは、片目の男。
髪型は昔と違って、ポニーテールではなくテクノカット。タキシードではなく素肌に蛇柄ジャケット。
見た目は大きく違ったけど、すぐに分かった。
「・・・真島・・さん・・・・?」
「・・・・シエル・・。」
『シエルちゃん!』
20年近く前と変わらない声。ずっと忘れられなかった、愛しい人の声。
私は、その愛しい人の胸元目掛けて走り出す。真島さんはそんな私を受け入れてくれるように強く抱きしめる。
「真島さんっ・・!真島さん!」
「シエル・・・探したで・・ずっと、会いたかった・・・。」
「バカやないの・・?!それはこっちの台詞とちゃうの?!いきなりいなくなって!それなんに探したって・・・エエ加減にしてよホンマ!!・・この20年、どんな気持ちで・・・!?」
罵声を上げる私の口を塞ぐように、真島さんは深いキスをしてくる。
・・・もう、どうでもええ・・・・。
理性の糸が切れ、私も求めるように舌を絡ませる。ずっと求めていた愛しい人との熱いキス。お互い強く抱きしめ合い、お互いを求める欲求は止まらない。
そんなキスを暫く続けていたその時、年越しを告げる除夜の鐘が鳴る。鐘が鳴り終わった後、私達はようやくキスを終えた。
「・・・ええ女になったな、シエル・・。」
「真島さんこそ・・男前になったやん。」
「俺は昔からやろ?」
「あははっ!・・・せやったね。」
「・・・なぁ、あん時言いかけた言葉、今聞いてえて?」
「・・覚えてたんやね。・・・・ウチな、支配人の事が好きやねん。・・・今でもずっと好きよ、真島さん。」
「・・・・俺もや、シエルちゃん・・好きや。」
懐かしい昔話を話しながら、私達は20年前と同じ蕎麦屋へ向かう。
その味は昔と変わらず、美味しかった。
「気をつけるんやで。よしお年を。」
「うん!」
キャバレー『グランド』で働いていた経験を活かす為、数年前からスナックを経営している。昔の常連さんなんかも遊びに来てくれとってるのがホンマ有難い。
「・・・さて、そろそろ閉めるかな・・。」
半年程前、グランドで騒動があった。
近江連合の幹部クラスの人間が、関東のヤクザ組織『東城会』のチンピラに銃で撃たれたらしい。チンピラもその場で死んでいて、噂では片目の男が店に殴り込んで殺したんじゃないかって言われてる。
「・・・・。」
『シエルちゃん。』
片目の男・・・まさか、ね・・。
あの人がいなくなって、もう20年近く経っている。
あれから何人もの男と付き合った。一夜の関係の人もいた。でもダメだった。私の中であの人の存在は決して消えることはなかった。
『何て言おうとしたんや?』
大晦日のあの夜。私は言い出せなかった。
"あなたが好きです"って。言えばあの時の関係性が崩れることを恐れて・・言わなければ、ずっと仲良しのままいられると思っていた。
・・・それから一年後、あの人は蒼天堀から突然いなくなった。
追いかけられなかった。あまりに突然の事で。探す気力も起きなかった。
「・・・・。」
駄目ね、もう歳とると涙脆くなっちゃう。・・・今年も1人寂しく、年越しますか。
立ち上がり帰り支度をしようとした時、店の扉が鈴の音を鳴らしながら開いた。
「あ、すみません、今日はもう閉店で・・・!」
目の前に立っているのは、片目の男。
髪型は昔と違って、ポニーテールではなくテクノカット。タキシードではなく素肌に蛇柄ジャケット。
見た目は大きく違ったけど、すぐに分かった。
「・・・真島・・さん・・・・?」
「・・・・シエル・・。」
『シエルちゃん!』
20年近く前と変わらない声。ずっと忘れられなかった、愛しい人の声。
私は、その愛しい人の胸元目掛けて走り出す。真島さんはそんな私を受け入れてくれるように強く抱きしめる。
「真島さんっ・・!真島さん!」
「シエル・・・探したで・・ずっと、会いたかった・・・。」
「バカやないの・・?!それはこっちの台詞とちゃうの?!いきなりいなくなって!それなんに探したって・・・エエ加減にしてよホンマ!!・・この20年、どんな気持ちで・・・!?」
罵声を上げる私の口を塞ぐように、真島さんは深いキスをしてくる。
・・・もう、どうでもええ・・・・。
理性の糸が切れ、私も求めるように舌を絡ませる。ずっと求めていた愛しい人との熱いキス。お互い強く抱きしめ合い、お互いを求める欲求は止まらない。
そんなキスを暫く続けていたその時、年越しを告げる除夜の鐘が鳴る。鐘が鳴り終わった後、私達はようやくキスを終えた。
「・・・ええ女になったな、シエル・・。」
「真島さんこそ・・男前になったやん。」
「俺は昔からやろ?」
「あははっ!・・・せやったね。」
「・・・なぁ、あん時言いかけた言葉、今聞いてえて?」
「・・覚えてたんやね。・・・・ウチな、支配人の事が好きやねん。・・・今でもずっと好きよ、真島さん。」
「・・・・俺もや、シエルちゃん・・好きや。」
懐かしい昔話を話しながら、私達は20年前と同じ蕎麦屋へ向かう。
その味は昔と変わらず、美味しかった。