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毎日歩いている神室町。
毎日喧嘩している神室町。
そんな毎日に、一つの変化があった。
「さぁて、今日はどこで桐生ちゃんを待っとるかな〜。」
せや!劇場前通り辺りでも行くか!マンホールの下で待っとるか!
そう思い劇場前広場へ向かうと、いつもの街の音と別の音が聞こえる。
(・・・歌・・?)
歌声が聴こえる方に目を移すと、女が1人アコギを持ちながら歌っとった。
周りには誰もおらんかったが、それでも精一杯歌っとる。その一生懸命な顔は、この神室町には似合わんくらい純粋やった。
その場から動かず、思わず聴いてまう。綺麗な歌声や。
それから数曲歌いアコギを仕舞い始めた時、数人のチンピラが近づく。
「おうネェちゃん、ここで歌うとはいい度胸だなぁ。ここの金、払ってもらおうか?」
「えっ・・な、何ですか?お、お金?」
「ミカジメみたいなもんだよ、払ってねぇよなぁ?」
「そ、そんなのないですよね?け、警察にちゃんと届出は出してますし・・・。」
「んなもん関係ねぇんだよ!さっさと払えよゴラ!払えねぇんなら、その体で払ってもらおうか?!」
「ひっ・・・!」
ちっ・・・しょうもない事しとるな。見過ごせへんな。泣きそうやんか。
「おぅお前ら。」
「あ?!んだテメ・・・?!」
「見た事ない顔やなぁ。どこの組のモンや?」
「ヒィッ・・・き、狂犬・・・!!に、逃げろ!!」
ワシに気づいて猛ダッシュで投げよった・・・。
ホンマしょーもない奴らや。そんなんで逃げんなら最初からやんなっちゅうねん・・。
女の方に振り向くと、固まった表情でワシを見る。
・・・まぁ、こないな風貌の男見たら怖がるやろな。
「ネェちゃん、怪我ないか?」
「は・・はい・・・あの、ありがとうございました・・。」
「神室町は初めてなんか?ここは危ない街や。歌うんは結構やが、ああいう輩に気ぃつけなアカンで。」
「・・・あの、歌、聴いていてくれたんですか?」
「あ?・・・あ・・。」
しもうた・・・流れで言うてしもうた・・・。
まぁええか別に。
「おう。ええ歌声やったで!」
素直に思った事を伝えると———女は泣き始めてしもうた。
「な、何で泣くねん?!」
「す、すみませんっ・・!あ、安心したのと、嬉しいのと・・・色々・・!」
・・・まぁ、そらそうか。チンピラに絡まれたらカタギの人間は怖いわな。
そんな女がやけに愛おしく見えて、自然と頭に手を乗せる。
「ホンマにええ声やったで。怖かったやろ?もう大丈夫や。」
「うっ・・あ、ありがとうございます・・!」
「・・!」
涙目で見上げてくる女の表情に鼓動が早くなる。
撫でていた手を目の近くまで下げ、涙を拭く。
「ネェちゃんは、まだここで歌うんか?」
「えっ・・・は、はい・・暫く神室町にいようかと・・。」
「そうか。ほんなら、ちょくちょく来るわ。またネェちゃんの歌声聴きたいわ。」
「あ・・はい!ぜひ来てください!大体ここでやりますので!」
「おぅ。・・・ほな、またな。」
「あ、ありがとうございました!」
何度もお辞儀をする女を背に、その場を離れる。
しっかしホンマエエ声やったなぁ。これからが楽しみな子やな。
「・・・あ・・。」
そういや・・名前、聞いとらんかったな。
・・・ま、ええか。また会えばエエんやし。
これが純粋な興味なのか、好意なのか。
それに気づくのは、少し先やった。
毎日喧嘩している神室町。
そんな毎日に、一つの変化があった。
「さぁて、今日はどこで桐生ちゃんを待っとるかな〜。」
せや!劇場前通り辺りでも行くか!マンホールの下で待っとるか!
そう思い劇場前広場へ向かうと、いつもの街の音と別の音が聞こえる。
(・・・歌・・?)
歌声が聴こえる方に目を移すと、女が1人アコギを持ちながら歌っとった。
周りには誰もおらんかったが、それでも精一杯歌っとる。その一生懸命な顔は、この神室町には似合わんくらい純粋やった。
その場から動かず、思わず聴いてまう。綺麗な歌声や。
それから数曲歌いアコギを仕舞い始めた時、数人のチンピラが近づく。
「おうネェちゃん、ここで歌うとはいい度胸だなぁ。ここの金、払ってもらおうか?」
「えっ・・な、何ですか?お、お金?」
「ミカジメみたいなもんだよ、払ってねぇよなぁ?」
「そ、そんなのないですよね?け、警察にちゃんと届出は出してますし・・・。」
「んなもん関係ねぇんだよ!さっさと払えよゴラ!払えねぇんなら、その体で払ってもらおうか?!」
「ひっ・・・!」
ちっ・・・しょうもない事しとるな。見過ごせへんな。泣きそうやんか。
「おぅお前ら。」
「あ?!んだテメ・・・?!」
「見た事ない顔やなぁ。どこの組のモンや?」
「ヒィッ・・・き、狂犬・・・!!に、逃げろ!!」
ワシに気づいて猛ダッシュで投げよった・・・。
ホンマしょーもない奴らや。そんなんで逃げんなら最初からやんなっちゅうねん・・。
女の方に振り向くと、固まった表情でワシを見る。
・・・まぁ、こないな風貌の男見たら怖がるやろな。
「ネェちゃん、怪我ないか?」
「は・・はい・・・あの、ありがとうございました・・。」
「神室町は初めてなんか?ここは危ない街や。歌うんは結構やが、ああいう輩に気ぃつけなアカンで。」
「・・・あの、歌、聴いていてくれたんですか?」
「あ?・・・あ・・。」
しもうた・・・流れで言うてしもうた・・・。
まぁええか別に。
「おう。ええ歌声やったで!」
素直に思った事を伝えると———女は泣き始めてしもうた。
「な、何で泣くねん?!」
「す、すみませんっ・・!あ、安心したのと、嬉しいのと・・・色々・・!」
・・・まぁ、そらそうか。チンピラに絡まれたらカタギの人間は怖いわな。
そんな女がやけに愛おしく見えて、自然と頭に手を乗せる。
「ホンマにええ声やったで。怖かったやろ?もう大丈夫や。」
「うっ・・あ、ありがとうございます・・!」
「・・!」
涙目で見上げてくる女の表情に鼓動が早くなる。
撫でていた手を目の近くまで下げ、涙を拭く。
「ネェちゃんは、まだここで歌うんか?」
「えっ・・・は、はい・・暫く神室町にいようかと・・。」
「そうか。ほんなら、ちょくちょく来るわ。またネェちゃんの歌声聴きたいわ。」
「あ・・はい!ぜひ来てください!大体ここでやりますので!」
「おぅ。・・・ほな、またな。」
「あ、ありがとうございました!」
何度もお辞儀をする女を背に、その場を離れる。
しっかしホンマエエ声やったなぁ。これからが楽しみな子やな。
「・・・あ・・。」
そういや・・名前、聞いとらんかったな。
・・・ま、ええか。また会えばエエんやし。
これが純粋な興味なのか、好意なのか。
それに気づくのは、少し先やった。