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「ねぇ真島さん、いちご狩り行かない?」
「あ?いちご狩り?」
「うん!うちの親戚がやってるいちご畑があるの!貸切にしてくれるみたいだから、組のみんなで行こうよ!」
「おぉそらええな!お前等、明日は休業や!!」
そして翌日、私達は親戚の畑まで車で向かいみんなでいちご狩りを始めていた。
「すんません突然大人数で。しかも貸切やなんてええんですか?」
「なぁにシエルちゃんの為ならこれくらい当たり前ですよ!どうぞごゆっくり!あぁ遠慮なく取って大丈夫ですからね!楽しんでください!」
「ありがとう叔父さん!」
真島さんの号令で一斉にいちご狩りを始めた真島組員のみんなはまるで子供みたいにはしゃいでた。正直楽しんでくれるかなって心配してたけど、楽しそうで良かった。
私と真島さんは畑の奥まで行って、みんなとは離れた場所でいちごを取り始める。
「元気そうな人やったな〜。見た目若そうやけどええ歳なんやろ?」
「うん。もうすぐ60歳・・だったかな?」
「ほぉ〜?さっき一瞬叔母さんらしい人見えたけど、あの人も若かったな?」
「叔母さんは40歳くらいだったかなぁ。」
「ほ〜・・えらい歳の差やな。俺等と同じくらいやないから?」
「ふふっ、実はそれだけじゃないんだよ?」
「あ?何がや?」
「こっちきて!」
私は真島さんをビニールハウスの奥まで誘っていつも叔父さんが休んでる場所を指差す。ちらりと一緒に覗いていると、暑さを凌ぐ為にシャツを脱いでホースで水を浴び始めた。
その背中には・・立派な刺青が刻まれている。
「・・シエルの叔父さんヤクザやったんか?」
「うん。20年前くらいに足洗ったんだって。」
「ほ〜・・もしかしてそん時に出会ったんか?」
「叔父さんが極道をやめたのは、叔母さんとこのいちご畑の為なの。」
「この畑?」
「昔、叔母さんから聞いた事があるの。」
当時上京してた叔母さんは東京で一人暮らしをしてた。酔っ払いに絡まれてる時に助けてくれたのが、当時バリバリの極道だった叔父さん。そんな叔父さんに一目惚れした叔母さんは猛アタックして付き合う事になったみたい。
「よぉ親御さん付き合うの許してくれたのぉ。仮にもヤクザやろ?」
「叔母さんの圧が凄かったんだって。そんなの関係ないでしょー!って言い切ったら、渋々了承したみたいだけど・・叔父さんの良いところをどんどん知っていって認めたって感じらしいよ?」
「ほぉ〜なるほどなぁ。でもこの畑の為って?」
「ここの畑を管理してたお爺ちゃんが倒れちゃって続けるのが難しくなっちゃったんだって。ここの畑が好きだった叔母さんは潰したくないって一点張りで・・大学辞めたんだって。叔父さんとも実は別れようともしたの。」
ここは東京から離れた田舎町。当時は高速とか電車が多かったわけでは無かったから、会う事だって難しい。それなら別れようって。会えないのは辛いから次の幸せを見つけてって言ったらしいけど・・叔父さんはそれを認めなかった。
『お前が守るもん、俺も一緒に守る!!』
そういう訳にはいかない、迷惑をかけたくないって言っても叔父さんは諦めなかった。
『俺はお前がいないと駄目なんだ!離れるなんて考えられねぇ!だから・・一緒に行く!一緒にいさせてくれ!』
「それでそのまま結婚して、今に至るってわけ。」
「えぇ話やんか。なるほどな・・せやから俺らの事も咎めへんのか。」
「うん!貸切にしたのも、こういう所に普段入れない為の配慮じゃないかな。」
「そら、ありがたいの。」
私達の事をみんなが認めてくれたのは、叔父さん夫婦のおかげ。極道は確かに怖いイメージがあるけど、叔父さんみたいに優しい人だっているっていうのはみんな分かってるから。だから私達は今こうして付き合っていられる。
「叔父さんはここの畑だけじゃなくて・・私の事も守ってくれたの。もし叔父さんが極道じゃなかったら・・こうして真島さんと一緒にいられなかった。だから・・本当に感謝してる。」
「・・せやな。感謝せなアカンな。」
そう言って真島さんは近くにあった赤く美味しそうに熟しているいちごを一つ取ってその場で食べる。ニコッと笑いながら私を見て頭を撫でてくれる。
「こない美味いいちご、無くしたからアカンな!」
「ふふっ、うん!私も大好きだから叔父さん達にはいつまでも元気で頑張ってもらわなきゃ!」
「・・もしここを守る為にシエルが継ぐ言い出したら俺も一緒にくるで。」
「・・・え?」
今、なんて・・?
照れているのか、少し頬を指で擦りながら頬を赤くしている真島さんがいた。
「その・・そんくらい俺もシエルと一緒におりたい思うてる・・ちゅう事や。」
「真島さん・・!」
「・・・ほな、いちご取ろか!折角の貸切や、仰山取らな勿体無いで!」
そそくさと立ち上がっていちごを取り始める真島さんだけど、その頬はまだ少し赤い。真島さんの言葉に私の頬も赤くなるのが分かる。
いちご畑のいちごのように、ほんのりと赤い。私達の恋もいちごみたいに甘酸っぱいものになるといいな。
「あ?いちご狩り?」
「うん!うちの親戚がやってるいちご畑があるの!貸切にしてくれるみたいだから、組のみんなで行こうよ!」
「おぉそらええな!お前等、明日は休業や!!」
そして翌日、私達は親戚の畑まで車で向かいみんなでいちご狩りを始めていた。
「すんません突然大人数で。しかも貸切やなんてええんですか?」
「なぁにシエルちゃんの為ならこれくらい当たり前ですよ!どうぞごゆっくり!あぁ遠慮なく取って大丈夫ですからね!楽しんでください!」
「ありがとう叔父さん!」
真島さんの号令で一斉にいちご狩りを始めた真島組員のみんなはまるで子供みたいにはしゃいでた。正直楽しんでくれるかなって心配してたけど、楽しそうで良かった。
私と真島さんは畑の奥まで行って、みんなとは離れた場所でいちごを取り始める。
「元気そうな人やったな〜。見た目若そうやけどええ歳なんやろ?」
「うん。もうすぐ60歳・・だったかな?」
「ほぉ〜?さっき一瞬叔母さんらしい人見えたけど、あの人も若かったな?」
「叔母さんは40歳くらいだったかなぁ。」
「ほ〜・・えらい歳の差やな。俺等と同じくらいやないから?」
「ふふっ、実はそれだけじゃないんだよ?」
「あ?何がや?」
「こっちきて!」
私は真島さんをビニールハウスの奥まで誘っていつも叔父さんが休んでる場所を指差す。ちらりと一緒に覗いていると、暑さを凌ぐ為にシャツを脱いでホースで水を浴び始めた。
その背中には・・立派な刺青が刻まれている。
「・・シエルの叔父さんヤクザやったんか?」
「うん。20年前くらいに足洗ったんだって。」
「ほ〜・・もしかしてそん時に出会ったんか?」
「叔父さんが極道をやめたのは、叔母さんとこのいちご畑の為なの。」
「この畑?」
「昔、叔母さんから聞いた事があるの。」
当時上京してた叔母さんは東京で一人暮らしをしてた。酔っ払いに絡まれてる時に助けてくれたのが、当時バリバリの極道だった叔父さん。そんな叔父さんに一目惚れした叔母さんは猛アタックして付き合う事になったみたい。
「よぉ親御さん付き合うの許してくれたのぉ。仮にもヤクザやろ?」
「叔母さんの圧が凄かったんだって。そんなの関係ないでしょー!って言い切ったら、渋々了承したみたいだけど・・叔父さんの良いところをどんどん知っていって認めたって感じらしいよ?」
「ほぉ〜なるほどなぁ。でもこの畑の為って?」
「ここの畑を管理してたお爺ちゃんが倒れちゃって続けるのが難しくなっちゃったんだって。ここの畑が好きだった叔母さんは潰したくないって一点張りで・・大学辞めたんだって。叔父さんとも実は別れようともしたの。」
ここは東京から離れた田舎町。当時は高速とか電車が多かったわけでは無かったから、会う事だって難しい。それなら別れようって。会えないのは辛いから次の幸せを見つけてって言ったらしいけど・・叔父さんはそれを認めなかった。
『お前が守るもん、俺も一緒に守る!!』
そういう訳にはいかない、迷惑をかけたくないって言っても叔父さんは諦めなかった。
『俺はお前がいないと駄目なんだ!離れるなんて考えられねぇ!だから・・一緒に行く!一緒にいさせてくれ!』
「それでそのまま結婚して、今に至るってわけ。」
「えぇ話やんか。なるほどな・・せやから俺らの事も咎めへんのか。」
「うん!貸切にしたのも、こういう所に普段入れない為の配慮じゃないかな。」
「そら、ありがたいの。」
私達の事をみんなが認めてくれたのは、叔父さん夫婦のおかげ。極道は確かに怖いイメージがあるけど、叔父さんみたいに優しい人だっているっていうのはみんな分かってるから。だから私達は今こうして付き合っていられる。
「叔父さんはここの畑だけじゃなくて・・私の事も守ってくれたの。もし叔父さんが極道じゃなかったら・・こうして真島さんと一緒にいられなかった。だから・・本当に感謝してる。」
「・・せやな。感謝せなアカンな。」
そう言って真島さんは近くにあった赤く美味しそうに熟しているいちごを一つ取ってその場で食べる。ニコッと笑いながら私を見て頭を撫でてくれる。
「こない美味いいちご、無くしたからアカンな!」
「ふふっ、うん!私も大好きだから叔父さん達にはいつまでも元気で頑張ってもらわなきゃ!」
「・・もしここを守る為にシエルが継ぐ言い出したら俺も一緒にくるで。」
「・・・え?」
今、なんて・・?
照れているのか、少し頬を指で擦りながら頬を赤くしている真島さんがいた。
「その・・そんくらい俺もシエルと一緒におりたい思うてる・・ちゅう事や。」
「真島さん・・!」
「・・・ほな、いちご取ろか!折角の貸切や、仰山取らな勿体無いで!」
そそくさと立ち上がっていちごを取り始める真島さんだけど、その頬はまだ少し赤い。真島さんの言葉に私の頬も赤くなるのが分かる。
いちご畑のいちごのように、ほんのりと赤い。私達の恋もいちごみたいに甘酸っぱいものになるといいな。